動きだす世界樹
動きます
プリティちゃんがナニカを拾い上げた瞬間、それが見えるようになった。
「……さびさびの金属箱?」
【こっちに来るのであるな】
赤いメイドさんがかわいく手招きするので歩いていく。なにかしでかしそうな女紙様は、一応俺の手に確保した。
【これであるな】
差し出された箱には三角形のボタンが見えた。
「……エレベーターのボタンにしか見えないな。これが落ちてたってことは……」
『なんてことですわ、ブッコワレ寸前だったのですわ!』
俺の手にいる女紙様が叫んだ。叫びたいのは俺だ。どうやら本当にまずい状態ではあったようだ。
このまま壊れていたら、ヤドリギとやらの機能が失われ……そうしたらどうなっていたんだろう?
まぁ疑問は後回しだ。
「これ、動くの?」
俺に工事というか修理スキルの知識はないぞ。部品は出せるかもだけど、取付とか無理。
【まぁ触ってみるのであるな】
プリティちゃんに促されるままに三角のボタンを押す。ゴゴンとタワー自体が揺れ、目の前の壁が開いた。
「エレベーターだな、これ」
俺が押したのはエレベーターのボタンだったわけで、そして押すことによりタワーの電源が入ったってわけか。
ゴウンゴウンと機械が動く音が響く。ダンプさんもミキサーちゃんも、狼狽えて背中合わせで武器を構えている。
ここには魔獣とかいないから。いたら俺の残機が減ってるはずだし。
「ま、上に行こうかね」
俺が先導するつもりで、真っ先にエレベーターに入った。
続きます




