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20.王家

「王都にランウォーカー辺境伯が来ていると?」


「はい。先程使者が来られまして御目通り願いたいとのことで。後ほど使者を送るということで帰しましたが」


「では、話したい内容というのは……」


「十中八九大行進の事でしょうな」


「辺境伯が自ら会いに来るということは、今回の大行進も何とか乗り越えたという事だろう。私が即位して18年になるが、大行進という言葉だけはどうも苦手だ」


「おっしゃる通りで。あの大地はレガリア帝国との唯一の防衛拠点ですからね。あの辺境伯領が負けてしまうと一気に王都近くまで侵攻されてしまいますから」


「ああ、なのに中央の貴族どもはそれがわかっとらん! 辺境の貴族が軍を持つと何をするかわからんなど言いよって! 侵攻されたらされたで、また騒ぎ出すのが目に見えとるわ!」


「陛下、どこで聞き耳を立てているかわかりません、余り王弟の勢力の批判はお止めになった方がよろしいかと」


「この王室が聞かれているのだったらどこで話そうと同じだ。それよりも辺境伯との日程だが明後日にしよう。儂の公務もそんなに無かったはずだ。5日後にはマリーナの誕生会もあるしな。という事は誕生会にも出席するという事か?」


「はい、誕生会も本人が出席するとの返事を頂いています」


「そうか、他には何かあったか?」


「それが、辺境伯からの使者の言葉の中に子息と一緒に謁見したいというものがありまして」


「子息といえば毎年誕生会で見かけるあの丸いやつか? あやつと一緒に来る理由はなんだ? 年的にはマリーナと同い年だったか? まさか、マリーナを狙ってか!」


「落ち着いてください、陛下。1人で進み過ぎです。その子息ではなくて今まで辺境伯領にいたみたいです。今回王都へ来るのが初めてみたいで、そのための謁見では無いでしょうか?」


「だが、それだけのためにわざわざ大行進について重要な話をするときに連れてくるか? 5日後の誕生会にも出るのだろう、その時に挨拶などさせれば良いのだからな」


「理由はわかりませんが、どうしても連れて行きたいとの事でした。どうされますか?」


「……今回は特例で認めよう。大行進も止めてもらっているしな。だが! 話の内容がマリーナを欲しいという話だったら儂はこの剣を抜き切りかかってやる!」


「やめてください……陛下が辺境伯に勝てるわけ無いじゃ無いですか……では明後日に謁見を行うという事で宜しいですか?」


「ああ、その方向で頼む」

 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

「はっ! やぁ!」


 俺は日課となっている槍の稽古をやっている。馬車の移動中は余りやる事が出来なかったからな。久しぶりに槍を振れて気持ち良い!


 ヒカリンは頭の上でゴロゴロとしている。結構激しく動いているのに振り落とされる様子もなく一緒に掛け声をしてくれる。なかなか器用な精霊だ。


 昨日屋敷に着いてからは、流石に昨日と今日くらいはジークとエリザ夫人たちを過ごさせようとなって別々に過ごしている。エリスは口がパンパンになるくらい膨れていたが何とか納得していた。なんだかんだ言って夫人の事は大事に思っているんだな。


 フィーリアとクロナがその顔を真似して膨らんでいた時はあまりの可愛さに頬を突いてしまった。そのやりとりが面白かったのか、顔をあわせる事にその顔をしてくるのでその都度突いてあげる。そうすると、2人ともキャッキャッと喜んでくれるのでこちらも楽しい。


 昨日はジークから王家の事について教えてもらった。ナノール王国の今の王様レイモンド・ナノール王がこの国の王について18年になるらしい。25歳の時に即位したとの事。その間は近隣諸国とはレガリア帝国以外は戦争らしい戦争も起きていないらしく民からの信頼も厚い良い王様らしい。


 その王様には3人の夫人と4人の子供がいる。

 1人目の子供が第1王子でこの国の王太子になるアルバート・ナノール王子で今年20歳になる。聡明なのだが武術や魔法が全くダメらしくバリバリの文官肌みたいだ。


 2人目の第2王子がアレックス・ナノール王子で今年17歳になる。こっちは真逆でかなりの武闘派で軍部の貴族たちはアレックス王子に付いていてアルバート王子と対立しているらしい。嫌な情報だ……


 3人目が第1王女のアレクシア・ナノール王女だ。年は14歳なのだが兄妹の中で一番才能があるらしい。武術や魔法は近衛団長や魔法師団長に教えてもらうほどで、学問に関しては今行っている学園で学年主席との事。アレクシア王女が男だったら良かったのになど声が上がるほどの才能を持っているとジークが言っていた。何でも強い人と戦うのが好きらしい。どこの戦闘民族だよ……


 そして4人目が今度の誕生会に行く事になるマリーナ・ナノール王女だ。マルコやエアリスと同じ年の11歳で武術は駄目だが魔法が得意らしい。


 これが今の王族だ。夫人たちについては今のところは余り関係無いから教えても仕方ないとのこと。


 王都にいる間の予定がある程度決まった。昨日王宮に使者を送っていたらしく、王様との謁見が明日になった。マリーナ王女の誕生会が4日後になるから意外と暇な時がある。


 フィーリアは、今日の昼に誕生会の時に着るドレスを見に行くとのこと。今日はそれに付き合わされることになっている。何でも俺の意見が聞きたいとさ。別に俺が行かなくても良いんじゃないかと聞いても


「ダメです! 絶対に一緒に行くのです!」


 と言われてしまう。こうなったらフィーリアは頑固なので断ることができない。まあ、仕方ないかぁとか思っていると、丁度そこにフィーリアとクロナがやって来た。いつもみたいに走って来るのかと思ったけど、何だか様子がおかしい……


 何時もなら「お兄様〜!」や「レイ様〜!」と言いながら走って来るのだが何だか元気が無い。心配になった俺は2人に近づくと、2人とも俺の顔を見るなり泣き出してしまった……


「どうしたんだ、2人とも?」


 聞いてみても涙を流すだけだ。しかもフィーリアの顔を見てみると左頬が赤く腫れている……一体何があったんだ?

今日から更新再開します!

更新時間は大たちこの時間帯に揃えれたらと思っています!

http://book1.adouzi.eu.org/n5600dj/

「召喚された勇者に婚約者を取られた男は、魔王として彼らを見返す!」

こちらもよろしくお願いします!

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