後日談.新婚旅行?編 誘拐?
「オラオラオラオラァッ!」
休む暇もなく殴りかかって来るミレス。私はカゲロウで逸らし避けるけど、受け止められないのが辛いわね。
ミレスの武器は、任意なのかそれとも自動なのかはわからないけど、触れた瞬間爆発してしまう。耐えられるだろうけど、痛いのは嫌よね。
私はミレスの左ストレートをしゃがんで避けて、カゲロウを下から切り上げる。ミレスは顔を逸らすのと同時に宙返りをし、後ろへ下がったしまう。当然逃がすわけが無いじゃない。
私は下がるミレスを追いかけ、突きを放つ。ミレスは避けるのかと思ったけど、拳で弾いて来た。だけど爆発はしない。やっぱり任意なのだろうか。
「中々やるじゃないかい! これなら少し本気を出しても良さそうだねぇ!」
「何を……っ!」
突然そんな事を言い出すミレスに、不思議に思っていると、下から殺気が私の顔めがけて登って来た。私は咄嗟に先程のミレスのように顔を後ろへ逸らす。だけど、反応が遅れたせいで服が裂かれる。辛うじて投げなかったけど、谷間が……。
だけど、それを気にしている暇もなく、ミレスの連撃が迫る。よく見れば、ミレスの足にも腕の装備のようなものが装着されていた。
「ふふふ、言ったろ? レグルスアームズって!」
腕だけじゃなくて、他にもあるって事ね。だけど、あの装備は見た目だけじゃないみたい。足の装備が増えてから、一気に速度が増した。
避けられない速さでは無いけど、あの爆発する攻撃を考えれば面倒な速さね。気が付けば周りには武器を持った女性たちに囲まれている。それも当然か。これほど暴れれば。
「これでもくらいな!」
ミレスは、足で地面を力強く踏み付け、地面を割り、瓦礫を蹴り飛ばして来た。私は火魔法で撃ち落とす。その隙に迫るミレスだけど、丸見えよ。
「これでもくらいなさい! フランベルジェ!」
私は火魔法をカゲロウに纏わせ、迫るミレスにカウンターを食らわせる。ミレスは両腕を交差させるけど、私の振り下ろされた斬撃で吹き飛ばされた。民家を幾つも貫いて行ったけど、わ、私は悪くないからね!
周りの女性たちは驚きの表情で見ているだけ。まさかミレスが吹き飛ばされるとは思っていなかったのかしら? これで負けを認めてくれたら良いのだけど……そんな訳ないわよね。
ミレスが吹き飛んだ場所から現れたのは、全身に鎧を纏った人物だ。一瞬誰かと思ったけど、見覚えのある腕と足の装備。ミレスの本気の本気って訳ね。
迸る殺気。両腕を打ち合わせて私を見て来るミレス。これは私の奥の手も出さないと厳しいかも。
「ウォオオオオオーン!」
獣の咆哮を上げ、走り出すミレス。私も構えて体中に魔力を流す。行くわよ!
そう思って構えようとした時に、私に影が覆う。そして目の前に現れる人物。その人物は迫るミレスに恐れる事なく立ち、そして
「ギャンッ!?」
ミレスの頭を掴み地面に叩きつけた。あの速度を物ともせず軽々と。全く、本当に心配性なんだから。
◇◇◇
……やべっ、思わず乱入してしまった。周りの女性たちは突然割り込んだ俺を見て目が飛び出るのかってぐらい驚いている。だけど、次の瞬間
「男がなぜここに!?」
「ひぃぃぃぃ! いやぁぁぁ! 来ないでぇぇぇ!」
「男だぁ! ぶっ殺せ!」
怖っ! エアリスたちの戦いを見ていた女性たちが、全員武器を持って襲いかかって来る。先ほどまでのミレスを応援しているときのような表情では無く、仇を見るような鬼の形相で。
フィーリアが魔法を放とうかどうか迷っていると
「まちなっ!」
と、あたりに響く大声が轟く。声の元を見ると、頭を振って立ち上がろうとするミレスの姿があった。
「どこの誰だか知らないけど、せっかく楽しんでいたところを邪魔してくれるじゃないかい!」
「悪いな。俺の大切な妻を傷付くところは見たくないからな」
俺がそう言うと、ミレスは俺と後ろで悶えるエアリスたちを見て、ペッと唾を吐く。そんな嫌そうにしなくても。
「どいつもこいつもイチャイチャイチャイチャとしやがって! 私なんて……私なんて……ぶっ殺してやる!」
この人マジで俺を殺す気だ! 男に何の恨みがあるのかは知らないが、俺たちに当たられても困る!
遠慮無しで殴りかかって来るのミレスの拳を、俺は
「光天ノ外套!」
光天ノ外套を発動し弾き返す。ミレスは何度も殴りかかって来るが、外套の防御を突破出来ない。周りの女性たちもこの光景を驚いて見ているだけだ。
俺は、ミレスの攻撃を弾き、外套をミレスの体へと巻きつける。ミレスは逃げようと暴れるが、その程度では解く事は出来ない。
そしてそのままミレスを振り上げて、思いっきり揺らす。幾ら鎧が固かろうと、三半規管までは守ってはくれないだろう。
時折、女性が出してはいけない声を出しながらも、ミレスは耐えるが、さすがにずっと耐える事は出来ずに、振っている途中でぐったりとする。気を失ったか。
周りはこの光景を呆然と見る女性たち。俺が無傷で倒した事を悔しがっているエアリス。普通に俺を褒めてくれるフィーリア。みんな様々な反応を見せてくれるが、このまま話、と言うわけにはいかない雰囲気だ。
正気を取り戻したら、直ぐにでも飛びかかって来そうだ……よし、移動しよう!
「エアリス、フィーリア! 俺に触れるんだ!」
俺が気を失っているミレスを担いだので、何をするのかわかった2人は、直ぐに俺の服を掴む。
ミレスを担いだ事で、ようやく正気を取り戻した女性たちは、聞いた事も無いような罵声を浴びせて来る。言葉のナイフが俺のガラスのハートにグサグサと突き刺さるが、今は無視だ! 後で妻たちに慰めてもらわなければ。
「ちょっと、団長さんは借りて行くぜ!」
女性たちが俺たちは殺到する中、俺は転移を発動。カレンディーナの屋敷へと戻って来た。さて、話は聞いてくれるだろうかね?
最近誤字脱字が多くてすみません。
仕事が終わるのが遅くて、夜に書いているものでウトウトしながら書いていたら、時折間違ってしまっています。
自分でも見ているつもりですが、かなり見落としていたりも。
申し訳ないのですが、その都度ご指摘頂けたらと思います。
なるべく誤字脱字は無くなるようにはしたいと思います。




