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80.遊びに行きましょう!3

 あまりの恐怖に動く事ができないミルミ。ミルミを置いて逃げるわけにはいきませんね。その事に気がついたグミン君は震えながらも私たちの前に立ってくれます。


「な、何してんだよお前ら、早く逃げるぞ!」


 そう叫ぶドライ君。逃げれるならとっくに逃げています! 今の私なら、ミルミ1人を抱えて空間魔法で逃げる事は出来ますが、ドライ君たちを置いて行く事になります。まだその人数を移動させた事は無いので出来るかどうかわからない状況でしたくはありません。それなら


「グミン君。ミルミを頼みます。何とか逃げてください」


 私はグミン君へミルミを預けて前へ出ます。


「でもフィーリアちゃんはどうするの?」


「私はオーガたちを止めます」


 そう言いながら私は魔力を練ります。みんながいる状況では強い魔法は撃てません。何とか逃げるだけの余裕が作れれば良いのですが。


「風魔法ウィンドカッター!」


 私は風の刃をオーガへ向けて放ちます。オーガたちは腕で防御しますが、少しずつ切り傷が増えていきます。


「す、すげぇ」


 驚く暇があったら早く逃げてください! そう叫びたいのですが魔法に集中しているため、何も言えません。オーガたちはあまり効いているようには見えませんね。どうしましょうか。


『わしが力を貸してやろうか? その代わりここら一帯は更地になるだろうがのう』


 そう言い笑うファシィー。そんな技を使ったらみんなを巻き込んでしまいます! その上魔力を練る時間がありません。


 私は魔法以外は簡単な格闘術しか習っていません。あまり痛いのは好きではありませんから。マーリン先生は動ける魔法師が役に立つと言っていましたが、その意味がわかった気がします。


「グオオォォォ!!」


 うっ! しまった! 赤いオーガの叫び声で私の集中が乱されます。魔法が解除されてしまいました。その隙に他のオーガたちが走ってきます。まずい!


「アースウォール!」


 私は即座に土の壁を作ります。しかし


「グオオ!」


 すぐにオーガに壊されます。目の前にオーガの姿が。私は目の前に立つオーガを見ると動けなくなります。早く魔法を唱えなくちゃ。早く動かなくちゃ。そう思いますが言うことを聞いてくれません。


『仕方ないのう。体を借りるぞフィーリアよ』


 ファシィーの声が聞こえたと思ったら私たちの周りに風が吹き荒れます。不思議な感じです。体を動かしているのはファシィーなのですがまるで私が動かしているみたいに思えます。


『おぬしの本来の力じゃ。わしはお主の体を動かしているに過ぎぬからの』


 そしてオーガたちを吹き飛ばします。すると


『あとはお主の力でやるのじゃ。やり方は教えてやろう』


「わかりました!」


 今度は私が体を動かしているけど、ファシィーが中に入っているようです。ファシィーが指示するように魔力を練ります。すると、先程までのが嘘のように早く魔力が練り上がります!


『こればかりはお主の先生も教えられんからのう。人それぞれ感覚が違うため、自分にあった練り方で無いと』


 そして練りあがった魔力を使い発動します!


「火魔法クリムゾンインフェルノ!」


 私が魔法を発動した瞬間オーガたちがいた場所が爆発します。……これは威力が強過ぎないでしょうか?


『あれぐらいじゃないと、オーガは死なん』


 ファシィーはそう言いますが。オーガの叫び声が聞こえますが、次第に聞こえなくなってきます。熱風が頬を撫で、煙が巻き上がる。ううっ、魔力の使い過ぎで体がだるいです。


『魔力量を増やさなければ、魔法が使えても意味が無いのう』


 うう、おっしゃる通りです。私はだるくなったのでその場に座り込みます。後ろを振り向けばミルミたちが私の方を見て驚いています。まあ、先ほどの魔法を見ればそうなりますか。


「すげえなフィーリア! さすが俺の子分だぜ!」


 ……誰が子分ですか。この体がだるくなければ魔法を撃っているところですが、今日は見逃してあげましょう。


「大丈夫ですか、ミルミ、グミン君?」


「僕は大丈夫だよ。それにしてもすごい魔法だね今の。びっくりしちゃったよ」


 そう言い笑うグミン君。うん、どこにも怪我は無さそうです。あとはミルミなのですが、私を見たまま固まっています。どうしたのでしょうか?


「ミルミ?」


「えっ? あっ、だ、大丈夫です!」


 なぜ敬語なのでしょうか。いや、私も話しますけど。普段のミルミから想像が出来ないというか。心なし顔が赤いような。まあ、どこも怪我が無さそうです良かったです。ここから早く立ち去らなければ。


 そう思い立ち上がった瞬間、


「グオオォォォウ!」


 後ろから声が聞こえます。そんな! 私は急いで振り向くとそこには片腕がちぎれた赤いオーガが立っていました。


『他のオーガを盾にしたようじゃな』


 それで助かったのですか。うわ、物凄く私を睨んできます。完璧怒っていますよあれ。どうしましょうか。私は魔力がなくてもう魔法が。


「フィーリア、ほらさっきの魔法もう1発ドカンと!」


 無理だって言ってんだろこの野郎! ……おっと、間違えました。無理ですドライ君。もう魔力がありませんので。


 赤いオーガは私を見ながら歩いてきます。しかし動きが少し鈍いですね。私の魔法のダメージはあるようです。これなら


「ミルミたちは逃げてください。今なら逃げ切れるはずです!」


「っ! フィーリアはどうするのよ!」


「私はオーガの気を引きます。さぁ、今の内に」


 少し休んだら動けるほどになりました。私はみんなと逆の方へ逃げます。オーガもこちらへ向かってきていますね。しかし思った以上にオーガは速かった。


 オーガが跳び上がったと思ったら、私の場所へ落ちながら腕を振り下ろしてきます。


 私はすぐにその場所から跳んだのですが、サボっていたツケでしょうか。あまり遠くへは避けれません。オーガが地面を殴った衝撃で私は吹き飛ばされます。そしてそのまま


「きゃあ!」


 木に背をぶつけます。痛ぁ〜! 背中が痛いです! あまりの痛さに涙が出ます。うぅ。


「グウゥゥ」


 オーガは私の元へ歩いてきます。みんなは叫びますが体が動きません。もうダメなのでしょうか。オーガは腕を振り上げ、そして


「っ!」


 私は目を閉じてしまいます。


 ……


 …………


 ……………………あれ?


 恐る恐る目を開けるとそこにはオーガの姿がなく、そこに立っていたのは


「よく頑張ったフィーリア。もう大丈夫だぞ」


「あぁ!」


 私の大好きなお父様が立っていました。

次の投稿で終わります。


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