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76.街中での戦闘

 俺は高笑いしている魔族を見る。結構魔力を込めた一撃だったんだけどな。腹に傷がついて周りが少し焦げているだけだ。少しショック。あいつに傷を負わせるにはアレしかないのか。そんな事を考えていると


「はっはっは! 行くぜ小僧! 身に纏え黒腕の巨装(ヘカトンケイル)!」


 魔族が魔法を発動した瞬間、黒い魔力が魔族を包む。何て魔力量だ。量だけなら師匠以上だぞ! そして黒い魔力が収まり現れたのは、左右4本ずつ、8本まで腕が増えた上に、宙に浮く10本の腕。そして8本の腕にはそれぞれトマホークが握られ、黒い鎧を着た魔族が現れる。


「俺の名はギルガス! 行くぜ小僧!」


 ギルガスと名乗る魔族は俺目掛けて跳んでくる。さっきよりスピードは少し上がった程度だが、これは!


 ギルガスは壁上までやってくるとそのまま落ちる速度に合わせて8本のトマホークを振り下ろす。俺は受け切れないと思ったのでその場から、というより壁上から飛び降りる。


 そしてギルガスが俺がいた場所を攻撃する。すると、爆音! 俺が立っていた壁は粉々に吹き飛び、その衝撃波が街まで走る。何て威力だよ!


 ギルガスは直様、空中にいる俺のところへ跳んでき、トマホークで切りつける。ロウガで何とか防ぐが、


「がぁああ!」


 そのまま吹き飛ばされる。10軒ほど家を貫通してようやく止まる。


「ゲホッ! ゲホッ! 何て一撃だよ、まったく……。ハイヒーリング身体付与」


 俺が立ち上がるのと同時に、家の壁が吹き飛ぶ。現れたのはギルガスの背後に飛んでいた腕たちだ。 そして、ミサイルのように、俺に向かって飛んでくる。くそっ!


 俺は避けるが、後ろで地面や壁にぶつかった衝撃で爆発が起こる。爆発で巻き上がった砂煙に巻き込まれる。くそっ、前が見えん。気配察知と魔力探知で何処にいるかはわかるが……やばっ!


 俺がバックで下がった瞬間、上からギルガスが降ってきた。


「おらおら! どうしたどうした!」


 そう言いトマホークを振り回すギルガス。俺は何とか避けるがあまりにも手数が多い。あまり近くのは得策では無いが、離れ過ぎると今度は腕が降ってくる。これは多分レベル9か10の闇魔法なのだろう。魔力量が桁違いだ。


 ギルガスがトマホークを振り、腕を落としてくる度に起こる衝撃。家などは吹き飛び、周りが廃墟へと変わっていく。俺自身も、衝撃のせいで避けてもかすかにダメージを負っていく。


 俺はそれでも、何とか避けギルガスの隙を見つけるとバチッ! と音をさせギルガスの眼の前から消える。ギルガスの振るったトマホークは虚空を切りつける。


「なっ!」


 そして、ギルガスの懐へ入り


「雷掌!」


 雷の掌底打ちをギルガスへぶつける。ギルガスはその衝撃で後ろへ吹き飛ぶが、足で踏ん張り10メートルほど下がっただけだった。魔法を纏ってパワーと頑強さが上がったのだろう。


「良いぞぉ! もっと楽しませろ!」


 喜色満面の顔で俺に向かってくるギルガス。戦闘狂過ぎるだろ。パワーと頑強さは師匠以上だが、当たらなければ


「意味が無い!」


 俺は雷の速さで移動しギルガスのトマホークを避ける。トマホークも宙に浮く腕も魔力で作られたものだから当たることは出来ないが避けるだけなら!


「せいっ!」


 俺は迫り来るトマホークを避け、ギルガスの懐へ入り、ロウガによる連撃を繰り出す。しかし


「ぐうぅ、オラオラ!」


 あまり効いているようには見えない。腕や足、体を幾ら攻撃しても傷が少しばかりつくだけだ。その上奴の攻撃速度は少しずつ速くなってきている。逆に俺の体中が傷まみれに。


 俺はこれ以上は厳しいと思ったため一旦下がる。しかし、逃がさないとばかりに腕が迫ってくる。


 腕たちは俺を囲うように迫り来る。何かに反応するかのように避けても避けても迫って来る。何だ? その上


「おらぁ! 追加だ!」


 ギルガスの背後に新たに10本の腕が宙に舞う。そして合計20本の腕が迫り来る。くそっ、やっぱり何かに反応して追ってくる!


「くっくっく、気が付いたか。その腕は俺の魔力探知に引っかかる魔力に対して反応する。俺の魔力探知は範囲が狭いためあまり使えないがこの距離ならいけるぜ!」


 そう言い再びトマホークを構え突撃してくる。避けても避けても降り注ぐ腕。うぜぇ!


 ズドドドドォン! と地面を殴る音を轟かせる腕。まずいな。このままだと街が無くなってしまう。しかし、避けなければ俺の体が耐えられない。どうするか……。そんなことを考えていたら、


「レイ! 街への被害は気にしないで戦って!」


 と、声が聞こえる。風魔法に乗せているのか、まだ残っている壁上からキャロの声が聞こえる。そして次の瞬間、街全体、というより建物それぞれが光に覆われる。これは?


絶対聖域アブソリュートサンクチュアリ! これで相手の攻撃は通らないわ! あまり時間が持たないから!」


 そう言い倒れ込むキャロ。アレクシアとエアリスが支える。この街全てを包み込む程だ。かなりの魔力が必要になるのだろう。しかしこれで助かった。これなら


「いけるかヒカリン!?」


「いつでもオッケーなの!」


 良し! 毎日のヒカリンとマリリンに魔力をあげてたおかげてすぐに使える!


「いくぞ! 雷装天衣!」


 魔法を発動すると俺の体が雷そのものへと変化する。青紫に光る体。その魔力を槍にも通す。そしてギルガス目掛けて構える。この技も前よりかは時間が延びたが、ほんの数分だけだ。その時間内に倒さなくては。


「行くぞ、ギルガス!」


 この街を守るためにも。

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