大陸激突編 参加者たち
「えっ? 俺に推薦したい人ですか?」
アステルから話を聞いて2日ほど経った日のこと。そろそろメンバーを集めに行こうかと考えていた矢先に、城へと土竜王であるドモンさんがやって来たのだ。
普段は迷宮の塔を建てた今は神島と呼ばれる場所にある、神竜の扉を守る番人として神島にいるのだが、一体どうしたのだろうか、と思っていると、言われたのは神竜から大陸同士の対戦の事を聞き、どうしても参加させてほしい者がいるらしいのだ。
「それは誰なのですか?」
「お主に紹介したい者はのう、新たな火竜王じゃよ。数年前の魔神との戦いや、封印を利用して迷宮を作る際などの時は前火竜王だったのじゃが、もう歳での。参加出来なかったのじゃ。参加出来なかった事を悔やんでおった。三度の飯より戦いが好きだったからの。そやつが、2年ほど前に逝ってのう、代替わりしたわけじゃ。そやつを連れて行ってほしい」
「……新たな火竜王ですか。実力があるのなら構いませんが、出来れば現竜王のどなたかに参加していただきたいのですが」
新たな火竜王も強いのだろうけど、今の竜王たちに比べたら多分ではあるが、現竜王たちの方が強いだろう。それなら、彼らに出てもらいたいのだが……
「お主が思う事はわかる。確かに現段階ならワシらの方が強いじゃろう。ただ、お主の妻のエクラ嬢のように才能の塊ではあるぞ。なにせ、新たな火竜王は前火竜王と闇竜王イレーズとの間に出来た子じゃからな」
……おっと、ここでまさかの驚きの事実が明かされた。俺がまさかの新事実に驚いていると、ドモンさんは話を続ける。
「イレーズがどんな思いで産んだかはわからんし、産んですぐに魔王たちの元へと行ったからのう。そのせいで少々捻くれてしまったが、まあ、実力は大丈夫じゃろう」
そしてカッカッカと笑いながらお茶を啜るドモンさん。ドモンさんは場所が書かれた紙を置いて、子供たちに会いに行ってしまった。あの人子供大好きだからなー。
さて、どうするか。まあ、ドモンさんが話を聞いた上で推薦してきたのだ。会いに行ってみるかな。ドモンさんにもらった紙を見ていると、扉が叩かれる。返事すると扉を開けて入って来たのはライトだった。
「失礼します、レイ様。皆様を連れて来ました」
おっ、どうやらライトにお願いしていた事を終えて帰って来たようだ。そして、ライトと共に部屋へと入って来る人たち。人数は3人。
「よおっ、中々面白そうな事に巻き込まれているじゃねえか、義弟よ」
楽しそうな笑顔で入って来たのは俺の妻の1人であるフェリスの兄で、獣人国ワーベストの次期国王であるファーガス義兄上だ。
「まさか、僕が呼ばれるとはね。微力ながら手伝わせてもらうよ」
そしてその隣に苦笑いしているのは、俺と同じアステルに加護を貰った男で、ナノール王国の次期公爵であるティグリス。
「お、俺まで呼ばれるなんて」
最後に少しおどおどしているのが、同じくアステルの加護を受けて、俺の妻である香奈や麻里たちと共にこの世界にやって来た男、海堂 匠だ。
この3人をライトにここに連れて来てもらったのは、勿論対戦に出てもらうためだ。俺の知っている中では妻たちにも負けないほどの実力者だ。
……よし、彼らにもこのまま火竜王のところまでついて来てもらおうかな。




