表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

82/350

74.やってきたのは

 場内の鐘が鳴り響く中、俺たちは教皇の元へとやってきた。周りは先ほど以上に騎士たちが慌ただしく走り回っている。


 部屋に入ると、教皇は騎士たちに色々と指揮をしている。それぞれ豪華な鎧を着た……げっ! セルパンだっけ、あの青龍騎士団の騎士団長がいる。……当たり前か。国がどうなるかって時にいないわけがないか。


「ああ、来たねキャロライン。こっち来なさい。レイ君たちもだ」


 そして、俺たちが入ってきたのに気が付いた教皇が、俺たちを中へと手招く。中へ入っていく俺たちをジロジロと見てくる。赤い鎧を着て金髪をポニーテールで結んでいる綺麗な女性に、白い鎧を着て金髪をオールバックにした獰猛そうな男性、緑色の鎧を着た茶髪に巨大な盾を背負う本人もかなり大きな男性に、セルパン騎士団長。ここに集まるって事は


「時間があまりないから手短に話すけど、ここにいる騎士たちはそれぞれ騎士団の団長だ。各隊の指揮を取ってもらう。この子たちはキャロの護衛になる。実力はかなりのものだからもしかしたら君たちも助けられるかもね?」


 教皇がふざけてそんな事を言うと、部屋の空気が一気に悪くなる。戦闘前に何煽っているんですか、教皇! 特に白い鎧の騎士が物凄く睨んでくる。


「まあ、今は時間が無いからまた後でね。騎士団は先ほど話した通りにお願い。基本は朱雀騎士団が中心で魔法攻撃。他の騎士団はサポートを。キャロはいつもみたいに障壁で防御。みんな国の存亡がかかっている。頼むよ」


「「「「はっ!」」」」


 そう言って部屋を出て行く騎士団長たち。俺たちも出て行こうとすると


「レイ君、ちょっといいかい?」


 教皇に呼び止められる。なんだろうか?


「なんでしょうか?」


「いや、レイ君に少しお願いがあってね」


 俺にお願い? 俺にできる範囲なら受けられるが。


「お願いっていうのはキャロラインの事だ。私たちも古竜相手でもさらさら負ける気は無い。だけど万が一のイレギュラーがあるかもしれない。その時、もう負けるとレイ君が判断した時は、キャロラインと共に逃げて欲しい」


「教皇台下」


「ようやくきたキャロラインの幸せなんだ。こんなところで終わらせたくは無い」


 真剣な表情で俺を見てくる教皇。……そこまでキャロの事を。俺が考えていると


「まあ、勝つつもりだから、こんな話は万が一て時に考えてみて。私も本気で行くし」


 と笑顔で話してくる。教皇の本気か。雰囲気的にも師匠に近いものがあるからかなりの実力者なんだろう。


「わかりました。万が一の時は考えます」


「頼むよ。さあ、行こう。明日もキャロとデートして貰わないとね。私も久しぶりクリスティーナとデートしよ」


「クリスティーナ様も喜ぶと思います」


「うん。後クリスティーナがね、お義母様と呼んで欲しいって言っていたよ」


 教皇がニヤニヤした顔で俺に言ってくる。この戦いが終わったら呼んでみるか。……なんかフラグみたいだけど俺は気にしない。


 そんな話をしながら俺はキャロが待機している城壁の上へとやってきた。高さは10メートルほどか。まあ、ドラゴン相手だと意味を為さないんだろうけど。


「レイ、お父様と何話していたの?」


「ん? たわいの無い話さ。それより調子はどうだ?」


「あなたがいるから頑張れるわ」


 俺がキャロの方を見るとキャロは顔を赤くして俯いている。仮面を被っていてもわかるぐらいだ。なんか恥ずかしい。


「レ〜イ〜、私たちにも構いなさいよ〜」


 そんな風にキャロを見ていると、後ろからアレクシアに抱き締められる。最近成長期が来たのか、俺の身長も170あるアレクシアの身長と、あまり差が無くなってきている。背中に柔らかい感触が。


「そうよ! 私たちも婚約者なんだから!」


 そう言い俺の右手に尻尾をペチペチと当ててくるフェリス。俺は苦笑いしながらフェリスの頭を撫でる。それを見てエアリスがクスクスと笑う。これから戦うって雰囲気じゃ無いぞこれ。


