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後日談 のほほんと

「……むぅ」


「……あはは、かなりの人気ですね、レイ様は」


 私とミルミの視線の先には、学園中の女子(・・)生徒に囲まれているお兄様の姿があります。


 お兄様がこの学園の臨時講師として来られてから1ヶ月が経ちました。当然国、世界の英雄として有名なお兄様が、講師としてくれば、注目されるのは当たり前です。


 その上、お兄様には何かのスキルがあるのか、教えるのが物凄く上手いのです。その結果、私たちのクラスは、たった1ヶ月ですが、今まで使えなかった魔法や、スキルのレベルが上がった人が何人もいました。


 その事は瞬く間に学園中に知れ広がり、他のクラス、他の学年の学生たちがお兄様に会いに来るようになりました。


 ただ会いに来るのなら構わないのですが……明らか他の目的で来ている人もいます。それが目の前の光景にも。


「ランウォーカー先生、もしよろしければ、我が家に来ませんか? 今日友人たちと屋敷で勉強する事になっているのです!」


「ランウォーカー先生、私たちの魔法を見てくれませんか? その後、お話をしたいので、一緒に夕食でも……」


「ランウォーカー先生、私たちの剣を見てくれ! 前に教えて貰ったようにやったら、上手くいって! そ、それでもし良かったら、その後みんなで食事でも……」


 皆さん、誘い過ぎです! 何ですか、皆さん揃って屋敷への招待や食事の誘いばかり! 明らかその後に目的があるのは丸わかりです!


 どうせその後、薬などで眠らせて、既成事実を作ろうとでも考えているのでしょう! しかし、残念でしたね! お兄様はあらゆる毒や薬物に耐性があります。そういう薬は効かないのです! さすがお兄様です!


 ……ふぅ、少し興奮し過ぎました。お兄様の凄いところは他にも幾つもあるのですが、これ以上は気持ちが収まらなくなりますので、少し抑えましょう。


 気が付けば、お兄様は教室からいなくなっていました。もう職員室に帰ってしまったようですね。流石にあそこまでついて行く人はいませんから、少し安心ですね。


 聞こえて来る声も、訓練などは付き合うようですが、その後に誘われた食事などは断ったようです。まあ、家に帰ったらアレンとエレネが待っていますからね。もちろん私たちもです。


「フィーリア様、この後はどうされますか? レイ様が終わるのを待ちますか? それとも、先にお帰りに?」


「そうですね。お兄様はこの後、訓練場で、先程の皆さんの訓練を見るでしょう。そちらに顔を出してみましょう」


「わかりました」


 私はミルミを伴って移動します。少し学園をぶらぶらしてから訓練場に参りましょう。あまり早く行っても仕方ありませんし。


 ……そういえば、ミルミたちが私の従者になってからもう直ぐで4年になりますね。何かお祝いをしてあげたいですね。何が良いでしょう? やっぱりお揃いの武具ですかね?


 ミルミは隊長なので、他の2人に比べて少し豪華にした物を。そうするとグレイ辺りが何か言いそうですが、それは無視です。


「? どうされましたか、フィーリア様?」


 おっと、そんな事を考えていたらミルミの顔をジッと見てしまいました。私は何でも無いと言いながら再び歩き始めます。


 最近グミンとも良い雰囲気のようですし。偶に街を一緒に出かけた、や、自分の手料理を食べてくれた、など、惚気て来ますからね。また何かお祝いをしてあげないといけないですね。


「もっと相手の動きを見て。フェイントには惑わされるなよ」


 少し図書室などに寄ってから訓練場にやってくると、中からお兄様の声が聞こえて来ました。


 この訓練場の中のようですね。中を見てみると、お兄様が10数人の学生に囲まれていました。手には剣を持って、周りからの攻撃を逸らしています。


 その他にも武器を持った学生が沢山待っています。この後順番に相手をして行くのでしょう。


「ふわぁ〜、流石レイ様ですね。本来の武器で無い剣であそこまで動けるなんて」


 剣を使うミルミは、お兄様の凄さが良くわかるようです。私は剣の事はわかりませんが、魔法に置き換えて考えると、良くわかります。


 それから、3時間ほど。お兄様は休む事なく入れ替わる学生たちの相手をして、今日の訓練は終わりました。


 周りには倒れて息を上げる学生ばかり。それに対してお兄様は軽く汗をかいた程度。まだまだ余裕そうです。


「ほれ、今日はおしまいだ。体を冷やさないように着替えて帰れよ」


 お兄様は学生たちにそれだけ言うと、剣をアイテムリングに戻して、私たちの元へ歩いて来ます。そして私の顔を見て笑ってくれました。ふふっ、いつもはお姉様達がいますので、独占は出来ませんが、この学園内なら……えへへ……。


「どうしたんだ、フィーリア? 何だか嬉しそうだが?」


「ふふっ、ここならお兄様を独占出来ますからね!」


 私はそう言ってお兄様に抱き付きます。お兄様もそんな私を撫でてくれます。


 お兄様は帰って来てからも忙しく過ごしていました。この世界だけではなく、別の世界の命運を握ったりと、とてもとても大変だったと思います。


 こういう、普通の生活を満喫してほしいものです。私は嬉しそうに今日の事を話すお兄様を見て、そう思うのでした。

残り3日間は毎日更新したいと思います。最後をご覧になってから新作をよろしくお願いします!

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