初召喚
TSロリっていいよね
TSロリっていいよね
TSロリっていいよね
どうもです。
……はい、更新が滅茶苦茶遅れたことをここにお詫びします。
やっぱりストックがある程度ないと毎日二話更新は厳しそうなので、今日からストックが溜まるまでは一日一話更新になりうそうです。
どうぞ軟弱者と笑ってやってください。
それでは、本編へどうぞ。
・おいおいおいおい
・どうなってんの?
・ネームドボスの触媒札……?
・ボスが落とすのは知ってたけど、名付きも……?
・いや、運ヤベェww
・このメスガキ、幸運過ぎでは?
「あっ、やっぱり確率ドロップだったんですね……」
・そらそうよ
・多分、十連ガチャでSSR十枚とかそんなレベル
・大鎌の即死発動といい、運が良すぎる
・拝んだらご利益ありそう
・なむなむ
・ヴェンデッタ教か……悪くない
「人を勝手に信仰対象にするの辞めてもらえますか? 拝んでもご利益とかありませんからっ!!」
あと、南無南無は違う。誰が仏さんだ。ぴんぴんしとるわ。
全く……とジト目をカメラくんに向けるも、これぽっちも堪えた様子はない。むしろ喜んでる? 冷たい視線はそれはそれであり? 訳が分からないよ……。
・ヴェンデッタちゃんの冷たい視線、ちょっと癖になりそう
・ぞくぞくするぅ……
・できればもっとこう……蔑んだ感じでお願いします!
・豚野郎って言ってくれませんか?
・俺もヴェンデッタちゃんに罵ってもらいたい
・何処から湧いてきた、このドM共ww
「うわぁ……気持ち悪い……」
・ドン引きじゃないか!
・ヴェンデッタちゃんに不快な思いさせるとかいい度胸だな
・ありがとうございますっ! ありがとうございますっ!!
・ぶひぃ!! もっと言ってくださぁい!!
・僕は貴女の醜い豚でぇす!!
・もう手遅れじゃないかな???
思わず漏れてしまったあけすけな本音に返ってきたのは、倍返しの気持ち悪さだった。ふぇぇ……ドM怖いよぉ……。
一瞬で人様に見せられない感じになってしまったコメント欄。何処に潜んでいたのか、台所に出てくる黒いアイツのように湧いて出たドMの群れは中々おさまりを見せない。
この空気の中で、記念すべき初召喚をするの普通に嫌なんだが?
……仕方ない、ここは少し、強引な手段を取ろう。
インベントリから取り出しますは、深紅の大鎌。首狩り君。
それを両手で握り締め……カメラくんに向かって、全力で振りかぶるッ!
「せぇえええええええええいッ!!!!」
ぶんっ、と風を切る音が響き、大鎌の切っ先がカメラくんに突き刺さる――寸前で、ぴたりと止めた。
・ひぇ!
・び、びっくりしたぁ!?
・ヴェンデッタちゃんがご乱心だ!?
「……いえ、俺は冷静ですよ? でも、そうですね……」
すっと首切り君をずらし、カメラくんに向かってにっこり微笑みながら、一言。
「さっきみたいなのが続くようだと俺……ちょっと、冷静じゃいられなくなるかもしれませんよ?」
・ごめんなさいっ!
・すみませんでしたぁ!
・ひぇ……目が笑ってないよぉ……
・素直に怖いのでやめて……やめて……
・画面にドアップになった大鎌に腰抜かしそうになった
・気合が迫真すぎるんだよなぁ……
うんうん、どうやら効果があったようだ。よかったよかった。
ちょっと強引だったかな? とも思わなくもないが、ああでもしないと止まらないような勢いだったからなぁ……。
首切り君を肩に担ぎ、俺は小さく溜息を吐く。
「はぁ、全く……。見ようと思えば、小さい子だって見ることのできる配信なんですから、ある程度節度を持ったコメントをしてくださいね? ヴェンデッタとの約束ですよ?」
・はーい
・ヴェンデッタちゃんって怒ると怖いのね
・背筋伸びたわ
・でも今の小さい子に言い聞かせる感じの言い方、良くない?
