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後日談.新婚旅行?編 女帝誕生

「な、なんだこれは……」


 クリーナの加護を貰い、ミレスを帝都まで送るためにやって来た俺たちだが、そこには想像にもしていなかった光景があった。


 崩れた建物。焼け焦げた草花。地に伏せる女性たち。ところどころで煙が立ち上がり、中では女性たちの叫び声がする。


 俺たちが暴れた跡では無い。俺たちが転移した後に何かあったのだ。ミレスはそのまま町へと走って行ってしまった。


「……何があったのかしら?」


「大方予想はつくが、俺たちも行こう。残っている人を集めて治療しなければ」


 俺とエアリスも町へと入る。男の俺が入るのは少し気がひけるが、今はそんな事を言っている場合じゃ無い。


 町の中を進むと、ミレスが倒れている女の子を抱きかかえていた。ところどころ傷まみれだが、命に別状は無いようだ。俺は水魔法で治療する。


「あんた。一体何があったんだい!?」


「うぅぅ、み、ミレス様……申し訳ありません。ミレス様が不在の隙を狙って、帝国の奴らが攻めて来て……姉さんたちを連れ去って行きました!」


 ……やっぱりか。チラッと見た程度だが、ここにいた女性はみんな綺麗な女性ばかりだった。ずっと狙っていたのだろう。ミレスのいない隙をずっと伺っていたのか。


 ミレスは女の子の話を聞き終えると、そのまま白の方へと走って行ってしまった。これが罠だとミレスもわかっているのだろう。だけど、彼女は大切な物を助けるため、我慢が出来なかったようだ。


「どうするの、レイ」


 エアリスは、俺がなんて言うかわかっているくせに尋ねてくる。自分は既にカゲロウをアイテムリングから取り出して、腰に差しているくせに。


「決まっているだろ。元々は俺がミレスを連れて行ったから起きた事だ。無関係じゃ無いからな」


 俺は町を覆い尽くすようにエリアヒールを発動。これで傷を受けた女性たちは回復するだろう。


 俺とエアリスもミレスの後に続くように城を目指す。俺とエアリスの足の速さなら5分もかからない。城に近づくにつれて、轟音が轟く。ミレスが暴れているのだろう。


 城門には兵士はおらず、門は開きっぱなしだ。ミレスがぶっ壊したのか? まあ、楽に進めるからいいのだが。


 広場の方へと向かうと、そこでは、エアリスと戦っていた時のように、アーティファクトを発動させ、全身を鎧で纏ったミレスがいた。いたが、動く事が出来ずに、帝国兵が放つ魔法を受けているだけだった。


 兵士たちの向こうでは、えらく着飾った不細工な男がニヤニヤと気持ち悪い笑みを浮かべて、その光景を見ている。男の周りに、帝国兵が帰って来た時に先頭にいた3人がいる。


 そして、その男の前には、街にいたであろう女性たちが縛られて這い蹲らせられている。


 女性たちの喉元には剣が突きつけられていた。これのせいで、ミレスは動く事が出来ないのか。兵士の数は千人ほど。その半分近くが、ミレスの動きを止めるために魔法を放っている。


「ホッホッホ! 今すぐ這い蹲って、余の女になれば、こやつらは解放してやるぞい!」


 あー、典型的なクズ野郎だ。男なら、そんな下らない脅しをしないで、真正面からぶつかれよ。ダサすぎるぞ。


 まずはあの女性たちを助けないとな。俺は転移を発動。女性たちの喉元に剣を突き付けている兵士たちのところへと跳ぶ。


 突然目の前に現れた俺に驚く兵士だが、そいつの顔面を掴んで、椅子に踏ん反り返っている男に向かって投げる。


 バァーン!


 と、男の目の前で何かに弾かれる兵士。障壁でも張っているのか? そして、男が何かを言う前に、広場の気温が一気に上昇する。暑過ぎるだろ。その原因は


「行くわよ! 紅蓮女帝カーディナルエンプレス!」


 いつの間にか、火魔法をレベル10まで上げていたエアリスの技のせいだ。体に紅蓮の炎を纏わせ、自由に形を変える事が出来る。師匠の技に似ている。


「バースト!」


 エアリスが手をそれぞれの方へと向けると、巨大な火の球をいくつも放つ。先ほどまでミレスを一方的にいたぶるという悪趣味な劇だったが、一瞬にしてエアリスが捕まった女性たちを助けるために、国を相手する英雄譚になってしまった。


 よし、俺は今の隙に女性たちに剣を突き付けている兵士たちを排除しよう。ほれほれ。


「な、何をしておるのじゃ! さっさとあの女を撃ち落とせ!」


「し、しかし、こちらの攻撃が届く前に、全て焼かれてしまって!」


 エアリスの高温の炎の障壁を突破するのは難しい。届く前に焼かれてしまうからな。


 エアリスは、ミレスを狙っていた兵士たちに次々と火の球を放つ。城の広場は阿鼻叫喚の渦だ。そして、自由になったミレスは近くにいた兵士たちを片っ端からぶん殴って行く。普通の兵士が相手になる訳もなく、次々と逃げ出す兵士たち。


 自由になった女性たちも、落ちている武器や兵士の使っていたアーティファクトを分捕り、逆襲を始めた。言葉にしづらいのだが、物凄く怖い。


「姉御たちを助けろぉ!」


「ワァァァァァ!」


 その上、先ほど町で倒れていた女性たちも参加し始めた……俺がエリアヒールで回復させたからか。


 エアリスとミレスが物凄く暴れるため、一方的に倒されて行く兵士たち。トップの3人はいつの間にかエアリスの火の球に当たって気を失っている……あれ? これってもしかして、反乱じゃね?


 兵士たちは倒されるか、逃げ出すかして、いなくなってしまい、ミレスを先頭に次々と城へと入って行く。城が揺れるほどの爆発が鳴り響く。


 そして、城の中から次々と男が出てくる。なぜか女性は出てこないという不思議な現象が。そして、城の中から聞こえてくる、とんでもないコール。


「……ちょっと、やりすぎたかしら?」


「……ああ、国変えちゃったよ」


 城の中から聞こえてくるのは「ミレス女帝」というとんでもないコールだった。

物凄く新作を描きたい衝動に見舞われている私。どうするべきか。

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