 そんな風にじゃれていると


「来たぞ!」


 と何処からか叫び声が聞こえてくる。その声が聞こえた瞬間みんな武器を出す。俺もロウガを出して、みんなが見ている方を見ると、そこには


「……でかいな」


 まだ1キロ近くは遠くなのに、かなりの大きさのドラゴンが飛んでくる。体だけだと5メートル程の大きさだが羽を広げているため20メートル近くの大きさがあるだろう。黒い鱗を纏い所々に赤い線が入っている。


 すると、ドラゴンの赤い線の部分が光り出した。次の瞬間、ドラゴンの口から赤い光線が放たれる。あれは!


「ぶ、ブレス来るぞぉ!」


 騎士の誰かがそう叫ぶ。一直線に突き進む赤色の光線。このまま届くのかと思った瞬間、光線は空へ反らされた。反らされた場所を見ると、少し見づらいが薄い膜のようなものが張られている。俺は隣を見ると


「"聖絶" そう簡単にやらせるものですか!」


 キャロが両腕を前に出してそう叫ぶ。やっぱりあの膜はキャロの技だったか。しかし、あの威力の攻撃を反らすなんて流石だな。


 そしてこちらの魔法が届く距離になったのか


「朱雀騎士団、魔法撃てぇ!」


 と女性の声が聞こえる。朱雀騎士団の騎士団長か。その声が聞こえた瞬間、各騎士たちから様々な魔法が放たれる。


 氷の槍があれば炎の槍もあり、大量の風の刃が放たれれば、水の刃も放たれる。石飛礫が降り注げは、雷も降り注ぐ。


 様々な魔法が次々とドラゴンに当たるが、ドラゴンは全く意に返さず、突き進む。そして


 ドォォン!


 と壁にぶつかるような音を上げる。


「ぐぅぅ!」


 キャロの障壁にぶつかったのか。しかし、それでも突き進もうとするドラゴン。キャロは歯を食いしばりながら耐え、


「"反障"」


 キャロが叫ぶ。すると


「グギャアアア!」


 ドラゴンが弾かれたように仰け反る。なら俺も


「ライトニングスピア100連」


 俺が手を上げると、空中に雷の槍が出現する。俺がドラゴン目掛けて手を振り下ろすと、青白く光る槍が全てドラゴンに向かって放たれる。バチバチと音を鳴らしながら、雷の速度で駆け巡る槍は全てドラゴンへと当たる。


「ガァァアア!」


 今のは効いたのかさっきのとは違う声を上げる。しかし、傷はあまり無いようだ。物凄く硬い鱗だな。ドラゴンも俺が攻撃したのがわかったのか、こちらを睨んでくる。そして口に赤い魔力が溜まり、ドラゴンも赤く光り出す。あれはさっきのブレスか。


 俺がロウガを構え直して待っていると、別のところからドラゴン目掛けて白い光線が放たれる。なんだあれ? 


 そしてドラゴンのブレスと白い光線がぶつかり大爆発。さっきはキャロが反らしたから爆発も起こらなかったけど実際にはこんな威力があるのか。しかし、それと同等の攻撃をするなんて……。一体誰だ? そんな事を考えていると、


「もう、お父様ったら」


 とキャロが呆れた声を出す。という事は、今のは教皇がやったのか? 俺は教皇の方を見ると、何かを構えていた。それは


「銃?」


 俺もあまり詳しくは無いため種類などはわからないが、前世の拳銃のような物を教皇は両手に持っていた。教皇の両手が光り出すと、拳銃も光り出す。……教皇の魔力を吸収しているのか? そして


 ズドドォン!


 と2発の閃光が放たれる。ドラゴンは光速で放たれた弾丸をギリギリで避ける。当たればかなりの威力だろう。しかし2丁拳銃か。ちょっとかっこいいとか思ったり。


 この調子なら古竜も倒せるんじゃ無いか、と思った時声が聞こえた。


「グハハハハ! やるじゃねえかてめぇら。俺も参加するぜ!」


 そうしてドラゴンの背から飛び降り門の前に降り立ったのは3メートルほどの巨大に4本腕を持つ紫色の肌で銀の短髪の男だった。


 ドラゴンに集中しすぎて気付かなかったがあれは……魔族だ。

評価等よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