水に落ちました
3章開始です
ダンプさんの里を出てスカイツリーへ向うこと半日。俺と女紙様とプリティちゃんはのんびり歩いていた。
もちろん、プリティちゃんが切り拓いたあの道だ。戦車のわだちがくっきり残っている。おかげで歩きやすくはなっていた。
「いやー、こうして歩いてても残機って減るんだな。わかってたけど」
【ふははは、我も人間形態では大して強くはないのであるな】
「ドラゴンさんに乗って飛んで帰ってもいーんだけど急いでないしねー」
お役目が終わったばかりなので休みたいのはある。ユニックさんを見て過去の自分を思い出したのもあるし、精神的にもお休みを頂戴した。いうなれば有給。魂の有給とでも言うべきか。
いつも通りお酒飲んで飲んだくれて日が暮れるだけなんだけどさ。
働いているときは、こんなことを考える余裕はなかった。
課長の手配ミスが俺のせいになって、そのケツふきのための残業徹夜なんてざらだった。あの役立たず上司め。
コミュ障の陰キャだからと代わりに打ち合わせをして議事録も渡したのにそれを丸っと無視しやがるあの後輩もだ。閻魔大王の前に突き出すぞゴルァ。
「んがー、思い出すだけで腹が立って腹も減ってくる。ポテチの踊り食いしてやるんだ。手もベッタベタにしてやるんだァァ!」
幼児化になってる気もするけど、これも上司と後輩のせいだ。唯一、事務の地味な女性だけが、まともだったな。きちんと挨拶はするし、たまにお菓子をくれたし、残業を手伝ってくれたこともあったけな。あまり話す機会はなかったけど、蟒蛇だってうわさは聞いたことがあるな。
まあいい、そんなことよりだ。
いでよポテチ! その脂っこくてしょっぱい美味しさで吾輩の憂いを塗り替えてくれ!
「うわぁぁぁ食べてやるんだチクショウメー」
『わたくしも食べるのですわ!』
ポテチの大乱舞だ。もう両手で食ってやるんだ! 女紙様もたんと食え!
【荒れておるのであるな】
プリティちゃんのあきれた声が聞こえたけどもう止まらない。
ポテチ乱舞ななか走り回ったら、水に落ちた。
なぜだ。
滑っと続きます




