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「書籍化」勇者の妹に転生しましたが、これって「モブ」ってことでいいんですよね?  作者: 九重


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32/32

私、幸せになります!

 その後、計画どおり私と兄は、村に帰った。


 まあ、その前にひと騒動あったのだけど。

 なによりの誤算は、星型要塞に両親――――女王陛下と王配殿下が待っていたこと。




「――――なんで?」

「娘に母が会いに来るのは、当然でしょう! ……無事でよかった。もう、何度護衛を振り切って、魔国へ侵入しようと思ったことか!」


 涙ながらに私を抱き締め、そう叫ぶ女王陛下。

 それは、護衛が泣くと思うので、思いとどまってもらってよかったです。


 女王陛下の腕の中は……とても温かかった。

 痛いほどの力をこめて抱き締められたのも、胸が詰まるほどに幸せで――――。


 でも、あまりに美人すぎて『母さん』とは呼べなかった。

 まあ『陛下』と呼びかけたら、この世の終わりみたいな顔をされたので、言い合いの末『お母さま』呼びになったんだけど。



「私のことは『父さま』と呼んでほしいな」


 私とお母さまを二人まとめて抱き締める王配殿下からは、そうお願いされた。

 いや……そんな、キラキラの顔と目で見つめられても――――。


「……くっ……お父さま」


 圧に負けて、結局そう呼んだ。


「ああ! ヴィクトリア、会いたかったよ!」


 なんと、私の本名はヴィクトリアなのだそうだ。

 ……ものすごく似合わないと思うので、シロナでお願いします。




 ――――ともかく、この二人を説得するのが、本当にたいへんだったのだ。

 三日三晩かけて説得し、アレンやバルバラの後押しもあって、なんとかこうとか説き伏せたのだけど。

 終わったときには、魂が抜けるほど脱力した。



「――――これ以上シロナに無理強いするなら、僕はシロナを連れて国を出ます!」



 説得の際、一番効果のあったのは、兄のこの発言だっただろう。

 兄にこう言われた女王陛下は、不承不承であったが、私を手元に置くことを諦めてくれた。


 魔王を倒すほどの力を持つ勇者に出奔されては、国としてもまずいのかなと思ったけど、本当の理由は違うみたい。


「勇者に本気で逃げられたら、せっかく会えた娘に、また会えなくなってしまうもの」


 なにより、私と会えなくなるのが辛いと言って、涙を呑む両親に、絆されそうになったのは、内緒にしとかなきゃね。


 その代わり、アレンを訪ねる名目で彼らが村に来たときには、一緒にすごすと約束した。


()()()()、水入らずですごそうね」

「……しれっと僕を除け者にしようとするな!」


 アレンと兄が喧嘩をしたけれど……ちょっと楽しみかな。



「あなたを育ててくださった勇者さまのご両親にも、ぜひお礼が言いたいわ。必ず伺うから待っていてね!」



 ……うわぁ~。

 急に女王夫妻が我が家にきたら、父さんも母さんも気絶するんじゃないのかな?

 今から精神を鍛えてもらわないと。



「君が生きていてくれたんだ。……今はそれだけでいい。いずれゆっくり心を通わせよう」

「愛しているわ……私の子」



 二人の私への愛は、本物だった。

 それが嬉しくて、幸せだ。



 ◇◇◇



 そんなひと騒動を乗り越えて、私と兄は無事故郷の村へ帰還した。

 テディベアの魔王も一緒だけど。


「ただいまぁ~!」


「シロナ!」

「クリス!」

「お帰り~!!」


 そこには、私を育ててくれた父と母と、村人たちが待っていてくれた。

 みんなと抱き合い、笑い合い、感動の再会をする。


「元気そうだな、二人とも!」

「まあ、心配なんてしていなかったけどね」


「うわぁ! なに、この可愛いクマさん!」

「きゃあ、私にも抱かせてよ!」


 なぜか、兄と私より魔王が人気者になっていた。

 ……解せぬ。


「うおっ! なんだ、この村人は? 私をこうも易々と振り回すとは――――ああ、お前が()()()()()()()()の人間なのだな」


 魔王は、なにかを悟ったような顔をして途中で大人しくなった。

 ……人間諦めが肝心よね。

 まあ、人間じゃなく魔王だけど。




 ――――大騒ぎのみんなを見ながら、兄と二人寄り添って立つ。


「シロナ、ずっと一緒だよ」

「ええ、兄さん――――ううん、クリス」


 きっと私は、この上なく幸せに生きていく。

 小さな村の温かな人たちに囲まれて、そう思った。





 ~完~






 蛇足ですが――――。

 後日、小さな村に、王子やら公爵令嬢やら、魔族の混血を引き連れた魔法使いやら、冒険者やら(こっそり魔族も)が集い、しまいに退位した元女王とその夫、おまけに兄まで移り住み、小さな村が大きな都市となり、国――――いや、世界の中心になるのだが、それはまた別のお話。

お読みいただき、ありがとうございました!

<(_ _)>

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― 新着の感想 ―
あれ?じゃあ女王は誰が継いだのか?女王の妹?
とても面白く一気読みしました。物語の締め方が最高でした。
[一言] 凄く綺麗にまとまっていて、最高に面白かったです。 しかも話数が少なくて、一気読みしてしまいました。 もし良ければ、後日談などあれば最高です。
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