31.誕生会(まだ開催しません)
昼に更新できそうないので更新します。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜???side〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
王宮近くの軍本部の地下牢
王都を出る前に使えるものは使っておこう。そう思い俺は王宮の近くにある軍本部の地下牢へとやって来た。中を進むとそこには
「くそッ! どうして私があんなガキにっ! くそッ! 何でだ!」
叫び続けるヘンドリクスが牢に入っていた。無様だな。
「中々荒れているようですな。ヘンドリクス殿」
「な、お前はティグリス陛下の子飼いの……」
「この前は有難うございました。中々の見世物でしたよ、あれは」
間抜けな姿がな。
「っ! あんなの聞いていないぞ! あんな子供の皮を被った化け物なんて!」
「いえいえ、言いましたよ。辺境伯家は手強いのでお気を付け下さいと」
「その言い方だと領主の方を注意するに決まっているだろ!」
勝手に判断しておいて文句を言われてもな。
「それは、あなたの勝手な自己判断です。そんな事を言われても私にはどうしようもできますまい」
「くそッ! このままじゃあ私はただ子供相手に軍を動かした阿呆ではないか! その上、ティグリス陛下は裏でやっていた事を、私に擦りつけよった!」
「体良く切り捨てられたわけですね」
「くそ、くそッ! このままじゃあ私は死刑は免れぬ!」
「一つ方法がありますよ?」
「何だと?」
俺は転移魔法で転送させたものを牢の中へ入れる。
「こ、これは……」
「そうです。今開発中の魔剣です。資料はある程度手に入れたのですが、あって困るようなものでは無いのでね。あなたにお貸ししましょう。これと同じ魔剣があと20本用意出来ます。あなたの信頼出来る部下に渡すのも良し。この地下牢にいる囚人共に渡すも良し。好きにお使いください」
どうせ戻ったら破棄になるからな。使えるときに使っておこう。
「そ、それは私に反乱を起こせと言っているのか!」
「どの道このままだと死刑は免れませんよ。それでもいいのであればお返し頂こう」
「くっ!……わかった。使おう」
「それでは無事成功する事を祈っていますよ」
さあ、特等席へ移動するか……
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜レイside〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
えっ?
顔を叩かれた? 俺は熱くなってきた頬を触れる。
「なっ! 何をするの! フェリス!」
アレクシアに怒鳴られたフェリスという女の子はビクッと震える。
「だ、だって! お姉様があんなに嬉しそうな顔をするから! 私にも見せたこと無いわよ、あんな顔!」
「それだけの理由でレイを叩いたの!」
「私にとってはそれだけの理由じゃ無いもん!」
このままじゃあ熱くなる一方だ。
「ま、まあまあ、落ち着いてアレクシア。えっと、フェリスさんだっけ君も落ち着いて」
「今お姉様と話しているところに割り込んで来ないで!」
そう言いフェリスは右ストレートを放つ。流石にこれは痛いだろうから避け……えっ? 体が動かない? 少し肩越しに後ろを見るとジークに背中を抑えられている? 何やってんだこの人? そして俺は……
ドゴッ!
「ぐはっ!」
顔面を殴られる。
鼻から熱いものが流れる。
「レイ! ああ! 鼻血が!」
ああ、アレクシアが天使に見える。そしてジークの悪魔め。もう一発顔面に入れてやる。
「フェリス! レイに謝りなさい!」
「絶対に謝らないからね! バーカバーカチービ!」
そう言い走り去るフェリス。チービって言葉だけは許さねえ……まだ成長期がきていないだけだ!
「いつつう。ありがとうアレクシア」
「うんん。良いのよ。それよりも大丈夫?」
「ん? ああ、大丈夫だよ。ヒール」
俺は水魔法のヒールを使い治療する。あ〜痛みが引いてくる。
「ごめんなさいね。あの子私の話を聞かずにこんな事して」
「あの子は一体誰なんだ? 獣人族の様だけど」
そう言うと後ろに立っていたジークが溜息を吐く。何だよ?
