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79.遊びに行きましょう!2

 私はワクワクしながら街へと向かいます。そしていつもみんなが集まる隠しの広場にやってくると、


「あっ、フィーリア。久しぶり!」


 と私に気が付いた女の子が走ってきます。名前はミルミ、茶髪のおさげをした女の子です。


「久しぶりです、ミルミ!」


「最近フィーリアが来ないから寂しかったじゃない!」


 そう言い私に抱きついてくるミルミ。う〜、そんなに抱きしめられると苦しいです。そしてそんな私たちの元へやってくるのが、


「べ、別に来なくても良かったんだけどな」


 そう言いそっぽを向くのはドライ君。金髪のつり目で睨んでいる様にも見えます。いつも私にそんな事を言ってきます。私の事が嫌いなのでしょうか。


「まあまあ、そんな事言わないでドライ君。僕はフィーリアちゃんに会えて嬉しいな」


 笑ってそう言ってくれるのはグミン君。少しぽっちゃりした体型でマルコお兄様を思い出します。でもおっとりした性格でとても優しいのです。みんな同い年です。


「そうよドラ君。いつフィーリアが来るのかソワソワとしてたくせに」


「なっ! べ、別にソワソワなんかしてねえぞ! 嘘つくんじゃねぇ!」


 そう言い顔を真っ赤にするドライ君。そんなに怒らなくても……。少しショックです。


「もう、素直じゃないんだから。それじゃあ、行こっか!」


「? どこへ行くのですか?」


 私が首をかしげるとミルミが教えてくれます。少し年上の人たちがギルドの依頼でゴブリンの討伐を受けるらしく、それについてこないかと誘われたらしいです。ドライ君は父親が冒険者で剣術を習っていてスキルも持っている為即答したそうです。


 それに付き合わされることになったミルミとグミン君。可哀想な。私の雰囲気を察したのかドライ君は


「べ、別に強制したわけじゃないからな! こいつらが付いて行きたいっていうからな……」


 そんな事を話しながら歩き出すドライ君。ゴブリンを討伐しに行くんだから外に出るんだろうけど、どうしようか。……よし、付いて行きましょう。私の魔法も何かの役に立つはずです。


 みんなで歩くこと10分ほど。門のところまでやってきました。そこには4人ほど武装した男の子が立っていました。年齢は13.14ほど。


「先輩! チワッス!」


 その先輩たちの元へドライ君が行き挨拶をする。そしてこちらに振り向き訝しげに私たちを見る男子たち。なんでしょうか?


「お前にはついてくるか聞いたがこいつらは誰だよ?」


「こ、こいつらは俺の……子分です! どうしても付いて行きたいって言うものですから」


 私がいつドライ君の子分になったのでしょうか。問いただしたいところですが今言うと話が拗れるでしょう。黙っておきます。


「……まあゴブリン程度だから良いが、自分の身は自分で守れよ」


「もちろんっすよ!」


 そう言い歩き出す男子たち。ドライ君もそれについて行きます。付いていっても良いのか少し不安になりますがミルミたちを放っておくわけにはいきません。仕方なく付いて行きます。


 ミルミは火魔法が少し使えるらしく、グミン君は大きな棍棒を持っています。私だけ魔法の訓練の後そのまま出てきたので、訓練着のままです。


 門を出るとき門番さんに怪訝な顔をされましたが気にしません。物凄く門番さんに見られた気がしましたが気にしません。


 そのまま、魔の大地の森まで行きます。魔の大地もほんの入り口付近ならあまり危険ではないとマーリン先生が言っていました。奥へ入るほど魔物は強くなる様ですが、入り口付近なら子供たちの訓練にもなるらしいです。


 そして歩くこと1時間ほど。魔の大地の入り口に着きました。鬱蒼と茂る木々が太陽の光を遮ります。私の横でミルミがゴクっと喉を鳴らす音が聞こえます。


「大丈夫ですか、ミルミ?」


「う、うん、なんとか。遠くから見る分には何とも思わなかったけど、近づくとなんか怖いね」


 そう言い私の手をぎゅっと握ってくるミルミ。そんな私たちを見てドライ君が


「こ、怖かったら俺の側から離れるんじゃねえぞフィーリア。全く世話が焼けるんだから」


 そう言いニヤニヤとするドライ君。怖がっているのはミルミなのですが。あっ、私が訂正する前に男子たちの後に続いて付いて行ってしまいました。私たちもここに立ち止まってはいられません。後に続きます。


 1番前に男子たち。その次にドライ君。そして私とミルミ。グミン君は後ろを守ってくれます。時々ミルミに心配げに話しかけています。


 そんな感じで歩いて行くと、目の前に緑色をした小人が草陰から1体だけ出てきます。髪の毛の生えていない頭に長い耳。布を巻くだけの格好で手には棍棒を持っています。


「お、見つけたぜ! おいお前ら俺たちの勇姿を見ておけよ!」


 そう言い4人の男子たちは1体のゴブリンへと向かっていきます。ゴブリンは逃げようとしますが男子たちが囲う様にして逃げられません。


「おらおら!」


 うっ、男子たちはいたぶる様にゴブリンを傷つけていきます。殺すならそんな事をせずに一思いにやれば良いのに。気分が悪いです。ミルミの顔色も少し悪いですね。


「ギギィイ!」


 泣き叫ぶゴブリンにとどめを刺した男子たち。そして私たちへ凄いだろうと自慢してきます。何をそんなに自慢することがあるのでしょうか。お兄様ならこの様なことで自慢せず、その上私たちのことも気にしてくれるのでしょう。


 はぁ、こんな事ならミルミたちと無理矢理でも街にいるべきでした。ドライ君は1人で凄いと男子たちを褒めていますが。


 男子たちは有頂天になりながら森の中へと進んでいきます。何も起こらなければ良いのですが。


 歩く事20分ほど。先程出てきたゴブリンの後は何も出てきません。どうしてでしょうか。聞いていた話だともっと出てくると思ったのですが。


「どうしたのフィーリア? そんなおかしそうな顔をして」


「ミルミ。いえ、少し森の様子がおかしいと思ったのです。先ほどのゴブリンが出てきてから全く魔物が出てきません。私が聞いた話ではもう少し出てもおかしく無いのですが」


 そう思った矢先、その元凶がやってきました。わたしもマーリン先生の話でしか聞いた事ありません。本来なら森の奥の方にいるはずの魔物。見た目は3メートルほどの巨体で人間の胴体ほどの腕をし、頭にはツノが生えています。


「グオオォォォ!」


 その魔物の名前はオーガ。鬼人と呼ばれる魔物です。オーガの姿と叫び声だけで固まってしまうみんな。何でこんなところにオーガが!? しかも1体ではありません。後ろに5体ほど。しかもその中の1体は他のオーガは灰色なのに、その1体だけ真っ赤です。頭には2本のツノが生えています。


「ひっ、ヒィィィ!」


 先頭に立っていた男子たちは泣き叫びながら来た道を帰っていきます。私たちも逃げなければ!


「ミルミ、逃げますよ! ……ミルミ?」


 私がミルミを引っ張ろうとすると微動だにしません。ミルミの方を見ると座り込んでしまっています。体は震えてしまって動く事ができない様です。……これはどうしましょうか。

すみません。次の話で終わると書いたのですが書いていたら長くなってしまったので、分けます。


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