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獣人傭兵物語 ーいかにしてこの無知なる傭兵は獣人〈けものびと〉の王たり得ることができたのかー  作者: べあうるふ
つかの間の平和

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はじめてのがっこう

何事も最初が肝心ってトガリが言ってたんで、いつもの服屋で俺は奮発してチビ用にいい服を買ってやった。

とはいってもデザインなんか全然わからないし、結局いつもと変わらない服に落ち着いたんだけどな。

あとはなに持って行きゃいいんだか……とりあえずトガリが作ってくれた特製サンドイッチをバッグに詰め、俺とチビはエナルド教会へと向かった。

途中何人かに「よおダンナ、これからどこ行くんだい?」と聞かれて「学校だ」と答えたときの驚いた顔っていったら……

しかし、同じ教会なのになんでディナレのとこに行かないんだろ? そっち行った方が近いのに。まあ個人的にはあんまりあの女……ロレンタとは会いたくはないんだがな。


しばらくして教会についたんだが、ちょっとチビは怪訝そうな顔をしていた。

そっか、以前ここに預けようとして泣き叫ばれたんだったっけか。

「大丈夫だ、今日は一緒に勉強するだけだから」ときちんと言い聞かせた。

どうもルースから事前に話はあったみたいで、俺が来ても中にいる連中は驚くこともなく、俺とチビは礼拝堂の隣にある教室へと連れていかれた。

……案の定、チビと同じくらいか、それよりちょっと上のガキばかり。ざっと数えて10人くらいだろうか、小汚い身なりをしているのもいれば、俺に一切関心を持っていなさそうなやつまで様々だ。ちょっと視線が俺に刺さりまくるが、しばらくの間はガマンだな。

さてさて、授業の中身は……というと、牧師って人がいろいろ黒板に書いてくのをみんなで読んだり、一人一人書いたりと、ルースが以前教えてくれた内容とほぼ同じって感じか。でもあいつから事前に教わらなかったら逆にちんぷんかんぷんだったな……

隣に座っているチビは一心不乱に聞いている。俺より飲み込み早そうだ。

そんな感じで一時間くらい過ぎたころだろうか、太陽がてっぺんに上ったからお昼の時間だ。つーか色々頭使いすぎてすげえ腹減った……

……のだが、教室の隅で、一人なにも食わない奴がいた。

他の連中は持参してきた弁当を食べているっていうのに。無論俺とチビもだ。

そして誰もそいつに話しかけようともしない。一人窓の外を眺めているだけだ。

その姿を見かねたのか、チビが自分のサンドイッチを半分あいつに渡していった。

「……なんだよ」年齢的に10歳ちょっとだろうか。薄汚れた服に長旅の砂塵にさらされたかのようなぼさぼさの髪にちょっと日に焼けた肌をしている。

「おなかすいてないの?」

「すいてねえよ」

「はんぶんあげる、あんまりおなかすいてないし」と言ってチビはぐっとサンドイッチを持たせようとした……が。

「うるせえな、いらねえってんだろ!」

そいつは奪い取ったサンドイッチを投げつけようとしたんだが、食い物を粗末にするやつは俺が許せねえ。ってことで俺がナイスキャッチしてやった。

「食いもんは投げるもんじゃねえだろ。親に教わらなかったか?」

だがそのガキはその言葉にひるむ様子もなく、さらなる悪態を俺についてきた。


「知ってるぞ。お前獣人傭兵のラッシュだろ?」

礼儀知らずのガキの頭に、俺は一発ゲンコツをくれてやった。

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