戦闘中の勝利宣言はフラグだとあれほど……
TSロリっていいよね
TSロリっていいよね
TSロリっていいよね
どうもです。
更新です――間に合ってないけど。
今日中にもう一話、がんばろー!
それでは、どうぞ。
『ぎゅぅううう……』
「先手必勝! 【闇球撃】!」
スライム入道に接近するや否や、俺は《闇術》をぶちかました。
飛ぶ暗黒の球体がスライム入道の身体を打ち据え、爆ぜた闇がその身を削る。
HPは……えっと、三パーセントくらい削れてる? さすがはボス、そう簡単にはやられてくれないみたいだ。
・物理耐性が高く、魔法も火属性以外は効きにくいんだよなぁ
・闇属性は等倍だったか? なんにせよ、厳しいなぁ
・頑張れ、ヴェンデッタちゃん!
・応援してるぞ!
・あと触手プレイ期待してます!!
・おい
……コメントは、無視しておこう。攻略情報はありがたいが、精神汚染系のバッドステータスを貰いそうだ。
一番安全なのは、《飛行》で空から魔法を撃ちまくることなんだけど……さすがにそれはMPが足りないし、スキルの熟練度も足りない。ついでに、魔法のクールタイム的にも不可能。
楽は出来ないってことだ。上等。
『ぎゅぉおおおおおおおおおっ』
相手もやられてばかりではないのか、でかい腕を振り回し、叩きつけてくる。
ただ、攻撃速度は微妙だな? 予備動作もでかいし、回避は見てからでも余裕。
バックステップで距離をとり、そのまま後退。
俺のいた場所を抉るスライム入道の腕。大きな音と、ひび割れた地面がその威力を物語っている。
あれは喰らったら、まず間違いなくピンチになる。何せ、今の俺には回復手段がない。
ポーションとかのアイテムをそろえる前に、フィールドに出ちゃったからなぁ……。ローザネーラを召喚したら、一旦街に戻る予定だったんだよ。
回復手段は無し、そして――メインウェポンである大鎌も、今は使えない。
舐めプ? いいえ、ただでさえ《萎縮》状態のローザネーラを、これ以上怖がらせないようにしているだけだ。
名前からして、恐怖を感じて身体が……みたいなバッドステータスなのは、容易に想像できる。
なら、恐怖対象を減らした方が、良いんじゃない? って考えたわけだ。
まっ、これ以上ローザネーラの怖がる顔が見たくないってのが、最もな理由だけどな。
あの恐怖で引き攣った顔……罪悪感で心がやられるのよ、本当に。
『ぎゅぉおおおおおおおおっ!!』
……っと、考え事もほどほどにして、戦闘に集中しよう。
スライム入道……ヒュージスライム・アークァードールの攻撃方法は、確認できているだけで三つ。
一つは巨大な腕を使った叩きつけ。
威力は凄まじく、ステータス補正の低い【召喚術士】である俺の紙耐久なんて一瞬で破り去ってしまうだろう。
しかし、発生が遅く、見てからの回避は余裕。《ファストステップ》が使える状況なら、まず当たることはないだろう。
問題は、残りの二つだ。
「ええい! うっとおしいなぁ!」
首を傾げながら、舌打ちしそうな勢いで吐き捨てる。
ひゅおん、とさっきまで俺の頭があった位置を、物凄い勢いで何かが通り過ぎていった。衝撃でツインテールが激しく泳ぐ。
それは、スライム入道の身体から生える触手。
高速で突き出されるそれは先端が鋭利に尖っており、さながら槍の如く俺を蜂の巣にしようとしてくる。
しかも、一本だけではない。
「よっ、ほいっ! おわっ……とぉ!」
胴体狙いの触手を横に飛んで回避し、頭を穿とうとしてきたものを屈んで避ける。その隙を突くように背後から迫っていた触手は、跳躍からの《飛行》で空を切らせた。
・おおっ! すげぇ!
・全部見切ってんのか?
