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66.宮殿へ

 プリシアさんたちと別れた俺は急いでみんなの元へと戻った。集合場所である門近くへ行くと、既にみんなが集まっていた。


「悪い、みんな待たせたか?」


「遅かったわね。って言ってもみんなが早く集まりすぎたからダグリスに呼びに行ってもらったんだけどね」


 と、笑うアレクシア。何だ遅れたわけじゃないのか。そしてみんなで騎士さんたちの元へと戻る。1時間近くも待たせてしまった。


「おや? 皆さんもう宜しいので?」


「ええ、楽しめましたので」


 そしてみんな馬車に乗る。騎士さんもいいと思ったのか出発の準備を始めそして、進み始める。


 馬車の中では、何を見たや、あれを買ったなど、色々な話で盛り上がった。しかし、俺が聞かれた時にダグリスが爆弾を落としたのはあれだったけど。


「そういえばレイ。あの女の人は誰だったんだ?レイと親しそうに話していたけど?」


 と言い出したのだ。それを聞いたアレクシアたちは顔は笑っているが、目が笑っていない表情で、俺にたくさん質問をしてくる。俺はただの店員だ、と話しても中々信じてもらえなかった。俺がアレクシアたちに質問攻めにされている横で、ダグリスは楽しそうに笑っていたが。ダグリス、覚えていろよ。


 そんな事もありながらも、馬車に揺られる事30分ほど。ようやくサン・ベルク宮殿の中の本殿へ着いたのでみんな降りる。そこには先触れを出していたのか侍女たちがズラっと並んでおり、本殿の入り口から、見た目20後半の優しそうな女性と、燕尾服を着た老人がその女性の背後に立っていた。


「久し振りね、アレクシアちゃんとフェリスちゃん」


 と2人へ話しかける。という事はこの人が


「ご無沙汰しております、クリス様。レイこの方がギルフォード教皇の奥方であるクリスティーナ・アルカディア様だ」


 やっぱり、教皇の奥さんなのか。


「あなたがレイヴェルト・ランウォーカー君ね。私の娘の婚約者の?」


「は、はい、ナノール王国、ランウォーカー辺境伯の息子、レイヴェルト・ランウォーカーと申します」


「……はじめに言っておくけど、あの子を傷つけるような事をしたら許さないわよ」


「へ? それは勿論ですが……?」


 なぜそんな事を言うのだろうか? 俺は不思議に思いながらクリスティーナ様を見ていると、


「まあ、良いわ。あの人が決めた婚約にとやかく言うつもりはないですしね。さあ、中へ入りましょうか」


 そう言い本殿へと進んで行くクリスティーナ様。俺なんか怒らせるような事したかなぁ? わからん。


 そんな事を考えながらも俺たちは付いて行く。まずはそれぞれの部屋に案内してくれるそうだ。男性陣は1階になり、女性陣は2階に案内される。しかも1人一部屋になる。中を見たダグリスは物凄く広い事にかなり喜んでいたけどな。


 そして俺が1人で部屋で荷物を整理していると、ドアがノックされる。俺が返事をすると


「失礼します」


 と侍女が入ってきた。まだ20にもなっていない若い女性だ。


「お初にお目にかかります。私の名前はメリーと申します」


「はあ。どういうご用件でしょうか?」


 本当に何の用だろうか。というか、物凄く睨まれている。俺、ここでは嫌われているのかなあ。少しショック。


「キャロライン様に会う前に、教皇様へ今回の婚約を断って帰ってもらえないでしょうか?」


「……は?」


 何を言っているのだろうか、この人は。わざわざ会いに来たのに、会う前に断って帰れって言われても、はいわかりました、とは行かないだろう。


「私がおかしい事を言っているのはわかっています。でも、キャロライン様がこれ以上傷付く姿を見たくはないのです! どうかお願いします!」


 と頭を下げる侍女。全く意味がわからん。なんなんだ一体。俺が何か言おうかと悩んでいると


「勝手な事されては困るよ、メリー」


 と金髪のイケメンが部屋へ入ってきた。それを見た侍女ーーメリーさんーーは驚きの表情でそのイケメンを見る。そして顔を青くさせていき震え出す。誰だろうこの人。


「も、申し訳御座いません、教皇様」


 え? この人が教皇なの? 身長が180ぐらいで、金髪のオールバックの物凄くイケメン。確かに豪華そうな服を着ている。魔族を何百と消滅させているからもっと厳つい人かと思ったけど……。それでもかなりの実力の持ち主っていうのはわかる。


「メリー。君の気持ちもわかるよ。私自身キャロの悲しむ姿は見たくない。でも、キャロがこのまま1人で過ごすのは良くない事も君はわかっているだろ?」


「……はい」


「申し訳ないが我慢してくれ」


 メリーさんにそう言うと俺の方へ向く教皇。


「初めまして、私がこの国を治めるギルフォード・アルカディアだ。このような会い方になってしまって申し訳ないね、レイヴェルト・ランウォーカー君」


「いえ、構いません。初めまして私はナノール王国ランウォーカー辺境伯の息子で、レイヴェルト・ランウォーカーと申します。よろしくお願い致します、教皇台下」


「よろしくね。それで早速で悪いんだけど、キャロに会ってもらえるかな?」


 え。いきなりですか。

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