後日談.新婚旅行?編 現れたのは……
「雷帝の武器庫!」
俺は自分の周りに雷の武器を生成し、コクシへと向かう。狙うは、この中にいるはずのシェードの眷属たちだが……まずは数を減らすか。
俺は自分の周りの他に空にも武器を生成し、全ての切っ先をコクシへと向ける。そして
「雷の暴風雨!」
空を青紫に染める俺の雷の武器は、一気にコクシへと向かって降り注ぐ。その数は数千にも及び、コクシたちは抵抗する間も無く穿たれて行く。
これで少しは前線にも余裕が出来ただろう。まあ、数は圧倒的に不利だからもっと減らさなければならないのだが。そこに
「紅蓮女帝!」
紅蓮の炎を身に纏ったエアリスが、迫るコクシへと炎の球を振り落とす。その反対側では
「久し振りに思いっきり魔法を放てます!」
物凄く楽しそうに精霊王モードになったフィーリアが、各種魔法をコクシに向かって放つ。その姿はまるで天変地異が起こっているかのようだ。
地面から炎が噴き出し、大地が割れ、雷が落ち、暴風が吹き荒れ、水で全てを流してしまう。やり過ぎな気もしない事も無いが、兵士たちの士気が上がっているので、良いのか?
「私も負けていられないわね。水天火葬!」
アレクシアが魔法を唱えると、アレクシアの背後に水と炎で出来た巨人が現れる。その手にはツインベルのように2本の剣を持ち、それぞれに水と炎を纏っていた。そして
「はぁぁ!」
アレクシアが剣を振ると、それに連動しているのか、後ろの巨人も動き、コクシへと向かって剣が振り下ろされる。一振りで数十が薙ぎ払われ、吹き飛ばされたコクシに巻き込まれ更に数十が吹き飛ぶ。火と水の複合魔法か。いつの間にこんな技を。
他のみんなも奮闘して、今ので1万いかないぐらいのコクシを吹き飛ばす事が出来たな。まだまだ圧倒的な数だが、防御面はキャロを筆頭に、回復面は香奈を筆頭にしているため、まだ死人どころか脱落者も出ていない。
俺は周りにゾロゾロと集まるコクシを消し飛ばしながら、周りを見ていると、コクシが現れた向こうの方で、黒く光っている場所がある。
当然ながら、コクシが大量にいて、そんな向こうで戦っている人なんていない。それならあそこにいるのは
「眷属か!」
俺は光魔法光天ノ外套を発動。そしてそれを今発動している雷装天衣と合わせる。周りに迫る大量のコクシが再び吹き飛ぶ。これを使うのも久し振りだな。
「雷光ノ天装」
俺の周りには雷を纏った光の球体が現れ、俺の周りを旋回している。そして旋回する光球で、コクシを消しながら俺は、黒く光る場所へと目指す。
黒く光る場所へと近づくにつれて、コクシの抵抗が激しくなって行く。まるで俺を通さないように。残念だが、その程度じゃあ俺は止められない!
「雷の閃光!」
俺の周りを旋回していた光球を全て目の前にいるコクシたちへと放つ。コクシたちは抵抗する暇もなく、吹き飛んだ。黒く光る場所まで一直線へと続く道が出来た。
黒く光る場所には、3人の男性が、真っ黒な水晶を囲むように立っていた。あの真っ黒な水晶が輝いていたようだ。
しかも、あの水晶が輝くと、数体のコクシが現れる。あれを壊せば!
「なっ、なんで敵がここに!?」
「くそっ、僕たちを守れ!」
「合体するんだな!」
俺に気が付いた男たちは、それぞれが叫び出す。すると、男たちの近くにいたコクシたちが、それぞれが引っ付き形を変えて行く。
それぞれが5メートルを超える化け物へと形を変えて行く。手には俺の身長以上の剣や斧を持たせて、攻撃してくるが、ただ大きくなる程度なら、俺は止められない。
俺の周りを旋回する光球を剣に変えて、巨大コクシへと放つ。巨大コクシは自分の手に持つ武器で弾くが、そう何度も耐えられるわけもなく、ボロボロに破壊される。そこに剣が降り注ぎ、巨大コクシは穴だらけへと姿を変える。
「これで、終わりだ!」
俺は巨大コクシたちを通り抜けて、周りを旋回する光球の剣を持ち、男たちが囲む黒い水晶へと、剣を振り下ろす。
剣は抵抗なく水晶を切り裂き、真っ二つに割れた。その瞬間、男たちは叫び声をあげて消えてしまった。あの水晶が命だったのだろうか? 真っ二つに切り裂いたはずの水晶は既に砂へと変化して、風に乗っていってしまった。
さっきまで暴れていたコクシは動きを止めて、その場で溶けてしまった。どうなるのかと思っていたら、ドロドロに溶けたコクシだったものは、どんどん集まって行き、丸い球体へと形が変わってしまった。
そして
「やはり、私自ら出るしかないか」
漆黒の球体は、顔へと形を変えて、次の瞬間、球体が浮いていた周りを吹き飛ばしてしまった。
「異世界で彼女を探して何千里?」もよろしくお願いします!




