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48.実力

 班が決まった翌日、俺たちは訓練所に来ていた。早速みんなの実力を確認する為だ。


「よし、それじゃあこれからみんなの実力を確認するぞ。まずはみんながどの武器を使うかだな」


 そしてみんなに武器を出してもらう。ダグリスはオーソドックスな剣と盾を装備している。レーネは魔法師って事で杖を使うみたいだ。


 何でも、2人の村には王国軍の元隊長がいたらしく、その人に剣術と魔法を教えてもらっていたとの事。ダグリスは魔法の才能がなかった為、水魔法の簡単のしか使えないらしい。その代わり剣術がかなり得意との事。レーネは魔法の才能があって、その中でも土魔法が得意でレベル6あるって言っていた。


 そして、エレアは入学式に見た通りのエレアの身長ぐらいある斧を出してくる。エレアは斧術が得意で、その中で闇魔法を混ぜた攻撃を行うとの事。みんな色々能力があって面白いな。


「なるほどな。ダグリスとエレアは近接タイプ。俺は槍を使うから中間で、魔法主体のレーネは後衛ってところかな。まあ、対抗戦のルールがわからないことには陣形も組めないんだけど」


「それはそうだけど、今レイが言った通りになるんじゃない? ダグリスが敵の攻撃を防いで、エレアが攻撃。レイが中間で指示を出し、私が魔法で援護。これが妥当だと思うけど」


 そうだよな。今レーネが言った通りの陣形が俺たちには合っているのかも。


「……実力を見たいからと2対2でやってみるか。俺とエレアのチームで、ダグリスとレーネがチームで」


 俺がそう言うと、


「確かに確認した方がいいな。よしやろう! レーネ。足ひっぱんなよ!」


「誰に言ってんのよ。ダグリスこそミスしないでよね!」


 と喧嘩しながら俺たちから離れていく2人。どっからどう見たって夫婦だよ君たちは。


「じゃあ俺たちも準備しようか。……エレア?」


 俺たちも準備をしようとするがエレアがじーっと俺を見てくる。どうしたんだ?


「レイ。武器は?」


 と、首をかしげてくる。それにつられてツインテールがふりふりと揺れる。そういえば俺だけ武器を出してなかったな。


「ああ、俺はこれだよ」


 とアイテムリング(アイテムボックスをそう呼んでいる)からロウガを出す。それを見ていたエレアは、指輪がアイテムボックスだと思わなかったのだろう、驚いている。普段表情があんまり変わらないからなんか新鮮。


「その指輪、アイテムボックスだったんだ」


「ああ、師匠から貰ってね。お、向こうも準備が出来たみたいだ。そろそろ始めようか」


 そしてエレアが前で、俺が後ろに立つ。


「ダグリス、レーネ。ルールは武器が手から離れるか、降参、致命傷であるであろう攻撃を受けたらそこで終了だ。無駄に怪我する必要もないしな。それでいいか?」


 俺がそう聞くと2人は頷く。


「よし。それじゃあ……はじめ!」


 俺がそう言うとダグリスとエレアが走り出す。そしてエレアは斧を振り下ろす。何て速さだ! あの大きさの斧をあんなに早く振り下ろすなんて。しかしダグリスはその攻撃を、左手に持っている盾で受け流す。受け流された斧はそのまま地面を叩きつける。ズドン! と音を立てて減り込む。


 ダグリスはその隙を狙い剣で斬りかかる。俺はさせない為、ウォーターカッターを何発も放ちダグリスをけん制する。よし、その間にエレアは体勢を立て直すことが出来た。そこに


「アースバレット!」


 とレーネが土の塊を俺に向かって放つ。俺は焦らずにロウガで土の塊を弾く。何発も撃ってくるレーネ。


 その間にエレアとダグリスは接戦をしている。エレアの斧をダグリスは、盾で受け流しては斬りかかる。エレアも直様、手元に斧を戻してダグリスの剣を防ぐ。エレアも斧の使い方が上手い。刃の付いている部分だけでなく、石突きの方も攻撃や防御もする。2人とも中々の実力だ。だけどエレアの方が動きがいい。ダグリスを少しずつ押しているし。


「中々やるな、エレア! 俺も本気で行くぜ! 身体強化!」


 すると、ダグリスは身体強化を使用して、スピードを上げる。今度はエレアが押され出した。エレアはまだ身体強化を使わないみたいだが……。そしてそこに


「くらいなさい、アースプレッシャー!」


 とレーネは直径で10メートルほどの大きさの岩を空中に浮かせる。そして


「はぁあ!」


 とエレアに向かって投げる。その一瞬にダグリスは避難している。2人の連携が垣間見れた気がする。俺は直様エレアの元へ走る。


「エレア、俺が破壊するから下がれ!」


 と言うが、


「大丈夫。私が壊す。行くよバルバトス」


 と斧に魔力を流す。すると斧に黒い魔力が纏い出す。あれは魔斧なのか?


「いけ」


 そしてエレアは大上段に構えて、一気に岩に向かって振り下ろす。すると斧から黒い斬撃が放ち岩へと向かっていく。そして岩にぶつかると、切り裂かれる岩。真っ二つになった。俺はエレアの斧を見ていると


「これは魔斧でバルバトスって言う。魔力を流すことによって刃から斬撃を飛ばす。魔力流す量によっては威力も形も変えられる」


 と教えてくれるエレア。少し自慢げだ。そしてそこにダグリスとレーネがやってくる。どうしたんだ。


「どうしたんだ2人とも?」


 俺が聞くと


「いや〜、あれが今んところの俺たちの必殺技だったんだよ。俺が足止めしてレーネの魔法でトドメを刺す。だけど、ああも簡単に防がれたらこれ以上やってもこっちはジリ貧だからな。エレアにも手加減されていたし」


 そう言い頭を掻くダグリス。


「そうね。レイも全然本気を出してなかったし。少しショックだわ」


 と落ち込むレーネ。


「そんなことないよ。ダグリスは上手いこと盾で防いで、隙を見ては攻撃していたし、レーネの援護も中々だったよ。まあ、エレアが1つ上だったみたいだけど」


 俺がそう言うとみんながジト目で俺を見てくる。何だよ?


「そう言うレイが1番強いんだろ? さっきのレーネの攻撃を防いだ時も一瞬で反応していたし。エレアの元へ駆け寄る速度もかなり速かった。それでもまだ本気じゃないみたいだしな」


 と俺を見てくるみんな。


「ははは、まあ落ち着けよ。でもこれなら俺たちも中々行けそうだな」


 と言うとダグリスは


「当たり前よ! 目指すは1位だぜ!」


 と興奮した様子で叫ぶ。レーネは呆れた顔をし、エレアはじーっと見ている。俺は苦笑いをするしかなかった。とそこに


「あ、いましたぜ兄貴。あの紫髪の女です!」


 と男が練習所に入ってきた。そして後ろには入学式にエレアと争った男もいる。


 ……またお前かよ。

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