「レイ。前に教えただろ。獣人国ワーベストは国の中で一番強い一族が王位に就く。そして今の王族の種族は何だ?」
ジークにそう言われる。ええっと確か
「銀狼族だっけ」
「そうだ。そして今の子は?」
「……あっ!」
銀色の艶やかなロングの髪に大きな犬耳。そしてフサフサの尻尾。俺を睨み殺すと言わんばかりの眼光。笑うと可愛いんだろうけど
「じゃああれが……」
「ええ。獣人国ワーベストの第1王女のフェリス・ワーベストよ」
「じゃあ、その王女様に何で俺は殴られたの?」
聞くと物凄く良い辛そうにするアレクシア。物凄い理由がありそうだな。俺も心して聞こう。
「物凄く言いづらいのだけども」
「うん」
「私とあの子はね」
「うん」
「結婚の約束をしていたみたいなの」
「……うん?」
俺の聞き間違いだろうか? 予想外の言葉が出てきたぞ。
「……ごめんアレクシア。もう一回聞いても良いかな? 俺のポンコツな耳が今の言葉を受け付けなかったから」
「うん。実は私とフェリスは結婚の約束をしていたみたいなの」
「……」
「……」
聞き間違えじゃなかった! 何で女同士で結婚できるんだ?
「どうして女同士で結婚できるんだ?」
そのまま聞いてみよう。
「この国でも他の国でもそうなんだけど、貴族になると一夫多妻が普通でしょ?」
うん、確かに。ランウォーカー家もそうだし。俺はチラッとジークを見る。すると照れた顔で頭をかくジーク。この野郎……
「だけど獣人国ワーベストは少し特別でね。あの国は強者を敬う国だから強い女性だと、逆に一妻多夫が出来るのよ。そしてもっと特殊なのが同性同士の結婚も認められているの」
「じゃあ、女同士もあるってことはもしかして……」
「もちろん、男同士もあるわよ。まあ、極少数だけどね」
モフモフの国かと思ったらとんだ爆弾が仕掛けられているものだ。
「それで昔にフェリス王女と」
「ええ、フェリスが私に勝ったらワーベストに私が嫁ぎに行くって約束をしていたみたいなの。何年も前の話だから私もお父様も忘れていて。獣王様や王妃や王子は昔の話で仕方がないって言ってくださるけど、やっぱり本人としては認められないみたいで」
それはそうだろう。昔から結婚を約束するほど好きだった人と、久し振りに会ったらその相手に、結婚相手が出来ていました! なんて信じられるわけがない。
「それは、何というか悪いことをしてしまったな」
「うんん。レイは悪くないわ。悪いのは大切な約束を忘れていた私なんだから」
そう言い悲しそうな顔をするアレクシア。
「とりあえず、私たちも陛下に会ってみましょう、アレクシア殿下。聞いた感じだと獣王様も来ているみたいですし。話し合えば何か解決策か思い浮かぶかもしれません」
「そうね。ここで話すよりかは良いわね。それじゃあ行きましょ。立てる? レイ」
「大丈夫だよ」
俺はアレクシアに引っ張られながら立ち上がる。俺たちはそのまま王様のいる王室へと向かう。
「お父様はいるかしら?」
「はい。アレクシア殿下」
「なら、取り次いでくれるかしら」
「わかりました。少々お待ち下さい」
そして許可が出たので部屋に入るとそこには
「さ、先ほどは、グスッ、ご無礼なま、グスッ、真似をしてもうじわけございませんでした」
涙を流しながら謝るフェリス王女が立っていた。後ろには少し困った顔をしている王様たちと、苦笑いしている銀狼族の女性に男の子。多分ワーベストの王妃と王子だろう。そしてその隣には、筋骨隆々の巨体をした銀狼族の男性が腕を組んで座っていた。
何があったこれ?
夜もできたら更新します。
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