47.班
俺が入学して2日が経った。この2日間は園内の案内だけで終わった。俺も師匠の元へ通う様になってから4年が経つけど、行くとしたら師匠のいる学園長室か、訓練所にしか行かなかったため、学園の中を見て回るのは中々楽しかった。
ただ図書館に行った時はびっくりしたけど
「はい、次はこの図書館になります! この図書館は王国一の蔵書量を誇り、閲覧が制限されている本もありますから、皆さんもぜひ活用してください!」
とメアリー先生が話しながら中に入っていく。中に入ると
「ようこそ図書館へ!」
と、何故か笑顔のヘレンさんがいた。何をしているんでしょうかあなたは?
「私はここで司書をしておりますヘレンディーネ・ラルグルスと申します。皆様ご用がある際は私にお申し付けください!」
と笑顔で言うヘレンさん。司書? なんで司書に? みんなが図書館の中へと入ってく中、俺はヘレンさんに尋ねる。
「ヘレンさんどういう事ですか? なんで司書になってるんです?」
「そ、それは私は本が好きなので!」
と言うが、明らかに怪しい。
「本当ですか? 本当に本が好きで司書に?」
俺はじーっとヘレンさんを見る。
「は、はい本当ですよ」
じーっと
「ほ、本当ですって」
じーっと
「ほ、本当ですからぁ〜」
……なんかヘレンさんが可哀想になってきた。
「……わかりました。信じます」
俺がそう言うと物凄く嬉しそうに返事をしてくれる。アレクシアといい、ヘレンさんといいまったく。
そんなこともありながら2日間の案内は終えた。そして今日は
「はーい、皆さん! 今日は班分けをします! この班分けは今後の学生生活で大事なものとなります! 実技、魔法などに演習も基本この班かクラスごとでの行動となりますので、真面目に考えてください! 班の人数は4人になりますので10組出来るはずです!」
と、これからの班を決める日だ。この学園は、余程のことがない限り、クラスは変わらない。そのため、この班決めも今後卒業するまでの4年間変わる事はない。だからこの1年生の時期の初めにやる班決めはとても重要なのだ。
1クラス10組で1学年計50組で順位が付けられる。この順位も重要らしいが、何のための順位かはまだ教えてもらっていない。順位のつけ方は授業の成績ごとで付けられるポイントにより変わるらしい。
そんなことを考えていると
「なぁ、レイ。俺たちと組もうぜ!」
と、ダグリスが提案してくる。隣にはレーネがいる。まあ、この2人は組むと思っていたけど。
「俺でいいのか? 俺とはまだあって3日ほどしか経っていなくて何に役立つかも分からないのに」
俺がダグリスにそう聞くと、ダグリスは突然笑い出す。何だよ。
「ははは、そんなのみんなそうじゃねえか。それなら少しでも話した事あるレイと組みたいと思うのは当然だろ? それでどうする?」
確かにダグリスの言う通りだ。なら俺も覚悟を決めるか。
「わかった。一緒の班になろう。ダグリス、レーネ。これからよろしく!」
俺がそう言うと2人はハイタッチをする。そんなに喜んでくれるなら俺も嬉しいな。
「よし、これであと1人だな! 誰が良い奴いるか?」
そう言い教室内を見渡すダグリス。他に誰かか。俺はふと気になり隣を見ると、1人で座る紫髪の女の子がいる。入学式早々乱闘を仕掛けた子だ。自己紹介の時に確か、エレアノーラって名乗っていたな。国外から来て試験を受けたとか。
俺は隣の席に座るエレアノーラに話しかける。
「ええっと、エレアノーラさん……だよね。もう班とか決まった?」
と俺が聞くとエレアノーラは首を横に振る。後ろにいる2人はギョッとしたのがわかる。
「もし良かったら俺たちの班に入らない? 俺たちもちょうど1人空いていて」
「ちょ、レイ」
2人には悪いけど勝手に進める。これも何かの縁だろう。
「……私で良いの? 後ろの2人は嫌みたいだけど」
「そんな事ないさ。なあ、ダグリス。お前さっき言っていたよな。少しでも話した事ある奴と組みたいって。ほら今少し話したから他の奴より組みたくなっただろ?」
俺がそう笑いながら言うと、ダグリスは
「ああ、もう、いいさ、これも何かの縁だ! これからよろしくなエレアノーラ! 俺の名前は忘れていると思うから言うけどダグリスだ!」
「そうね。縁は大事よね。私はレーネよ。よろしく」
と2人も笑顔だ了承してくれる。いい奴らだ。
「2人ともありがとな。それで俺の名前はレイヴェルト・ランウォーカーだ。よろしくな」
俺たちはそれぞれ挨拶をする。するとエレアノーラは
「ありがとう。私の名前はエレアノーラ。親しい人はエレアと呼ぶ。よろしく」
と笑顔で言う。そういえば初めて見たな笑顔。
俺たちが決まってから10数分後、他のみんなもそれぞれ班が決まったみたいだ。
「はーい。それではみなさん班が決まりましたね。それじゃあ今から渡す用紙に班員の名前を書いてください。それで登録完了です。あ、あと、先頭に書く名前は班長でお願いします!」
確かに班があるならその中のリーダーも決めないといけないけど、そんな事言ってなかったぞメアリー先生。他の生徒がその事を指摘すると、
「あ、ありゃ? 言ってませんでした? あはははは」
と笑って誤魔化そうとする。みんながじーっと見ると
「ご、ごめんなさ〜い!」
と謝る。そのあとの説明で、班長とはその名の通り班のリーダーで、各班員に指示を出したりする立場だ。班ごとの訓練の際は指示をしなければいけないらしい。先生からの指示も班長を通す事もあるらしく、大切な役割だ。結構重要な事を忘れていたなメアリー先生。
そしてメアリー先生から紙をもらった俺たちは円になって考える。
「それで誰が班長になるんだ?」
俺が聞くと
「ん? そんなのレイに決まってんじゃん。何言ってんの?」
とダグリスが聞いてくる。しかも紙に俺の名を……って!
「ちょっ! 何書いちゃってんの!」
「あのなぁ。こういうのは貴族の位が高いものが自動的にやるものだぞ。俺とレーネは平民でエレアは……わかんねえけど、とにかくこのメンバーで貴族なのはレイだけなんだから」
と紙に書き終えるダグリス。そう言われたらその通りなんだが。
「2人ともいいよな?」
「私はいいわよ」
「私もいい」
そして、笑顔で見てくるダグリス。はぁ、仕方ないか。
「……わかったよ。俺が取り敢えず班長でやるけど、みんなも助けてくれよな」
「もちろんだぜ!」
そのあとはみんなの名前を書いて、メアリー先生に提出する。
「……はい。確かに受け取りました。レイ班長これから頑張ってくださいね。これが班長バッチです」
と渡させるバッチ。こんなのも付けないといけないのか。この国の紋章が入っている。そのバッチを俺は胸に付ける。
「これで皆さん決まりましたね。これから卒業までの間、協力し合う仲間です! 信頼を深めてくださいね! それではまず、1つ目の行事を発表します! それは、来週に班対抗戦を行います。ルールなどは追って説明しますが、10班の内最後まで残っていた班が勝利です。この一週間で連携などの誰が何をできるかなどの確認をお願いしますね! それではホームルームを終了します! 今日から座学頑張ってくださいね!」
と教室を出て行くメアリー先生。班対抗戦か。少し楽しみだ。
◯◯ラを観に行っていて更新が遅くなりました(笑)
評価等よろしくお願いします!




