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23.vs第1王女

 なんでこうなったんだろと思うこと数十回。


 今俺は王宮にある練習場でアレクシア王女と対峙している。


 ジークに嵌められた俺は、アレクシア王女に引きづられながら決闘の準備をしにいった。


 戦うつもりは全くなかったので、武器や防具、服まで全て借りることとなった。その中で一番困ったのは服を着替えるときだ。理由はアレクシア王女が何故か着替えを手伝おうとするからだ。


「ちょっ! アレクシア王女殿下、私は自分で着替えられます!」


「そう言わずに手伝ってあげるわ! エヘヘ〜小さい子の着替え〜! じゅる!」


 なんか不穏な声が聞こえたが無視だ!


「アレクシア王女殿下もご準備があるのでは無いのですか!」


「アレクシアで良いわよ。私はあと防具をつけて武器を持つだけだもの。服は学園の服があるし。この服には魔法付与がされていて、衝撃緩和や各種魔法緩和など付いている優れものなのよ」


 そんな良いもの着るのかよ学園は……


「それより早く着替えて行きましょ! 早く脱いで!」


「大丈夫ですから! 1人で着替えら、って、ズボンから脱がそうとしないで! ちょっ、はな、あーーーー!」


 ……そして部屋から出てきたのは物凄く笑顔で輝いているアレクシア王女と物凄くやつれてしまった俺だった。


 着替えの手伝いや防具をつけるのを手伝ったりしてくれるほど面倒見は良いのだが、動機が不純すぎて困る。ただ、着替えの際に当たるお胸様は柔らかかった。


 そして練習場で待っているとジークがやってきた。


「やってくれましたね、父上」


「まあ、そう怒るなって。色々と楽しんでいたんだろ?」


 そう言い笑ってくるジーク。な、何のことかなーと口笛を吹いてみる。


「音出てないぞ。まあ、そんなことは良いか。それよりもこの決闘は勝てよ」


 さっきとは打って変わって真剣な表情で見てくるジーク。


「それは何故ですか?」


「何、明日のためさ。明日もレイは勝てると思っているが、それより先に陛下たちにお前の実力を見てもらおうと思ってな」


「……本当の理由は?」


「ただ面倒だっただけだ。レイが勝てばアレクシア王女の興味がレイに向く。俺は戦う必要が無くなるわけだ」


 ニヤッと音が出るような笑い方をするジーク。この親父……


「まあ、気をつけろよ。アレクシア王女は剣術も魔法のレベルもかなり高いと聞く。魔法の水、土、風を使い分けて、剣術は珍しい二刀流らしい。変幻自在の太刀筋で今までの敵を斬り伏せてきたそうだ」


 そういえば二刀流って見たこと無いな。少し楽しみになってきたかも。


「ほら、来たぞ」


 対面を見ると先ほどの制服の上に胸当てなどをつけて腰には二本の剣を刺している。


「ごめんなさいね、ボク。準備に手間取っちゃって」


「いえ、大丈夫です」


「なら良かったわ。辺境伯。約束通りこの子に勝ったらお相手をお願いしますわ!」


「わかりました。レイに勝てたらお相手致しましょう」


 そこに王様が


「準備は整ったようだな。審判はゲインが行う。ゲイン」


「はい。では私が審判を務めさせていただきます。ルールはどちらか降参するか私が止めるまでになります。魔法も使用可能ですが殺傷力の高い魔法はお控えください。何かご質問は?」


 俺も、アレクシア王女も首を横に振る。


 ジークは王様の近くに戻り、って何故かマーリン魔法師団長がいる。いつの間に?


