特別短編『怪異の掃除人が漫画化したので1話を曽根崎と景清が読んでみた』
月刊コミックZERO-SUM4月号にて「怪異の掃除人・曽根崎慎司の事件ファイル」が、八橋はち先生の御手によりセンターカラーでコミカライズ連載開始しました。とんでもないことになっちゃったな。
これを超えるびっくりイベントはもう私の人生で起こらないでしょうので、せっかくだし今からここでひっそり暴れようと思います。
コミカライズ1話目を読んだ、曽根崎慎司と竹田景清のやりとりを掲載します。ネタバレはあるにはありますが、この小説を読んでいるなら今更だと思うので何も恐れないでください。私を一人にしないでください。
※この短編は次回更新時(3/6)に削除します
【怪異の掃除人が漫画化したので1話を読んでみた】
景清「曽根崎さん、大変です。僕らが漫画になりました」
曽根崎「冒頭からメタいことこの上なし」
景清「いいから見てください、これ。分厚い雑誌。ゼロサムですよ。なんとどこを開いても何かしらの漫画が読めます」
曽根崎「そりゃそういう雑誌だから……。もしかして君、漫画雑誌を買ったことがない?」
景清「僕の主戦場はインターネットです。ログインポイントをコツコツ集めて読むのが日課」
曽根崎「海賊版サイトを使っていないだけ上等だと褒めてやろう」
景清「ありがとうございます。で、僕らの漫画なんですが、確かここに……。……。…………」
曽根崎「あ、没頭し始めた。こら、よりにもよって1ページからドハマリして熟読するんじゃない。こっちだって時間が限られているんだから」
景清「駄目です、どの漫画も掴みが上手すぎます。途中から読んでも面白いし、前後が気になりすぎる。ログインポイントで読めるかな」
曽根崎「あとにしなさい」
景清「うう……。僕らの漫画はこちらです」
曽根崎「はいは――」
景清「色ついてる!!!!」
曽根崎「うわびっくりした」
景清「曽根崎さん! カラーです! はー、ほおー、すごい、僕すごく発色がいい。え、僕まつ毛長くないですか? てへへ」
曽根崎「一人で大騒ぎだな」
景清「曽根崎さんもちゃんと死んだ魚の目をしてますよ! でもかっこいいな……。死んだ魚の目をしているのにかっこよくて、なのに全然不審者感拭えていないこのバランス。目を見張るようなプロの技、いいえ匠の技です」
曽根崎「その言い換え、意味があるか?」
景清「それからそれから見開きのカラーページ! さあ曽根崎さん、漫画の中にいる僕らの背後を見てください!」
曽根崎「指がいっぱい」
景清「そっちじゃねぇ! 人間のほうですよ! ほら、この三人誰だかわかりますか!?」
曽根崎「おや、私の親族と君の親族と美女じゃないか」
景清「そのとおり! これから登場してくれるおなじみの皆さんがこっそり現れて……いや、改めて考えるとほんと身内で構成されてるんだな、僕の周り」
曽根崎「親しげに片手を挙げている美女が、いかに特異な存在かよくわかるな」
景清「唯一のガチ他人ですからね。登場を楽しみにしながら、読み進めていきましょう。……わー、僕が住む街だ。事務所の観葉植物も所定の位置にある。細かい」
曽根崎「む、私も所定の位置から顔を出したぞ」
景清「アンタのスポーン地点、僕の肩なんですか?」
曽根崎「私が死亡した際にもここから出てくるシステムになっている。よろしくな」
景清「それはもう背後霊なんですよ。アンタが怪異になるんじゃない」
曽根崎「怪異の掃除人最終回のオチは決まったな……」
景清「『ついに怪異の掃除人は彼自体が怪異となってしまったのだ……』ってやつですか。やめろ! 決めるにしてもここで決めるな!」
曽根崎「あと、コマに登場するたび私のスタイルがいい」
景清「そういうの自分で言うんだ」
曽根崎「見ろ。このコマもこのコマも私の足が長すぎて収まっていない」
景清「それはそういう演出なんですよ。自画自賛がすげぇ」
曽根崎「……」読んでいる
景清「……」読んでいる
曽根崎「……あ、もう数ページ過ぎている」
景清「うわ、ほんとだ。つい感想を言うのを忘れてのめり込んでた……。引き込まれるんですよね。僕ここにいる景清本人なんで主観でしか見ていなかったんですが、客観的に見るとこんな怖いことになってたんだ。ハラハラする。自分のことなのに」
曽根崎「メタ視点が混ざり込んで第四の壁が曖昧になっている。貴重な光景だ」
景清「あと佐谷田の作画が上質すぎません? 僕あいつに複雑な気持ちを抱いているので、こんなに優遇されているともやもやします」
曽根崎「作り込まれた悪役はよい漫画の条件だろうが」
景清「佐谷田は棒人間でいいですよ、もう」
曽根崎「それだと何の臨場感もないだろ。君の好感度基準で作画をブレさせるな」
景清「つまり今後、曽根崎さんが僕の作る食事にブー垂れるたび、ギャグ漫画みたいな頭身になっていくと……?」
曽根崎「なってたまるか。それこそ怪異だわ」
景清「タイトル回収ですね」
曽根崎「じゃあ私掃除されるじゃねぇか。というかさっきから君、ボケが過ぎるぞ。一応ツッコミ役として紹介されているんだからしっかりしろ」
景清「すみません、テンション上がっちゃって……。それじゃ作画の話に戻りますが、ほんと全体的に力の入り方がすごいんですよね。小指さんも、めちゃくちゃリアルに描かれていて嬉しかったです」
曽根崎「確かに。あれは絵での再現は不可能だろうと思われていたのに、見事描写されていたな」
景清「そんで佐谷田訪問を終えてからの、この引き。アルバイト先の上司に、突然自分の家に泊まれと言われた僕の反応とは――!」
曽根崎「『は?』と言っているな」
景清「普通の反応だと思いますが」
曽根崎「こんな状態で果たして君は私の家に泊まるのか? そもそもなぜ私は君を家に泊めたいと言い出したのか? 次回、乞うご期待!」
景清「強引に締めた!」





