大陸激突編 vs火竜王
「お前が火竜王か? 俺の名前はレイヴェルト・ランウォーカーだ。ドモンさんの紹介で会いに来たんだ」
俺の言葉に火竜王は何か匂いを嗅ぐような仕草をする。そういえば、エクラもたまにしているな。竜も嗅覚が良いって言っていたし、ドモンさんの匂いでも探しているのかもしれない。
「……確かにてめぇからはジジイの匂いがするな。それに、それ以外の竜の匂いも複数。チッ、本当に連れて来やがるとはジジイのクソが」
火竜王は苛立ちげに地面蹴る。そして俺を睨んでくる。流石は竜王だ。先程の古竜とは比べ物にならない程の圧を放って来た。
ただまあ、今まで出会ってきた竜王たちに比べれば、まだまだとしか言えないな。レビンさんぐらいになると、この圧で大地を揺らすほどだったからな。
「それで、俺に何の用だ? 用があったから来たんだろう?」
「ああ。お前の力を借りようと思ってな。ただ、その前にお前の実力を知りたい。やろうか」
俺はそう言いながら神格化を発動する。火竜王とただやり合うだけなら普通の状態でも戦えるのだが、今回はドモンさんに頼まれていたように、ある程度屈服させなければならない。
「っ!!! ……はっ、ジジイから聞いてはいたがまさかこれ程とはな。だが、これで怯むと思うなよっ!!!」
火竜王は冷や汗をかきながらも、自分を鼓舞するように大声を発して俺へと向かってきた。火竜王のいた地面はかなりの力を加えて踏み込んだのか、大きなクレーターが出来ていた。
「おらぁっ!」
そして目の前に現れた火竜王は炎を纏わせた右腕で殴りかかってくる。俺はそれを動く事なく右手のひらで受け止めた。火竜王の右腕から放たれた熱風が俺の後ろへと突き抜けて森を焼いていく。
「森林破壊はオススメしないぞ?」
「ちっ! るせえんだよ!」
火竜王は悪態をつきながらも、掴まれた右腕を離させるためにか、自分の腕を交差させるように左腕で同じように殴りかかってきた。俺も同じように左腕で受け止める。
火竜王はそのまま跳んで宙で回転し腕の交差を戻しながら、俺の頭上へ左足を振り下ろしてきた。火竜王の両手を離して右腕で受け止める。先程から中々の一撃を放ってくれているが、まだまだだな。
振り下ろしてきた左足を跳ね返し、火竜王の腹へと掌底を打ち込む。掌底だけならそこまで威力はないが、火竜王に打ち込んだ瞬間、圧縮していた魔力が膨れ上がり爆発、火竜王を衝撃で吹き飛ばしたのだ。
吹き飛ばされた火竜王はいくつもの木々を折りながら吹き飛び、火山にぶつかるまで止まる事は無かった。ただ、火山にぶつかった衝撃で、島が大きく揺れ始めた。……これはやっちまったか。
火山が動き出してしまったようで、火山のてっぺんから煙が立ち込め始めた。これは止めないとやばいな、と思い火口へと向かおうとしたが、それよりも早く向かう影が見えた。
その影は火口から中へと入ると、ドゥン! とんでもない爆発音と振動が島を襲う。そして天高く伸びる火の柱。その柱の中から膨大な魔力の塊がいるのがわかる。
へぇ、火竜王の奴、火山の力を自分の魔力に変えたのか。火の柱も火竜王に吸い込まれるように消えて行き、姿を現したのは六翼の竜だった。
翼は上と1番下が黒で、真ん中が赤色。顔や角、肩、肘、手、腰、尻尾、膝、足が黒色で、それ以外の腕やら体、膝と足以外は赤色だった。そして何より、他の竜のような姿ではなく、二本立ちで人間のように立っており、周りに黒炎の球を浮かせながら飛んでいた。
「それがお前の本気の姿か?」
「……ああ、これでもてめえの強さには敵わねえだろう。だが、傷つける事は出来ると思うぜ?」
火竜王がそう言うと同時に、周りに浮かせていた黒炎の球を放ってくる。俺は迫ってくる黒炎の球を素手で弾くと、着弾した場所が爆発して火の柱が登る。
俺が黒炎の球を弾いている間に接近した火竜王は、俺の体を簡単に握り潰せるほどの大きさをした手を振り下ろして来た。指先の鋭い爪で切り裂こうってんだな。
俺は離れた場所に突き刺していたガラドルグに向かって手を伸ばす。そして俺の右手のひらに吸い寄せられるガラドルグを掴み、振り下ろされる爪を受け止める。
しかも、俺が火竜王の爪を受け止めた瞬間、爆発しやがった。咄嗟に障壁を張ったため無傷だがびっくりした。煙から飛び出すと再び放たれる黒炎の球。ガラドルグで弾きながら火竜王へと向かう。
火竜王は六翼の翼を大きく広げて迎え撃つ姿勢を見せる。俺の力を見せても真っ向から迎え撃とうとするその姿勢、流石竜王だ。これなら、俺も心置き無く力を使う事が出来る。
それから俺と火竜王は一晩ぶっ通しで打ち合い続けた。俺も火竜王も一歩も引く事なく。火竜王が手加減無しのブレスを放っても俺が真っ向から受け止め、逆に俺が攻撃しても火竜王は真っ向から受け止めた。
互いに引く事なく打ち合い続けた結果、俺が火竜王を叩きつけて勝敗が決した。人間の姿になった火竜王は全身ボロボロで血塗れ。呼吸が浅いまま気を失っていた。
少しやり過ぎた気もしなかったが、ドモンさんの依頼があったからな。これで良かったのだろう。後は目を覚ましてから話し合うだけだな。
「転生して成長チートを手に入れたら、最凶スキルもついたのですが!?」の小説が発売して早1ヶ月が経ちました!
本を買いました!という報告も頂きとても有り難い限りです!
まだ、在庫はありますのでまだ買っていないという方は一度お手にとってみてはいかがかなと思います!
フィーリアとクロナがとても可愛いですから!
それと、私の別作である「黒髪の王」も、25日に更新と共に、とある報告がありますので、そちらもご覧になっている方は、みていただけたらと思います!