「では、両者構えて!」


 おっと、そんなことを考えている場合じゃ無い。俺は槍を構える。アレクシア王女は何故か一刀しか抜かない。


「……二本とも抜かないのですか?」


「ウォーミングアップに本気を出しては、後で疲れてしまいますからね」


 そう言って微笑むアレクシア王女。俺も武術を嗜む者として今のはイラっときたぞ。


「わかりました。直ぐに抜かして差し上げます」


 ーーバチバチ、バチバチーー


 んっ? 何故ヒカリンが頭の上にいるんだ? 今日は屋敷に置いてきたはずなのに。


「来ちゃったの!」


 来ちゃったの! て。まあ良いや。俺も集中しよう。


「では、はじめ!」


 ゲイン近衛団長の合図で決闘が始まる


 俺はその瞬間身体強化を発動。一気にアレクシア王女との距離を詰める。


「しっ!」


 そして突きを放つ。


「なっ! くっ!」


 驚いたようだが何とか剣で逸らすアレクシア王女。


 だが俺は素早く槍を手元に戻し突きを何度も放つ。


 開始早々防戦一方になったアレクシア王女は距離をとろうとするが俺が許さず空いた分詰め寄る。


「くっ! 身体強化発動!」


 そしてアレクシア王女も身体強化を発動する。これで何とか捌ききり、距離を開けるアレクシア王女。


「油断していたわ。そんな可愛らしい顔をしてそんなに強いなんて。流石は辺境伯の息子かしら」


「武人が相手を見て油断する時点で間違っているんですよ。アレクシア王女殿下」


「ふふふ、ふふふふふふふふ! それもそうね! 私が悪かったわ!」


 そう言い二本目を抜くアレクシア王女。


「今度はこっちから行くわ!」


 そう言い笑いながら突っ込んでくるアレクシア王女。


 右側の剣を振り下ろしてくる。それを防ごうとすると


「なっ!」


 今度はこっちが驚く番だった。先ほど見たときは右側の剣が先に振り下ろされていたのに、気が付くと左側の剣の横薙ぎが直ぐ傍まできている。右側の剣の速度は変えず、左側の剣の速度だけ変えたのか!


 俺は槍の石突で何とか左側の剣を弾く。直ぐに右側に対応し、その間に左側の剣が迫る!


 ……なるほど。これはすごい。右かと思えば左。上かと思えば下から。いろいろな方向からタイミングや角度をずらして避けづらくする。これがアレクシア王女の剣術か。


「ふふふ! ウインドカッター!」


 そこに魔法も加えてくる。常に3方向からの攻撃に対応しないといけない。今度はこっちが押されだした。


 ジークのために負けてみるのも面白そうだが、俺もこの人に勝ちたくなった。


 ……あとで聞いた話だが、戦闘中俺も歯を剥き出しにして笑っていたらしい。外から見た光景だと2人とも笑いながら斬りつけ合うという、異様な光景だったとか。


 ……俺もアレクシア王女の事を悪く言えないな。


 だけどこのままだと押されるので俺も魔法を使う。


「ライト!」


 俺の必殺目眩しで距離をとる。そして即座に


「雷魔法ライトニング身体付与!」


 これで拮抗は崩れるはず!


「はぁっ!」


 視力が戻ってきているアレクシア王女に俺は接近する。


「っ! 何て速度!」


 何とか応戦するアレクシア王女だが、先ほどみたいに俺が押していく。


「ふふふ、あは、あははははは! 楽しい! 楽しいわ! ボク!」


 アレクシア王女が恍惚とした顔で言う。

 

「楽しそうですね」


「もちろんよ! こんな勝負楽しくない訳ないわ!」


 そう言って微笑むアレクシア王女。


 俺はその顔を見て綺麗だと思った。


「でもこのままではダメみたいだから、私の今使える最高の技を使うわ! 風魔法ゲイルストーム武器付与!」


 なっ! 武器付与は一つの武器にしか付与が出来ないはずなのに2剣とも付与されている。


「気づいたかしら。これはスキルの二刀流の能力の1つで武器を2つまでなら1つという扱いで使うことができるのよ!


 二刀流か。俺も取ろうかな?


「さあ、いくわよ! くらいなさい! 切り刻む二対の嵐(ゲイルツイスター)!」


 あんなの食らったら切り刻まれるな……なら俺は


「雷魔法ライトニングボルテックス武器付与!」


 あの技で迎え撃つ!


雷撃の滅槍(タケミカヅチ)!」


 嵐吹き荒れる二対の剣と雷鳴轟く雷の槍がぶつかり合う。



「やぁぁぁあ!」


「はあぁぁあ!」


 そして


 ドガァン!


 轟音


「きゃああああっ!」


「ぐわぁ!」


 俺とアレクシア王女が吹き飛ばされる。


 俺は即座に立つと


「両者そこまで!」


 とゲイン近衛団長に止められる。


 さっきまで立っていた場所を見ると大きなクレーターが出来ていた。俺の使っていた槍もボロボロに折れてしまった。


 アレクシア王女の方を見ると起き上がってこない。気を失っているようだ。


 ゲイン近衛団長の方を見ると


「はぁ、殺傷力の高い魔法の使用は控えるように言ったはずですが」


 と言いまた溜息を吐くゲイン近衛団長。


 周りを見ると王様は驚いていて、マーリン魔法師団長はなんかキラキラした目でこちらを見てくる。何だ? 


 そしてジークは……やれやれといった感じで首を振っている。


 ジークを殴りたい気持ちを抑えて考える。


 ……少しやり過ぎちゃった?……

よろしくお願いします!

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