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続々・怪異の掃除人  作者: 長埜 恵
第9章 破滅は弱者の顔をして
245/285

ショートde怪異の掃除人~更新が間に合わなかった時に現れる特別編~

お世話になっております! 長埜です!

本日更新分に小説が間に合わなかったため、ショートde怪異の掃除人をお送りいたします。

よろしくお願いいたします。




【都合上書けなかった一幕】


重元のもとに急ぐ曽根崎、景清、阿蘇。

その車中、曽根崎の様子がおかしくて――!?


曽根崎「……で、景清君。忠助の家の住み心地はどうだった?」

景清「どうって、普通に快適に過ごせましたけど」

曽根崎「くっ……馬鹿な」

景清「その相槌合ってます?」

曽根崎「隙間風や同居人のいびき、謎に浮かび上がる壁のシミに悩まされなかったというのか?」

景清「一ミリも悩まされませんでしたが。いや、浮かび上がる壁のシミって!?」

曽根崎「床は敷布団を貫通してくるほどに冷たく、横たえた体は骨まで凍えたはずだ……。かと思えば昼はサウナのごとく蒸し暑く、熱を逃がせない構造のアパートで君は汗すら蒸発させていただろう」

景清「阿蘇さんちのことなんだと思ってるんですか……地獄? っていうか、その阿蘇さんちに僕とゲンマさんを丸投げしたのは曽根崎さんでしょ」

曽根崎「しかも夜は忠助たちとカードゲームに興じたそうじゃないか」

景清「七並べ楽しかったです」

曽根崎「許さん」

景清「なんでだよ」

曽根崎「人が不快な男と一つ屋根の下で脱水症状と空腹で倒れそうになっている時に私のお手伝いさんである君が私の食事すら忘れワイワイ楽しく遊んでいたとは実に嘆かわしく思う」

景清「ええー、一息で言うの気持ち悪いな。そりゃ重元さんの見守りしなきゃいけなかったのは大変だなと思いますけど、脱水症状と空腹は自分でなんとかしてくださいよ。僕アンタがどこにいるのかすら知らなかったんですから」

曽根崎「君が私のために涙ひとつこぼしてくれていたら脱水症状は免れていた」

景清「そんなわけねぇだろ。どんなシステムだよ」

阿蘇「……兄さん」

曽根崎「なんだ」

阿蘇「妬いたからって駄々こねるなよ」

曽根崎「やかましい」




【都合上書けなかった一幕 その2】


阿蘇の家に遊びにきた藤田。意気揚々とドアを開けた先にあったのは、筋肉占有率が異様に高い空間にちょこんと座るミラクルかわいい甥っ子の姿だった――!?


藤田「ふぐっ……くっ……ううっ……!」血涙

景清「怖……。あれはなんですか、阿蘇さん」

阿蘇「今ヤツの頭の中では客観的な認識からなる卑猥な妄想と強烈な羨望が混ざり合っている。もうすぐ爆発するだろう」

景清「えっと、それはつまり?」

藤田「おいおいおい阿蘇! お前誰に断ってかげぴと一緒に暮らしてんの!? オレも混ぜてよ! もちろん夜の濃厚接触大運動会とて言うまでもなくさぁ!!」

阿蘇「ああいうことだ」

景清「ああ……(ドン引き)」

藤田「んまぁーっ! こちらの立派な筋肉はどちらからいらしたのかしら!? 肩幅のヘクタールだけで農家ひとつ養える麦畑が作れるじゃない!」

景清「ちょっとゲンマさんを困らせないであげてくださいよ。まだ藤田さんに免疫ないんですから」

藤田「オレの存在って人の体にとっては異物も同然だったの?」

阿蘇「つーか、そもそも何しに来たんだよ。見てのとおり俺は忙しいんだから手短に頼むわ」

藤田「遊びにきたに決まってんじゃん。遊ぼうぜ」

阿蘇「だから忙しいんだよ。三人いりゃ作らなきゃなんねぇメシの量も違うしさ」

藤田「三人?」

阿蘇「何? なんか変なこと言った?」

藤田「たった今四人になったとこだけど」

阿蘇「帰れ」

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【書籍化情報】
怪異の掃除人・曽根崎慎司の事件ファイル(宝島社文庫)
表紙絵
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