エンカウント女エルフ
エンカウントです
畑を抜け森に入ると、急に薄暗くなる。道は砂利が敷かれ、雑草もないことから、手入れはされているようす。世界樹へ、里の人も行くことがあるんだろうか。
徐に、ダンプさんがクロスボウを取り出して矢をつがえた。厳つい顔に緊張か見てとれる。
「ここは魔獣もでる」
「……里の中に魔獣が出ちゃまずいでしょ」
「世界樹に引き寄せられるのだ」
「マジかよ。じゃあスカイツリーにも……」
【ふははは、ねぐらに近づく魔獣は、我が叩きのめしてあるから、まず安全であるな】
「え、マジ?」
【マジであるな】
「プリティちゃん素敵すぎる」
マジお婿さん欲しいぞ。
『でわ、わたくしはお嫁さんですわ!』
女紙様の声なき訴えは棄却の方向で。お嫁さんなら、手料理が食べたいです。いまのところ何かを出すことしかできないからさ、俺。
そんなダラけたことを考えていたら脇の木々がワサワサっと揺れた。間髪いれずダンプさんが矢を射る。そして俺の残機は減った。
今のはセーフでしょ? 理不尽すぎない?
「クソ! 叔父貴、邪魔しないで!」
藪から何がが叫びながら飛び出してきた。
全身金属の鎧。フルフェイスなヘルメット。手には大きな鉈。背中には長い刀のような物騒マテリアル。身体は俺と変わらないくらい。そして胸部装甲は大きめ。うん、女性っぽい。
「ミキサー、邪魔をするな」
ダンプさんが俺の前に立ちはだかる。まさに壁って感じ。ダンプさんの腰あたりから前を覗く。
「余所者を、よりにもよってそんなミカンみたいな貧弱なやつを里に入れるなんて!」
「伊能殿は世界樹を救うことができる。貧弱かどうかは問題ではない」
「貧弱で軟弱なやつに何ができるっていうの!」
あ,はい、すみません、貧弱です……スペランカーなもので。
ぬめっと続きます




