表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

57/350

49.罠

 俺たちの下に入学式の時にエレアと揉めていた男がやってくる。後ろには取り巻きであろう男たちが3人。こいつの名前は確かマルフォイ・ロドリゲスだったか。ロドリゲス伯爵家の長男だったはずだ。自己紹介で言っていたしな。そしてエレアを囲むマルフォイたち。


「……何? 今は班で訓練しているから忙しいのだけれど?」


 とエレアは聞くとマルフォイは


「忘れたとは言わせねえぞ。入学式の時の借りをキッチリと返さねえとなぁ!」


 と剣を抜く。そしてそのままエレアへと振りかざす。何してんだあいつ!


「っ!」


 エレアもまさか斬りかかってくるとは思わずに避けるのが遅れてしまうが何とかバルバトスで防ぐ。


「何すんだテメェ!」


 とダグリスも剣を抜く。レーネも杖を構える。


「あぁん? お前らには関係ねえよ。この女にはこの前の落とし前として、俺たちのおもちゃになって貰わないとな!」


 と笑い出すマルフォイ。そこに


「ふざけんなよ!」


 とダグリスが斬りかかる。マルフォイはダグリスの剣を難無く防ぎ、そして下がる。


「危ないじゃないか。気を付けろ平民が」


 と鼻で笑うマルフォイ。それに我慢が出来なかったのかダグリスがまた斬りかかる。しかし


「っ! まてダグリス! それは罠だ!」


 俺が言った瞬間はもう手遅れだった。その時マルフォイは剣を鞘に仕舞っていて、取り巻きに渡していたので持っていなかったのだ。。この学園のルールでは、決闘は推奨されているが両者とも武器を持っているか、格闘専門なら戦闘の意思がある場合のみ許される。武器を持っている相手なら奇襲も許されるとか。武器を構えていない人を斬りかかるのは、無抵抗な人に斬りかかるのと同じという扱いになってしまうのだ。


 さっきのエレアの時はエレアが武器を持っていた事になるから許され、今回はマルフォイが武器を持っていない為、斬りかかると罰を処せられる。そして


「ぐわっ!」


 とマルフォイが倒れる。肩を斬られたのか手で押さえている。


「え? え?」


 とダグリスは戸惑っているみたいだ。そしてそこに待っていたかのように


「これはどういうことだ!」


 と男性教師が入ってくる。


「あ、ゾンノ先生! 助けて下さい! あの男が突然斬りかかってきたのです!」


 とゾンノとかいう先生の影に隠れるマルフォイ。その顔は愉悦に満ちた笑みを浮かべている。……くそ! 嵌められた!


「なに! それはいかんぞ! 貴様、この事は学園長へ報告させてもらうぞ。戦闘の意思がないものに斬りかかるなど騎士の風上にもおけんな。覚悟しておくんだな!」


 と訓練所から去るゾンノ。マルフォイは


「これで貴様らは3人で対抗戦に出る事になるだろう。くっくっく。全員の前で恥をかかせてやる。女。俺に楯突いた事後悔させてやるぞ! まあ、全裸で土下座するなら許してやらなくもないがな!」


 と笑いながら出て行く。取り巻きたちも下卑た笑みを浮かべながら付いて行く。


「……すまねぇ。俺が出しゃばったせいで」


 とダグリスが悔しそうに呟く。手は血が出るほど握られている。レーネも心配そうにみている。


「ちがう。私のせい。私がこの班に入ったから迷惑をかけた」


 とエレアも言う。みんなが暗い雰囲気になってしまう。


「……とりあえずメアリー先生のところへ行こう。何か対策を立てないと」


 と俺が提案するとみんな頷いてくれる。そして職員室へ向かう。すると


「あ! レイ君、それにみんな! ちょうど良かったです!」


 と前からメアリー先生が走ってくる。


「皆さん学園長がお呼びです。少し聞きましたがダグリス君がマルフォイ君を斬ったとゾンノ先生が……」


 とメアリー先生はダグリスを見る。


「……とりあえず学園長の元へ行きましょう」


 そして歩く事数分。学園長室へ辿り着いた俺たちは中へ入る。中には師匠に、メロディ副学長、なぜかアレクシアにマルフォイとゾンノ先生がいた。


「来たかメアリー先生。君たちも中へ入ってくれ」


 と師匠が促すので俺たちは中へ入る。マルフォイやゾンノ先生は気持ちの悪い笑みを浮かべて見てくる。こっち見んな。


「ゾンノ先生から聞いたがダグリス君。君がマルフォイ君に斬りかかったというのは本当か?」


 と師匠がダグリスに聞く。ダグリスは躊躇いながらも本当の事を話す。そこでゾンノ先生が


「学園長! 入学早々このような事が起きては今後の学園生活に支障をきたすと思われます。ここは今後このような生徒を出さないように退学にするべきかと。今回は平民が犯した事ですし」


 とんでもない提案をするゾンノ先生。この野郎、ぶん殴りたい。


「ちょ、ちょっと待ってくださいゾンノ先生! それは幾らなんでも性急過ぎませんか! もう少し考えても!」


 と反論するメアリー先生。しかしゾンノ先生は聞く耳を持たない。それどころか反対に反論をしてくる。


「今回のような事件を軽い罰で済ませていれば他の生徒も行う者が出て来兼ねません! それを防ぐ為にも最初の処罰が肝心なのです!」


「しかし!」


 と話は平行線を辿る。そこにようやく師匠が口を開く。


「そこまでた。ダグリス君への処罰は1週間の謹慎だ。対抗戦には出れない。これを処罰とする」


 師匠がそう言うとゾンノは驚きの表情を見せる。


「な! 学園長、それはいくらなんでも軽すぎでは!」


「なんだ、私に意見があるのか?」


 とゾンノ先生を威圧する。ゾンノ先生も冷や汗をかいている。


「この話はこれで以上だ。ゾンノ先生とマルフォイ君はもういいぞ。レイ君たちはもう少し話をしよう」


 と言われ、退出を促された2人は俺たちを睨みながら学園長室を出て行く。そして出て行ったのがわかると、師匠が突然笑い出す。なんだよ?


「はっはっは、見事に嵌められたなレイ。よく見ておかないからだ」


 この師匠は。俺を指差して笑ってきやがる。殴りたいあの笑顔。無理だけど。周りは俺と師匠のやりとりを見て困惑している。アレクシアとメロディ副学長はため息をついているが。


「……学園長。それで俺たちは対抗戦は3人で出る事になるのですか?」


 師匠に聞いてみる。取り敢えず確認しておかないと。俺が師匠と呼ばずに学園長と呼んだのが気に食わないのか口を尖らせてくる。流石にみんなの前では言えません。


「ああ、そうなるな。無理だったら棄権でもいいぞ」


 とニヤついた顔で見てくる。あー殴りたい。


「いえ、このまま参加します。マルフォイの顔をブン殴ってやらないと」


 俺が言うと、師匠も満足そうに頷く。班のみんなも頷いてくれる。


「あいつ、ぶっ殺す」


「あの気持ちの悪い顔に石弾ぶち込んでやる!」


 ……めっちゃ怖いんですけど。そしてダグリスも


「すまない、みんな」


 と頭を下げてくる。


「ダグリスの分も殴ってやるからな!」


 俺がそう言うとエレアもレーネも頷いてくれる。あのニヤついた顔をパンパンに腫らしてやるぜ。

評価等よろしくお願いします!


訂正

話数間違え

47.実力⇨48.実力

48.罠⇨49.罠

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
さすがに主人公も学園長も間抜けすぎないか? 格下のアホ共を増長させても物語として読者をイライラさせるだけ
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