・回避性能の高いメスガキ
・流石は名付き相手にノーダメクリアしただけはある
・危なげないから見てて安心できるな
・俺、この攻撃全部食らって死んだことある……
縦横無尽の軌道を描き、数も多い触手攻撃。さらに、これの厄介なところは……。
にゅるり、と先端がとがっていない触手が、攻撃の合間を縫うように接近してくる。
触手刺突に混じるそれは、ローザネーラが喰らっていた拘束触手。アレだけは、絶対に喰らってはいけない。ソロの俺は、捕まったら最後、確実に死に戻りだ。
数は……六!
一気に警戒を引き上げながら、俺は意識を集中させた。
一本目。足元を狙って突っ込んでくるのを、《飛行》の高度を上げることで回避。
二本目と三本目。胴体に伸ばされる。わざとスキルの効果を切って、自由落下をすることで的を外させる。
四本目。地面に降り立ったところを狙われた。下半身の稼働は不可能。なら――。
「《受け流し》!」
昨日の戦いで得たスキル《受け流し》を発動!
スキルの発動を示す光が掌に灯り、それを突き進んでくる触手に向け、接触と同時に腕を動かす。するり、と触手が俺から逸れていった。
そして、間髪入れずに五本目と六本目が、左右から挟み込むようにして伸びてくる。ならっ!
「やらせるかっ、【闇矢】!」
両手を胸の前で交差させ、手のひらをそれぞれの触手に向ける。
そして、その両方から闇色の矢が放たれ、最後の二本を破壊した。
どうだ! 《闇術》のレベルが上がったことで、発動時の本数が増えた【闇矢】の威力は! そして、この触手はどうやら本体の一部という扱いらしく、スライム入道のHPが削れていた。
・うわぁ、すげぇ
・自分、魔法職だけどアレはマネできる気がしません
・魔法の使い方が熟練者並なんだよなぁ……
・発射地点の移動は上級レベルのテクニックじゃ?
・稀に最初からできるヤツがいるってのは聞いてたけど……このメスガキもか
・魔法少女ヴェンデッタちゃん……ありだな!
『ぎゅぅうううううう……!』
「まだまだ、こんなもんで終わると思うなよ? そら、お代わりだ。【闇球撃】!」
触手攻撃を全ていなされたことが頭にきたのか、苛立ったように呻くスライム入道へ魔法を撃つ。今度は、意味深に存在している青色の球体付近を狙ってみた。
スライム入道は巨体を波打たせ、何とか回避しようとしている。……が、遅い。遅すぎる。
足掻き虚しく、スライム入道へ闇色の球体が直撃し、炸裂。まき散らされた闇は灰色の粘液を穿ち抜き、青色の球体を傷つけた。
『ぎゅぅううううう……っ!!?』
お? なんか反応が違うな? 苦しそうに呻いてやがる。HPは……ふむ、五パーセントほど減っているぞ?
これはアレか、クリティカルヒットというヤツか。弱点部位への攻撃、又は攻撃動作が精密だと発生するんだったっけ?
「なるほど、その蒼いのが、お前の弱点ってワケか。ふふっ、これはいいこと知っちゃったなー」
OK。存分に狙わせてもらうぜ! なんだ、魔法だけでも案外行けるな。種族スキルの《魔力親和》が利いてるのかね?
ニヤリ、と笑みを浮かべつつ、俺は一瞬だけ視線をローザネーラへと向ける。
早く状態異常を解いて、こっちに来てくれよ、ローザネーラ?
じゃないと……。
「こいつ、俺が倒しちまうぞ?」
攻撃は避ける! 魔法は弱点に当てる!
必勝パターンが出来てしまった……これは勝ったな、がはは!
・あー……まぁ、そうだよね。そう思うよね
・弱点ではあるよ、うん、それは間違いない
・さっきのセリフ、完全にフラグなんですが
・別に、倒してしまっても構わんのだろう?
・ヴェンデッタちゃんwちょwwやばいでしょコレwww
・【悲報】メスガキ、死亡フラグ建築
読んでくれてありがとうございます。
感想、評価、ブックマ、誤字報告などなど、本当にありがたいです。感謝。
それでは、また今日中にお会い……出来るといいなぁ。
ではでは。




