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後日談.新婚旅行?編 逃げたら

 あの竜を捕らえろ! 白銀なんて珍しい色。王家に献上すれば……」


 上空には、シルアを囲むように旋回する竜たち。背には当然騎士たちが乗っている。これが竜騎士か。あの竜の種族はワイバーンだろうか。確かにこれだけ揃えばとんでもない戦力だが……


「グルゥアアアッ!」


 シルアを旋回している内の一体へと迫る。ワイバーンは逃げようとするが、それ以上のスピードにすぐ様追いつかれ、尾で叩きつけられる。


 叩きつけられたワイバーンは、そのまま住宅街へと落下。家が下敷きになる。辺りは既に避難させているようだが、あそこに住んでいた人は、ショックだろうな。


「や、やめてシルアちゃん! これ以上暴れたら、殺されちゃうよっ!」


 その光景を見て黒髪の少女が叫ぶ。だけど、シルアは少女の声を無視して飛び回る。まるで、注意を自分に引くかのように。


「くそっ、あの竜手強いぞ! このままではあの方たちが来てしまう! その前に何としても捕らえるのだ!」


 1人だけ色違いのワイバーンに乗っている男が何かを叫んでいる。その声を聞いた兵士たちの動きが変わった。あの方たちって誰だ? お偉いさんか誰かだろうか?


「グギャァアア!」


 1体で暴れるシルアだが、数の暴力には勝てない。少しずつ鱗が傷ついていく。そして、弱って来たシルアに向かって、ワイバーンは首から何かを放つ。何だあれ?


「グルゥゥ……」


 ワイバーンの首から飛び出したのは、捕縛用の魔法縄だった。その縄がシルアに触れると、触れた場所を縛ってしまう。


 両手両足に首の計5本、縄で縛られている。シルアも動こうとするが、さすがに5体で動きを封じられば、動く事が出来ないのだろう。


 だけど、それでもシルアは止まらなかった。次の瞬間、ブレスを放ったのだ。予想外の一撃だったのか、ワイバーン2体が巻き込まれ、消し飛んだ。


 その穴を埋めるかのように新しく竜騎士がやってくるが、あの縄は捕まえる物だとわかったシルアは避けてしまう。


 だけど、辺りには30体ほどの竜騎士が飛び回る。シルアは逃げる事が出来ずに少しずつ体力が削られていく。


 シルアは再び、この囲いを突破しようと再びブレスを放つ。このまま先ほどのようにワイバーンを吹き飛ばすのかと思ったら、別の方から放たれたブレスにより、シルアのブレスは掻き消されてしまった。


「これが、報告に来た竜か。中々元気があっていいな。だが、我が国を荒らすのは許せんな」


 現れたのは漆黒の竜に乗る金髪のオールバックにした男性だ。他にも緑色の竜に、首が3つある竜が飛んでいる。


 あの3体はワイバーンなどの下級ではなくて、シルアと同じぐらいだろう。真ん中の漆黒の竜に至ってはシルア以上のはずだ。


「閣下、ここは私が取り押さえましょう」


「うむ、任せたぞ、ファルティナ」


「はっ! いくぞ、トライオン!」


「「「ゴギャァアアア!」」」


 3つ首の竜の背に乗る女性の声で、シルアに迫る3つ首竜。シルアは逃げようとするが、ここまで連戦だったシルアに避けきれる体力は無く、直ぐに掴まれる。その上3つの首に、首元、体、左前足を噛まれるシルア。


 体中が傷だらけで、特に噛まれた場所からは、止めどなく血が溢れてくる。このままだとシルアは捕まってしまうな。


 隣では、涙を流しながらもシルアが助かるように祈っている黒髪の少女。あのまま逃げれるのなら見ているだけだったけど


「……ふぇ?」


 俺は少女の頭を撫でて微笑む。少女は突然の事で目が点になっているけど。


「シルアなら大丈夫だ。俺たちが助けるから。お嬢ちゃんはシルアの背に乗る準備だけしておくんだ。香奈、カレンディーナ、シスターたちを頼むぞ」


「ええ、任せて、レイ君!」


「任せてください、レイヴェルト様!」


 2人の元気のいい返事を聞き、俺はエクラの方を見る。エクラもやる気十分といった感じだ。俺はエクラと手を繋ぎ、シルアの方を見る。そして転移で移動。移動先はシルアの背だ。


「なっ!? なんだお前たちは!?」


「俺たちか? 俺たちは通りすがりの一般人だ」


 そんなところに、一般人は現れない! と3つ首の竜の背に乗る女性が叫んでいるが無視だ。


「シルア、俺たちが彼らを引きつけるから、その内にお嬢ちゃんたちを背に乗せるんだ。出来るか?」


 俺の言葉に頷くシルア。良し。それなら


「エクラ!」


「うん!」


 俺がエクラの名前を叫ぶと、エクラの体が輝き出す。そして現れたのは、体長5メートルほどの白金に輝く竜の姿だった。竜に変化したエクラだ。ヒルデさんを小さくしたような感じだな。かなり似ている。


『はぁぁあっ!』


 竜に変化して直ぐにエクラは雷撃を放つ。この技は危険だと感じたのだろう、3つ首の竜は直ぐにシルアから離れた。シルアはその隙に地上へと降下していく。


「くっ! トライオン、やっておしまい!」


「「「ゴ、ゴルルゥウ……」」」


 女性が指示を出すが、3つ首の竜は動こうとしない。本能でエクラの方が上だと感じているのだろう。戸惑ったように3つの首で顔を見合わせる。周りのワイバーンたちも似たようなものだ。


「今がチャンスだ、エクラ。みんなの元へ!」


『うん!』


 俺の言葉に急降下するエクラ。まるでジェットコースターのように落ちる。男性の大事な器官がキュッとなる。


 エクラはシルアのそばに降り立つと、周りを威嚇し始める。その内に教会にいた子供たちをシルアかエクラの背に乗せる。


「っ! 逃げる気だぞ! 行かせるな!」


 そう言いながら向かってくる金髪の男性。やっぱり他の竜の中で、あの漆黒の竜が1番初めに動いてきたか。だけど、こっちは準備完了だ。申し訳ないけど、ここは逃させてもらう。


 漆黒の竜が近く中、転移を発動。一瞬で景色が変わる。ここは、ペロソネス王国の近くにある、この前作った遊園地の裏側だ。


 国の上空にいきなり竜なんか現れたら大パニックになるからな。だから一旦ここに移動してきた。さて全員……


「なっ!? ここはどこだ!? 突然景色が変わったぞ!?」


 キョロキョロとする金髪をオールバックにした男性……あれ?

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