24.また巻き込まれる?
アレクシア王女との決闘が終わった俺たちは先ほどの王室へと戻ってきた。アレクシア王女はあの後すぐに目を覚まし、今は着替えに行っている。何故か俺も誘われたが断っておいた。あんなに疲れる事はもうこりごりだ。
「いやはや、その年であの力。とんでもない子を育てたな、ランウォーカー辺境伯」
と王様が言う。
「全くです。これ程の力なら辺境伯領も安泰でしょう」
と宰相。この人は最後だけ見ていたらしい。
色々と話しているところに
「お父様、入りますわ!」
と扉が開けられアレクシア王女が入ってくる。アレクシア王女を見た俺はつい見惚れてしまった。さっきまでの学生服とは違いドレスを着ているからだ。あまりドレスには詳しくないが、たしかAラインっていうのか? 水色で装飾の少ないドレスだが、アレクシア王女の綺麗さがより引き立たされる。何より隠しきれていないお胸様だ。深く入った谷間が見えてエロく見える。
「ふむ、ふむ」
だから見過ぎだエロ親父。何回も頷いてんじゃねぇよ。
そして当然のように俺の隣に座る。もちろん俺は一番位が低いので王様から一番離れた席だ。
「アレクシア王女。座る席が違うではないですか?」
「ん? 別にいいじゃない。私はここに座りたいの! あ、そういえばまだ名前を聞いていなかったわね」
確かに言ってなかったかも。
「これは失礼しました! 私はランウォーカー辺境伯の息子でレイヴェルト・ランウォーカーと申します」
「そう、よろしくね! レイ!」
と微笑んでくれるアレクシア王女。武器を持っていなかったら可憐なお嬢様って感じなのに……でも武器を持った時もまた違った綺麗さがあったな。
「そうだ! 今からレイを借りてもいい? お父様、辺境伯?」
「先ほどの決闘のことや、明日のこともあるのだが辺境伯から聞けば良いか。問題ないか辺境伯よ」
「はい、問題ありません。レイを連れてきたのは奇襲について話をさせるためでしたので」
「そうか、なら自由にして良いぞ、アレクシア。レイもこんなお転婆な娘の相手をしてくれて助かった。今後のおぬしにも期待しておるぞ」
と微笑みかけてくれる王様。
「はっ! 身に余る光栄です! 陛下!」
すると腕が引っ張られ
「さあ、行きましょ! レイ!」
そして王室から出て行く。その時のみんなの温かい目が気になったがどうすることもできなかった。俺が出て行った後に、俺の今後について話されているとも知らずに……
「さあ、レイ! 今から学園へ行きましょう! ここから馬車て5分ほどだし」
「え? でもアレクシア王女殿下はドレスに着替えたばかりでは?」
「こんなものパパッと着替えればいいのよ。なんなら手伝ってくれてもいいのよ、えへへ〜」
と迫ってくるアレクシア王女。とそこに
「アレクシア様。いくら子供でも男と2人で部屋に入るのはどうかと思いますよ」
と学生服を着た綺麗な女性がやってきた。
「あら、ヘレン帰ってきたの? 今から学園へ行こうと思っていたのに」
「今日用事があるから早く帰りたいとは聞いていましたが、まさか生徒会の仕事を全部放り投げて帰るとは思いませんでした。生徒会長からは小言を言われるし」
「はは、ゴメンねヘレン。どうしても会いたい方がいてね」
と思いっきり抱きしめてくるアレクシア王女。お、お胸様に顔が! こ、呼吸がぁ!
「アレクシア様。それをすると嫌われるのを忘れましたか? 孤児院でも抱きしめ過ぎて子供たちから『おっぱい王女』って呼ばれて逃げられているのに。私なんか埋もれる胸もないっていうのに!」
「……なんかゴメンねヘレン。気にしてたなんて。泣かないで?」
「泣いてなんかいません! 持っている人に慰められたって、うぇーん!」
や、やばい。いろいろ起きているが俺もそろそろ限界だ。
「おっと、ゴメンねレイ。あまりにも可愛いから抱きしめちゃった。ヘレンも泣き止んでよ」
やっと解放される俺。はぁ、はぁ、何て凶悪な武器なんだ! 危うく死ぬところだった!
「グスッ。わかりました。それよりもその子は一体誰なのですか? 初めて見る子ですね」
「そうよ。今日初めて出会ったんだもの。名前はレイヴェルト・ランウォーカーで、この国でも有名なあのランウォーカー家の子供よ!」
「……なるほど。あの有名な辺境伯のご子息でしたか。挨拶が遅れましたね、私の名前は、ヘレンディーネ・ラルグルスといいます。ラルグルス侯爵家の長女でアレクシア様の補佐をやっております」
ヘレンさんは茶髪のボブカットでクラス委員長みたいな人だ。ある部分は壁だが……
「何か?」
「い、いえ何もありません。初めまして、レイヴェルト・ランウォーカーと申します。よろしくお願いします」
そう言って礼をする。
「よろしくお願いします、レイ君。それで、何故アレクシア様がレイ君を連れ回しているのですか? その目的の方とはお会いできなかったのですか?」
「会うことは出来たわ! だって目的の人は辺境伯だったもの!」
「じゃあ何故この子を? 辺境伯とは決闘はしなかったので?」
「辺境伯の代わりにレイとしたわ!」
「ああ、そのお詫びに連れ回しているって事ですね。アレクシア様、こんな子供相手にも本気を出したんでしょう」
「そうなのよ! それで負けちゃってね! えへへ〜これからは私のパートナーよ!」
「「はっ?」」
俺とヘレンさんの言葉が重なった。……なんだパートナーって?
「アレクシア様がこの子に負けたのですか? 手加減せずに?」
「そうよ! それはもうコテンパンにね!」
そして親指を立てるアレクシア王女。
「あの〜パートナーって何でしょうか?」
「レイ君は知らないのね。アレクシア様は無類の年下好きでね、自分より年下か上でも2歳上までの人じゃないと結婚しないって言って、その中で、自分に勝てたら結婚するって公言しているのよ」
「はっ?」
「陛下もアレクシア様の才能は知っているからアレクシア様に勝てるような人なら良いだろうって事で認めているの」
「私の父はその事を?」
「絶対知っているわ。だってアレクシア様の言う条件に合う家には手紙を送っているもの」
は、嵌められた! だからジークは俺に任せたのか! 俺はアレクシア王女の方を見ると
「よろしくね、旦那様!」
物凄い笑顔……そして抱きついてこようとする。ヘレンさんは止めてくれずに苦笑い。だがそこに
「やっと見つけましぞ! アレクシア様! 今日こそは相手をしてもらいます!」
なんか学生服を着たムキムキの男がお供を3人ほど連れてやってきた。
「嫌よ。あなたたち弱いもの」
と物凄く嫌そうな顔をするアレクシア王女。そしてさり気なく俺を抱かないで欲しい。お胸様に顔が埋まって見えないから。嬉しいけど……
そして何か嫌な予感……もうやだ……
よろしくお願いします!




