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後日談.最終話 未来への投資(1)

「ここに来るのも久し振りだが、変わらないな」


「……そうね。私はここが1番嫌いだけど」


 俺はアレクシアの言葉に苦笑いする。まあ、それは仕方ないけど。なんせ、俺と別れた場所だからな。アレクシアに心の傷を負わせてしまった場所。4年前の最後の戦いの場所。伏魔殿があった場所だから。


 今は、俺の魔法で伏魔殿を異空間に飛ばしているため、この場所は空き地となっており、周りとは別に草木も生えずに、地面がむき出しの状態になっている。


 その原因が、未だにこの土地に残る瘴気のせいだ。魔神バロンを倒して4年。この土地には未だにバロンの残滓が残っている。


 その理由の1つが、まだ、バロンを倒し切れていない事にある。


 昔、アステルがバロンを倒し切れずに封印した結果、バロンの力は5つに分かれて封印された。魔の大地、大神木、水竜の祠、大金山、アステルの神殿に。


 俺が命を懸けて倒したバロンは、5つに分かれていた内の本体ではあったが、残り4つ封印が残っているのには、変わりない。それがバロンなのか、それとも別のものなのかはわからないが。


 そして、当然残った封印をそのままにしておくわけにもいかないので、俺、アステル、神竜で話し合った結果、俺の案が通る事になった。


 ただ、俺の案はきっちりと危険の無いようにしなければいけないので、それを実行するのにかなり時間がかかったが。ここにアレクシアしかいないのも、それが原因だ。


 みんなにはそれぞれアステルを筆頭に準備をして貰っている。他にはヒカリン、マリリン、ライトの精霊たち。光竜王のヒルデさん、水竜王のヴァーティーさん、風竜王のアニマさん、土竜王のドモンさんの属性竜王たち。それから師匠にもお願いしている。


 俺が考える最強の布陣を別の場所へと待機している。更に別の世界であるクリーナの助けも借りて。彼女のおかげで俺も強くなったし。


「それじゃあ、やるよ、アレクシア」


「ええ、いつでも良いわよ」


 良し、それじゃあやろうかね。俺は神格化を発動。そして、神域魔法を発動。伏魔殿を異空間に飛ばしたように、この世界に戻す。


 その瞬間、この辺りの雰囲気が変わった感覚。全く別の空間になったようだ。そう感じるほど重苦しい空気。伏魔殿からはかなり濃い瘴気が噴き出している。


 そして、その瘴気が集まり形を作っていく。まだ、伏魔殿の機能は残っているようで、次々と黒い影が出て来る。魔兵だ。


 本当ならここで倒すべきなのだが、再び伏魔殿を囲むほどの魔法陣を発動させる。現れた魔兵ごとだ。そして伏魔殿を丸ごと転移させる。


 再び更地に変わる魔の大地。さっきと違うのは、ここに残っていた瘴気ごと別の場所へ移した事だ。そのため、ここは普通の土地へと変わった。


 この更地も時間をかけて木々を生やして行くだろう。この魔の大地に出来ている生態系も変わる事は無いと思うし。


「良し、アレクシア、移動するから掴まってくれ」


「わかったわ」


 アレクシアは俺の手を握る。アレクシアの柔らかい手の感触を感じながら、転移を発動。転移する先は当然伏魔殿を移動させた先へと。


 移動した先には、既にみんなが待機しており、みんなで伏魔殿を囲むように立っていた。


 キャロが伏魔殿を覆い尽くすように障壁を張り、アステルがそれを補強する。


 伏魔殿の周りには4本の柱が立っている。この4本の柱は、想像が付くとは思うが、魔神バロンの他の封印だ。魔神バロンの本体が封印されていた伏魔殿と、この世界に残った4本の封印の柱が共鳴しあって、先ほど以上の瘴気が噴き出していく。


 俺とアレクシアは、キャロとアステルがいる近くに移動する。アステルが助けているとは言え、キャロの負担は大きい。大丈夫か確認しなければ。


「キャロ、アステル、大丈夫か?」


「レイ、私は大丈夫よ。アステルが助けてくれているから」


「私もです。それよりレイさんこそ大丈夫ですか? あの封印を作り直すとするには一度バロンの封印を解かなければなりません。そうなれば、当然奴とも再び戦う事になります。力は本体だけの時より強いでしょう。しかもその後の封印もあります」


 大丈夫だよ。アステル、お前から貰った力もあるし、新しい力もある。慢心しているわけじゃ無いが、負ける気もしないからな」


 俺たちがそんな事を話している間にも増え続ける魔兵たち。強さは以前より強くなっているだろう。みんなも直ぐに戦える準備をしている。


「さてと、行こうかね。キャロ、障壁を開けてくれ。アステル、封印を頼むぞ」


「わかった!」


「任せて下さい!」


 俺の言葉に反応して、障壁を開けてくれるキャロ。そこから師匠、ヒルデさん、ヴァーティーさん、アニマさん、ドモンさん、アレクシア、エアリス、フェリス、フィーリア、エクラ、ハク、ヒカリン、マリリン、ライトが中へと入る。


 香奈とマーリンは万が一の時のためのアステルとキャロの側にいる。


 身重の麻里、ヘレン、プリシア、ミルア、クロナは自宅でアレンたちを見てくれている。


 俺もみんなに続いて中へ入ると、それに合わせてアステルがバロンの封印を解いてくれる。すると、封印から黒い柱が立ち上がり、それらが伏魔殿に向かって伸びていく。4本の柱が集まり少しずつ形を作っていく。


 俺もガラドルクを取り出して、戦える準備を済ませる。さて、やるか。

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