81.遊びに行きましょう!4
もうダメだと思い目を閉じたのですが、何も起きませんでした。そして恐る恐る目を開けるとそこにはお父様が立っていました!
外へ行く用の鎧を着てお父様が使う緑色の槍を持って。ミルミたちの元にはマーリン先生がいます。空間魔法で連れてきてくれたのですね。
「グオオォォォ!」
突然のお父様の乱入にオーガが怒っています。
「何故こんな浅いところにオーガがいるんだ? しかも亜種なんて。だが我が大切な娘を傷つけたことは許さんぞ!」
お父様はオーガの元へ駆け出します。オーガは腕を振り下ろしますが、お父様はするりと避けます。そして気がつけばオーガは体中から血が噴き出します。私ではいつ攻撃したのかわかりませんでした。
「これで終わりだ!」
そしてオーガに槍を突き立てます。あっという間でした。家にいるときはわかりませんが、凄いですね。
その後はお父様に連れられて領地まで帰ってきました。何で私の場所がわかったかと言うと、マーリン先生は私が家を抜け出しているのを知っていたようです。
その度に魔法で作った鳥を通して私の行動を見ていたそうです。そんなことができるのですね。びっくりです。
ゴブリンまでは普通に見ていたそうですが、オーガがあんな浅いところで出てきてびっくり。すぐにお父様のところへ行ったそうです。その話を聞いたお父様はすぐにマーリン先生に移動するように言い、さっきの状況だったそうです。
みんなで屋敷に帰ると、ミルミたちは驚いて固まってしまいました。なぜでしょうか? とりあえずみんな汚れているのでお風呂に入ろうという事になったのですが、
その前にお母様に物凄く怒られ雷を落とされました。言葉の比喩ではなくて実際に。それを見ていたミルミたちは泣いてしまいました。あれは怖かったです。
そしてお風呂ではクロナに体を洗ってもらいます。隣で、ミルミが侍女さんに体を洗ってもらっています。未だにガチガチに固まっていますが何故でしょうか?
「まったく、フィーリア様は無茶しすぎです! 一歩間違えていたら死んでいたんですよ!」
「わかっていますよ、クロナ。今回は私が悪かったです」
「いいえ、全然わかっていないです。もし何かあったらレイ様が悲しみますよ! いいんですか!?」
うっ、それを言われると困ります。お兄様にはご心配をかけたくありません。
「今度からは私にもおっしゃってください。ついて行きますから」
「でも、クロナにはメイドの修行が……」
「フィーリア様のお供より優先することではありません」
そんなこと言われたら感動するじゃないですか!
「フィーリア様に万が一の事があればレイ様が悲しむので困ります!」
……前言撤回です。全てお兄様の為でした。私の感動を返して下さい。
お風呂でクロナに物凄く小言を言われて疲れた私に待っていたのは、ミルミたちへの説明でした。そういえば私が辺境伯の娘というのは話していませんでした。だからみんな固まっていたのですね。
みんなに説明して、お別れの時に
「りょ、領主様! フィーリア様の護衛になるためにはどうしたらいいですか!?」
とお父様にものすごい剣幕で迫る子がいました。
「フィーリアの護衛か。それは辺境伯の軍に入って訓練するしかないだろうな。鍛えてフィーリアを守れると判断できれば護衛にはできる」
「なら、頑張りますので入らせてください!」
そう迫る子はドライ君……ではなくて、ミルミでした。何でも私の戦う姿を見て感動したそうです。それで今度は私を護りたいと言うのです。お父様は頑張ればなれると言ってしまいましたので、ミルミ直ぐに親を説得すると言い帰ってしまいました。
ドライ君は今度は俺が守るぜ! と私の手の甲にキスをして帰りました。お父様の前で。お父様は額に青筋を立てますし、お母様はあらあらと笑っていました。……後で手を洗っておきましょう。
グミン君は僕も頑張るよと言い帰っていきました。何を頑張るかは言いませんでしたが。
その後はお母様にいい友達を持ったわねと頭を撫でられましたが、再びお母様からの説教タイムでした。。マーリン先生に以前から抜け出していたことを話されて物凄く怒られました。マーリン先生は黙っていた自分も悪いと一緒に謝ってくれましたが、私の方が悪いと思います。
そのおかげで1ヶ月屋敷から外出禁止になりました。そんなぁ〜とお母様に抱きついても許してくれません。今回は駄目のようです。
「もうぅ〜!」
部屋に戻った私はベッドにダイブします。
『今回は諦めて屋敷で過ごすがいい』
そう言いながら笑うファシィー。もう、他人事だと思って!
『フィーリアよ。今回初めて戦ってみてどう思った?』
おもむろになんでしょうか? 今日の戦いですか。
「やっぱり、いざという時には体が動きませんね。訓練では出来ていた事がまったくできませんでした」
『確かにのう。魔力の練りも甘かったし、判断も遅かった。そのおかげで何度か死にかけたしのう』
うぅ、それはそうですが、初めての戦闘で求め過ぎでは無いでしょうか?
『甘いぞフィーリア。その考えで兵士は死ぬのじゃ。初めての戦闘でも、熟練者が行う戦闘でも考えが足りぬものが死ぬ。相手の動きを読み、自分がどう動くか考えねばな』
……難しいです。
『あと数年内に奴らは復活しこの土地を狙ってくるじゃろう。その時に生き残り勝つためには今の内から考えて行動する事じゃ。お主の兄はそのようにしているみたいじゃしの』
ファシィーはずるいです。お兄様と契約している精霊を通してお兄様が見れるそうです。でも、お兄様の事は何も話してくれません。
「お兄様も頑張っているのかぁ〜。私もお兄様に追いつけるよう頑張ります。ファシィーも手伝ってください」
『お主が頑張るならもちろん手伝おう。今は休むといい』
そう言いファシィーは姿を現します。いつ見ても綺麗です。光り輝く銀の長髪に、青い目、そして何と言ってもボッ、キュッ、ボンの体。とても羨ましいです。そんなファシィーに頭を撫でられながら私は少しずつ眠りにつきました。明日から頑張ろうと考えながら。
これで終わります!
明日の投稿は再びレイの視点に。
評価等よろしくお願いします!




