大陸激突編 他大陸
「それでは各大陸の特徴を話していきますね」
キリッとした表情で皆を見るアステル。そして、この大陸の他の六大陸について話し始めた。
「まず、私たちの住む大陸は、この世界の真ん中にあります。周りの大陸に囲まれているのが特徴で、北と南に一大陸ずつ、東と西に二大陸ずつあります。
北から順に説明をしていきますと、北の大陸は私たちの大陸より魔道具の技術が発達した大陸になります。通称魔道機と呼ばれる道具が作られており、それを身に纏った魔道機兵が出てくるでしょう」
それは、俺の前世の兵器のような物なのだろうか。いや、魔法がある世界だ。前世より凶悪な物が出て来てもおかしくはないな。
「そして、逆に南は北の国ほど技術は発達してはいませんが、とある能力があります」
「とある能力?」
「はい。南の国は自らと契約した英霊の力を自身の体に宿す事が出来るのです」
「英霊?」
「はい。その大陸で過去に存在した人物たちで、何らかの歴史を残した人たちの霊になります。彼らはそれらの霊を呼び自身の身に宿す事が出来るのです」
つまり過去の英雄を自身の身に宿して戦う事が出来るのか。戦闘だけじゃない。様々な知識を持った天才や、物作りの天才がいたって不思議ではない。技術が発達していないと言っても、北の大陸に比べてだとすれば、下手すればこの大陸より高い可能性も考えておかなければ。
「続いて西の二つの大陸にいきます。まず更に奥の西の大陸は、七十二天器という武器があります。その大陸に存在した72体の悪魔を討伐し、その力を封印されていると言われる武器で、適性のある者はその武器の力を扱えるそうです」
七十二天器ねぇ。変わった武器もあるものだ。
「この大陸に近い方の西の大陸は、女尊男卑の国になります。女性の方が魔力が高く、戦闘能力も高いため、そういう大陸になっているようです」
女尊男卑か。女性だからといって油断出来ないのは師匠や妻たちで身の程をしっている。
「そして、残った東の大陸なのですが……そのうちの奥にある大陸は少しわからないのです」
「わからないっていうのは?」
「私がまだ上にいた頃から、その大陸については見させてくれなかったのです。秘密主義な神だったので」
「それなら仕方がないよな。それで、最後の大陸は?」
俺が尋ねると、かなり難しそうな顔をするアステル。最後の大陸には何かがあるのか?
「おそらく、今から言う大陸が1番の強敵となる大陸でしょう。この大陸に近い東の大陸は、それぞれの国の王が、神の血を引く半神なのです」
「それって、アステルみたいに管理している神が、その大陸で生まれた女性と結婚したってことか? 俺たちみたいに?」
「いえ、それなら良かったのですが、彼は生贄として女性を差し出すように天命を与えているのですよ。そして、その女性を孕ませて、次代の王にしているのです」
「って、事は今回の戦いで出てくるのは」
「その半神たちが来ることでしょう」
ふむ、それはかなり手強いだろう。下手すれば俺よりも強い可能性がある。
「まあ、なるようにしかならないよな。俺たちの事は他の神には知られているんだろ?」
「詳しくは知られていません。私が今説明したような大雑把な感じでしか。ただ、レイさんの事はバレています」
「だろうな」
前にアステルに聞いたけど、俺のような事になったのは、今回が初めてだったようだからな。他の神たちも色々と聞いて来たらしい。
「とりあえず、大陸の話はこのような感じになります。何か質問はありますか?」
「……なさそうだな。まあ、今から日までやれることをしよう。アステル、色々と教えてくれ」
「ええ、任せてください」
それから、俺たちは試合が行われる日まで、アステルの指導の下、訓練を行った。かなり厳しめの訓練にヘトヘトになりながらも、耐えて、戦いの日を迎えた。




