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51.対抗戦(2)

 俺たちは転移してきた廊下の近くの教室に入り相談をしていた。


「それじゃあ、前に話した通り前衛エレア、中衛俺で、後衛レーネで行こう」


 俺はそう言いロウガを出す。この対抗戦のルールは、班長を倒せば勝ちでも間違えないのだが、問題はこれだ。俺の胸元に付いているバッチ、班長バッチだ。実際には、これを取られたら負けになる。なので班全員で班長(バッチ)を守らなければならない。俺がバッチを見ていると


「これを守らなきゃいけないのよね〜。確か取られてた班は、強制的に迷宮外に転移させられるんだっけ?」

 

 とレーネも班長バッチを見てくる。


「ああ、それに、みんなが一定以上の傷を負ってもそうだ。確か致命傷だと判断したらだったか?」


「確かそうだったわ。どのような傷も迷宮から出たら治るみたいだし、死に近い様な傷だと強制的に迷宮外に転移だって。それに制限時間が2時間ほどでしょ? その間に残っている班は最低1つでも持っておかないと最後まで残っても負け扱いみたいだしね」


 と俺とレーネが話していると、エレアが


「敵が来る!」


 と言う。その瞬間、教室の扉が壊され入ってきたのは、


「見つけたぞ! 斬波!」


 とシズクが入ってき、斬撃を放ってくる。くそ! いきなりお前らかよ! 俺たちは斬撃を避けるために、エレアと俺、レーネで別れてしまった。そこに


「ふん!」


 と背後から大きな盾を振り下ろすバードン。どっから入ってきたんだよ! 俺たちは何とか避けるが、バードンは盾を振り回しながら迫る。俺はレーネを背後に寄せてロウガに魔力を込めそして


「水魔法スパイラルランサー!」


 渦巻く水をロウガに付与し、バードンに向かって突き放つ。しかしそれに気づいたバードンは盾を振り回すのをやめ、本来の使い方で俺の攻撃を防ぐ。しかも、耐え切った。吹っ飛ぶと思ったんだけどな。


 その間にエレアとシズクがかなりの速さで打ち合っている。何とか助けに入ろうとした瞬間、


「よそ見は禁物っスよ!」


 と目の前にケイトが突然出現する。な! さっきのバードンといい、ケイトといい、転移魔法か! ケイトは両手に刃渡20センチ程のナイフを持っており、魔力付与がされている。そして俺の首目掛けてナイフを振る。


「やべ!」


 俺は咄嗟に上半身を後ろに反らせる。何とかナイフは避けれたが、喉から少し血が流れる。避け切ったと思ったが……


「何で切れているから不思議な顔をしてるっスね! 簡単っスよ。魔力で先を少し伸ばしただけなんで、っと!」


 この至近距離じゃあ、ナイフを持っているケイトの方が有利か。俺はロウガで防ぐのに精一杯になっている。その上


「ふんがぁ!」


 バードンが執拗にレーネを狙ってくる。レーネは辛うじて避けているが、このままじゃあ押される。エレアもシズクから離れられないみたいだし、


「ちっ! 水魔法ウォーターウォール!」


 俺は、班員を囲む様に水の壁を出現させる。そして


「一回体制を立て直すぞ!」


 床をブチ抜く! ロウガを思いっきり突き刺すと穴が空いたのでそこから俺、レーネ、エレアの順で降りる。周りを見て誰もいないのを確認する。そして上から


「ふんがぁああ!」


 バードンが飛んでくる。ちっ、しつこい! そしてシズクも降りてき斬りかかってくる。


「斬り裂け、ムラマサ!」


 俺がロウガでシズクの刀を防ぐ。その間にケイトも俺に斬りかかる。……さっきからエマの姿が見えないが、何処にいる? 転移魔法はエマがしているだろうから見える位置にはいるはずだが。


「くっ、流石っスね。僕とシズクさんで攻めても、仕留めきれないなんて」


 何とか耐え切り距離をとる俺たち。今はエレアがレーネを守りながらバードンと戦ってくれている。俺はこの2人を倒すだけだ。


 俺とケイト、シズクで見合っていると、俺の後ろから高速の石弾が発射されケイトたちに襲う。これは見るまでもなく解る。レーネだ!


「ちっ!」


 石弾を避けるケイトたちに追い打ちをかける様に、俺は魔法を使用する。


「風魔法ウィンドブラスター」


 巨大な風の塊をケイトたちに放つ。ケイトたちは辛うじて避けるが、この魔法はそれで終わりじゃない。地面にぶつかった瞬間、周りに竜巻を発生させるのだ。それに巻き込まれ吹き飛ばされたケイトたちは壁にぶつかる。


 俺は直様身体強化を発動しケイトに迫り、そして


「さあ、どうする?」


 槍を喉元に突きつける。少しでも動けば槍が喉に刺さる位置だ。


「……ふぅ〜、降参っス。流石っスね、レイ」


 そう言いながらケイトは、胸元に付いているバッチを取り、俺に渡そうとしたその瞬間


「なっ!」


「ぐわぁぁ!」


 ケイトの腕が水の刃で切り落とされ、そして水の鞭に腕を持って行かれる。魔法が何もいないところから出ている? そこを見ていると、そこからマルフォイが現れた。


「ケイト!」


「ケイト君!」


 シズクと転移魔法で移動してきたエマが、ケイトに近寄ろうとした瞬間、2人の背後にマルフォイの取り巻きが突然現れる。どうやって現れた! そして剣を振り下ろす。俺は直様移動しエマを庇う。ぐうっ、少し斬られたがこの程度なら!


「はぁっ!」


 そしてそのままロウガで取り巻きを突き刺す。取り巻きは悲鳴を上げながら消えていった。シズクの方はバードンが防いでくれた様だ。そしてシズクに斬り伏せられそのまま消える。


「ちっ、間抜けな奴らだぜ。まあ、バッチを手に入れたから良いとするか」


 とマルフォイは笑ってやがる。するとケイトの班が青白く光り出す。バッチを取られたからか。そのままみんな消えてしまった。


「レイ、大丈夫?」


 とエレアが斬られたところを心配してくれる。俺はかすり傷だと答えてマルフォイに向く。


「どうやって現れたんだマルフォイ?」


「あぁん? 何でお前なんかに教えなきゃいけねえんだよ。そのままビビってろ」


 と言いながらまた消えるマルフォイ。俺はマルフォイのいた場所にロウガを突き刺すが手応えはなかった。あの野郎。次会ったらぶん殴ってやる。

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こんなに弱いなら主人公はいったい何のために学園長のもとで王女と共に特訓してたのか しかも辺境伯という公爵や侯爵と同格以上の家に生まれ、戦いの場も多く恵まれた環境で育ってきたにもかかわらず格下の伯爵家の…
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