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後日談.新婚旅行?編 初めての他国へ

「さて、昨日話した通り、俺とアルベリーはこれから他の大陸に行って、クリーナの加護を与える事の出来る人物を探しに行くのだが、班を分けようと思う」


 俺の言葉に頷くみんな。取り敢えず、この国に残るメンバーは、戦闘の出来ないアレンにエレネ、それから2人の保護をしてくれるヘレンとプリシアに身重の麻里。


 メイちゃんとクリシーアちゃんも待機だろう。ロイを2人から離すのも酷な話なので、待機組でいいだろう。


 そんな待機組を守れるメンバーの中にはキャロは必須だ。この世界でキャロの障壁を突破出来る者は少ないだろう。前より強固になっている上に、俺が作った魔道具でより固くなっているからな。


 戦闘面ではアレクシア、エアリス、フィーリアがいれば最強だろう。それに全体の指示が出せるマーリンに戦闘から食事まで全ての事でサポートしてくれるクロナがいれば。


 香奈は怪我人の治療のために残ってもらおう。アステルには待機組と俺との連絡係になってもらう。


 なので、捜索組になるのは、俺、アルベリー、フェリス、エクラ、ハクにミルアとなるな。


「アステル、こっちで何かあったらすぐに連絡してくれ。すぐに戻ってくるから」


「ええ、了解です。まあ、最悪は私の力で結界を張って凌ぎますけどね」


「それは最終手段にしてくれ。神力が減り過ぎると、アステルもきついだろう」


 俺の言葉にアステルは頷く。ただ1つの懸念が、この世界で頼れる人物が、俺に付いてくるアルベリーしかいない事だ。


 彼女はこれから加護を受けられる人物を探すために、こちらに来てもらわなければならない。だが、彼女がいない間に、問題が起きた時、アレクシアたちを守れる人物がいないのだ。何かあればアステルには連絡する様には言ったが……。


「レジルト、ここに残られる皆様を丁重にもてなしてください。貴族たちが何を言おうとも、皆様に危害が加わる事があってはいけません」


「わかりました、アルベルティーヌ様。お任せください」


 アルベリーが部下のレジルトに頼んでくれているが、どこまで彼で凌げるか。最悪は逆に俺たちがいる方へと転移させる事も考えなければ。


 俺たちが元の世界に帰るためには、クリーナの力をある程度回復させなければいけない。俺とアステルでも扉を開く事は出来るのだが、なぜか安定しないのだ。


 アステルが言うには、この世界の神であるクリーナが不安定の状態だからでは? との事だ。なので、クリーナの力をある程度取り戻させなければならない。そのためにも、加護を受けられる人物を探し出さなければ。


「それじゃあ、行ってくるよ。さっきも言ったけど、何かあればすぐに連絡してくれ。すぐに戻るから」


 俺の言葉にみんなが頷いてくれる。俺は空間魔法を発動。捜査組のメンバーが魔法陣の中に入るのを確認すると魔法を発動。


 まず最初に行く大陸は、他の大陸の人物に比べて、知名度が高いと思われる騎士王がいるペロソネス王国だ。俺の予想でしかないのだが、騎士王はすぐに見つかる様な気がする。


 俺が魔法を発動した瞬間、目の前の景色が変わる。何度か経験している妻たちは普通なのだが、今回初めての転移をしたアルベリーは、驚きの表情を浮かべている。この世界には空間魔法は無いのだろうか? そう思っていたが、理由はそれだけでは無い様だった。


「……私、あの国から外に出るのは初めてなんですよね。今まではずっと、壁の中にいましたから。何だか新鮮な感じです」


 そう言って微笑むアルベリー。それなら驚くのも当然か。今までは壁の中という狭い世界しか知らなかったが、壁の向こうという広大な世界を知ってしまったら。


 俺も周りを見渡すと、ここはペロソネス王国の近くにある丘のようだ。ここからペロソネス王国の壁の中が一望出来る。ペロソネス王国は壁が外側に1枚、中に1枚だけか。


 だけど、ジャパウォーネ王国よりも廃れた様子はない。ボロボロになっているのはなっているが、ジャパウォーネ王国の壁みたいに空けられた様子は無いな。


「みんな、今から外壁に行こう。取り敢えず中に入らないといけない。ただ1つ問題があるのは」


「私たちを中へ入れてくれるか、よね?」


 フェリスの言葉に俺は頷く。この世界は大陸に1つずつしか国が残っていない。そのため、外から人がやってくるなんて事はまず無い。


 そのため、外から来た俺たちを見たらまずコクシと疑うだろう。俺なら絶対疑う。


 かといって、転移で中に入っても、中の住民は、外からの出入りが無いため、人も変わらない。なので、みんなの顔を知っているのだ。ジャパウォーネ王国でレジルトが初めて見た俺たちを疑ったように。


「……仕方ない。疑われるだろうが、真正面から行くか。勝手に入って疑われるよりかは、断然マシだろう」


 俺の言葉に頷くみんな。いざとなれば、逃げればいいだけだ。初めから騎士王の顔がわかれば話は簡単だったのだが、クリーナは場所の映像しか見せてくれなかったからな。


 俺たちは丘から降りると、俺を先頭でペロソネス王国の方へと向かう。すると、外壁の上にいた兵士たちが俺たちの方を指差しながら何かを叫んでいる。


 まるで蜂の巣を突いたような大騒ぎだ。でもまあ、それでも近づかないといけないのだが。俺たちが近づくと、兵士たちの声が聞こえる。


「お前たち! そこで止まれ! 俺たちの言葉がわかるならその場で止まって手を上げろ!」


 事を起こしたく無いので、俺たちは言われたままにする。すると、兵士たちも少しホッとしたのか、周りに色々と指示を出す。


「お前たちは人間か! ここに何をしに来た!」


「俺たちは人間だ! ここには騎士王に会いに来た!」


 俺の言葉に騒つく兵士たち。やっぱり騎士王は有名な様だ。さてさて、出会えるかな。そう思っていたら


「お前たちか。俺に会いたいと言うのは」


 兵士たちの後ろから、そんな声が聞こえてくる。耳に残る透き通る声だ。先ほどまで俺たちを睨んでいた兵士もその声が聞こえると、割れる様に左右に分かれる。そして兵士たちの間から出て来たのは


「俺が騎士王だが?」


 金髪で後ろでポニーテールをしている碧眼の美少年だった。女の様な顔をしている。この人が騎士王か。

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