・分かる。お姉さんぶってるみたいで非常に善き
・ヴェンデッタちゃんになら斬り捨てられてもいい……
「言ってる傍からぁ!」
ああもう、フリーダムすぎる!
他の配信者はコレを上手く捌いているとか、嘘だろ……? それとも、俺の配信者ぢからはまだまだだということか……??
「……これ以上は俺の精神衛生上よろしくなさそうなので、ちゃっちゃと召喚に行きましょう」
・目に見えてげっそりしてるww
・やさぐれヴェンデッタちゃん
・ちょっと雑になってるの草
・流石に可哀そう
・可哀そうは可愛い。つまり、ヴェンデッタちゃんは可愛い
・それな
「それな、じゃありません! ああもう、召喚しますからね! 召喚召喚!」
極力コメントを視界に入れないようにしつつ(最初からこうしておけばよかった)、インベントリから一冊の本を取り出す。
それは、『召喚の書』と呼ばれる装備品。
【召喚術士】はこの両手で抱えるくらいの大きな本がないと何もできないただの軟弱野郎に成り下がってしまう。それくらいに重要なアイテムなのだ。
「よいしょっ……結構重いですね。戦闘中に開くのは難しそう」
・サモナーがあんまし人気ない理由の一つ
・ポケットサイズ召喚の書とかないんですか?
・初期装備の召喚の書が今のところ最低サイズだぞ
・何かしらあるんじゃないかって言われてるけど、まだ未発見
・おっきな本抱えた幼女……
・非常に善き
「あっ、でもこの本自体に攻撃力が設定されてる……つまり、これで殴ればいいってことですね」
・六法全書アタック!?
・本の角で殴られるとすごく痛い
・違うと思うよヴェンデッタちゃん……
・実体験ニキは何したんだよww
・本を大切にしないと罰が当たるってばっちゃが言ってた
・なお、耐久値ががりがり削られるのでやらない方がいい
「あっ、試した人はすでにいるんですね……。ここは視聴者様の貴重なアドバイスに従って、本の角アタックは止めておきましょう」
いい考えだと思ったんだけど……ゲームの仕様で出来ないのなら諦めるしかない。
しっかし、本当に邪魔だなこの本……でかいし、重い。ちっちゃいサイズの本は無いって視聴者さんは言っているが……まぁ、探してみるのもありかも?
『召喚の書』で出来ることは主に三つ。
一つは、新規の召喚獣を召喚すること。
今から俺がやろうとしていることであり、この職業を選択した者の誰もが最初に通る道だ。
そして、【召喚術士】志望が真っ先に蹴っ躓く関門でもある。
……正直、俺も職業について調べた時に、この情報を見て転職(町にある教会で可能)を考えたくらいだからなぁ。
やり方事体は、とっても単純で簡単。
まず、触媒札を開いた召喚の書のページにあるスロットへ入れます。
次に、本を閉じて身体の前に掲げます。
そして、最後に。
・来るか……!
・ざわざわ……
・楽しみ
・わくわく
・サモナーの人気があまりない理由の七割
・これは見もの
……コメントは気にしないでおこう。
でないと、今すぐ手の中の本を地面に叩きつけてしまいたくなるからなぁ……!!
努めて平静を装いつつ、俺はゆっくりと口を開いた。
「『――――開門』」
その一言を放つと共に、手の中の召喚の書がふわりと浮き上がる。
「『無形、混沌、虚無の海。因子は天に昇り祝福を宿す』」
支えもなく空中に浮かぶ本は、ぺらぺらとひとりでにページをめくりだす。
「『聞け、私の祈りを。汝に捧げる祝詞を。暁の刻は刹那に迫っている』」
凄まじい勢いでめくられていくページから光が溢れ、粒子となって眼前に集まっていく。
「『喚起、形成、創造――その果てに生まれし命。私は汝を歓迎しよう』」
一塊になった粒子の集合体。その下の地面に複雑怪奇な魔法陣が現れる。
さぁ、次が最後の言葉。
歌うように、祈るように――半ばヤケクソで雰囲気に合わせ、言い放つ。
「『彼方より此方へ来たれ、私の僕』! ――――【召喚、『ローザネーラ』】!!」
最後まで言い切ると同時に、魔法陣がゆっくりと天に昇り、光の粒子がそれを潜り抜けていく。
なお、俺の顔は羞恥で引き攣り、身体はプルプル震えている。
配信的に美味しいかなー? って思って全力で詠唱してみたけど、おもっくそ恥ずかしぃ……!
・こwれwはwひwどwいw
・でた、新規召喚の時に必ずやらなくちゃいけない詠唱
・ガッチガチの厨二で草
・カッコイイはカッコいいと思うヨ?
・でもヴェンデッタちゃんは結構平気そう?
・違うぞ、ヤケクソなだけだぞ。その証拠に頬が引きつってる
好き勝手言ってくださりやがってますねぇ、コメントの皆さぁん……?
首切り君を叩きつけたくなる衝動を必死に抑えながら、俺は目の前で形作られていく光の粒子を見つめる。
ローザネーラ……俺が散々煽り散らして、不意打ち気味に勝利をもぎ取った吸血鬼。
彼女の力の全貌を見ることは終ぞなかったが、望外な幸運に恵まれなきゃ、勝利すること何て到底不可能な相手だった。
そんな存在が味方になると考えると、かなり頼もしく感じる。
一つ、懸念があるとしたら……ローザネーラが俺の事を覚えていた場合だ。
まず間違いなく友好的な関係など築けないだろう。散々煽り、馬鹿にし、最後には首を落とした相手が、「仲良くしようね!」と手を差し伸べてくるとか、どんな聖人でも躊躇いなしに拳を叩きこみに行くだろう。
その時は、日本人最終謝罪奥義DOGEZAを敢行するしかないな……となっさけないことを真剣に考えつつ……ってあれ?
……なんか、形作られる粒子の集合体、小さくないか……??
ローザネーラって、俺よりも全然大きかったよな? 目の前で人型になっていく光の大きさ、俺の顎辺りまでしか無くないか……?
訳が分からず首をかしげることしか出来ない俺が唖然とする中、やがて完全に人型になった光がひときわ強く輝いて――。
・んんー??
・おっかしいなぁ?
・あのおっかない美人さんどこいった?
・なんてことだ!!
・これは……どう見ても……
・ロ、ロリが増えたぁ!!?
光が消えた後に現れたのは、ローザネーラとよく似た顔立ちの、八歳くらいの女……の、子……?
え? 何がどうなってるんですか???
女の子は、非常に不機嫌そうな深紅で俺をきっ、と睨みつけると、不満たっぷりという様子で口を開いた。
「……ローザネーラよ。ふしょうぶしょう、しょうかんされてやったわ」
「え、あ……はい、どうも?」
「ふんっ、ワタシをしょうかんできたきせきに、むせびなくといいわ!」
ぷいっ、とセミロングの藍色の髪を揺らし、柔らかそうな腕を組んだローザネーラを名乗る女の子。
そこにあの威圧感や高慢さはなく、背伸びしている感が無限に愛らしい。端的に言えば、なんだこの可愛い生き物。
……あまりの衝撃に思考が停止しかけているので、一言だけ言わせてもらおう。
アェエエエ!!? 幼女!? 幼女ナンデェ!!?
読んでくれてありがとうございます。
ブックマ、評価、感想など励みになっております。
明日の更新は、多分正午あたりだと思われます。その時にまたお会いしましょう。
ではでは。




