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19.王都の屋敷へ

 初めて来た俺、フィーリア、クロナがまず驚いたのがあまりの道の広さだ。


「ひゃあ〜、道がとても広いのです! お兄様! 馬車さんがいっぱい通れるのです!」


 この道の広さは俺たちが乗っている6人乗りの馬車が4台通っても大丈夫なほど広い。フィーリアはそれを見て大興奮だ。


「はは、楽しそうだな! よし。屋敷に向かうぞ」


 ジークがそう号令を出すと馬車は動き出す。


 この辺りは飲食店が多いみたいだ。少し進むだけで色々と美味しそうな匂いが漂ってくる。


「レイ様〜。とても美味しそうな匂いがします!」


 鼻をピクピクさせて言ってくるクロナ。ネコミミもピクピクしている。うん、可愛い。


「そうだな。じゃあ、今度買い物に来た時に食べてみようか」


「賛成なのです!」


「私も楽しみです!」


 と2人とも大喜び。うんうん。2人の弾けるような笑顔が眩しいよ。


 馬車を進めるほどに街の景色が少しずつ変わっていく。王都は王城を中心として貴族街、平民街と外に広がる様にできている。貴族街の中にも位の高い貴族が城に近いところに建てるという不文律があるみたいだ。ランウォーカー家も辺境伯ということで城に近いところにあるとの事。


 そんな話を思い出しながら外を見ていると大きな建物が見えてきた。


「父上。あれは何ですか?」


「ん? ああ、あれはカルディア学園だ。俺やエリスが卒業した学園でもあり、お前たちも入学する場所だ」


 ほお〜、あれがカルディア学園か。かなり大きな建物だな。2つの塔が左右対称に建てられ中心に円状の建物が建っている。


「懐かしいな〜。あの学園で俺とエリス、エリザに出会ったんだぞ。俺が1つ上で2年生の時に2人が入ってきて。2人とも面白いんだぞ! 入学早々2人が喧嘩し始めていきなり停学を食らってるんだから。2人とも魔法の才能が凄いから訓練場はボロボロになるしな。エリスは雷魔法を使い、エリザは得意な水魔法を使って勝負するから、壁は黒焦げ、地面は水浸しでドロドロだしね。修理する上級生や先生たちが涙を流していたよ」


 そう笑うジーク。エリスの方を見ると顔を真っ赤にしてプルプル震えている。


「だ、だってエリザったらいきなり「あなたが私より才能があるなんて許せない!」とか言ってことあるごとに勝負を挑んでくるのよ! 私だって魔法は得意だったし。負けられなかったのよ!」


「お母様はとてもお強かったのですね!」


 ……フィーリア。今その眩しい笑顔は逆効果だぞ。


「そ、そうよ! お母さんは強かったんだから!」


 そんな無理しなくても……ジークはその姿を見てまた笑い出すし。


「しかもそのあと、学園長に呼び出されて罰として1ヶ月の停学と雑用をさせられるんだから。授業を受ける代わりに毎日掃除していたな」


「もう、やめて! あの頃は若かったのよ!」


 顔から湯気が出そうなくらい真っ赤だ。


「学園は12歳から16歳までの4年間入学することになる。マルコとエアリスは来年からだな」


「私はお兄様と一緒になれますか!」


「フィーリアはレイが卒業の年に入学だから1年だけだな」


「ぶう〜。1年だけなのですか……短いです……」


「こればかりはどうしょうもないからな。我慢してくれ」


「そうよ。その頃には兄離れもしとかないとね。ほら屋敷が見えてきたわよ」


 エリスがそう言い指をさすと、フィーリアとクロナはすぐに外を見始めた。落ち込んでいる姿を見るのは悲しいが、これはこれで悲しいな……


 俺も屋敷の方を見ると、先触れを出していたせいか、外に侍女や兵士たちが待っていた。その中の一番前にとても綺麗な女性と2人の男の子が立っていた。


 馬車が屋敷に着くと、ジークから順に降りていく。そこに綺麗な女性が一歩出てくる。


「お待ちしておりましたわ、ジーク」


 笑顔でお辞儀をする。金髪のロングに勝気なつり目。とても豊かなお胸様にかなりのスタイルだ。この人がエリザベート夫人か。そしてジークは巨乳派だな。3人の嫁全員大きいからな。


「お待ちしておりました! 父上!」


 そこに走ってきたのは丸い人だった。何ていうか、すごい……母親譲りの金髪にほとんど開けられていない目。俺の倍ぐらいある体。横に。フィーリアとクロナが俺の服を掴んでくる。そんなにびっくりしなくても。


「お、おう! 久しぶりだな、マルコ! かなり大きくなって!」


 顔が引きつりかけている。そこに夫人から助け船が


「マルコったら最近王都で流行りのお菓子ばっかり食べて、止めても聞かないのよ。ジークも言ってあげて。そんなんじゃ戦えないって」


 それはそうだ。領地に戻ったら、魔物と戦うこともあるだろう。それなのにこの体型じゃあ。


「大丈夫ですよ、母上。私には母上譲りの魔法が有るんですから!」


 それを聞いた夫人は溜息を吐く。苦労しているんだね。そこにもう1人の兄がきた。


「兄上。少し邪魔です。もう少し痩せたらどうですか? 父上、お久しぶりです」


「ああ、久しぶりだなウォント。お前は普通の体型だな」


「勿論です。あんな甘ったるいのそんなに食べられませんから」


 中々兄に対して辛辣だな。


「久しぶりね。エリス。その2人があなたの子供だったわね」


「ええ、久しぶり、エリザ。そうよ、私の自慢の子供たちよ」


 何故ここで火花を散らす。気まずいじゃないか。


「お久しぶりです。エリザベート夫人」


「初めましてです! フィーリアと言います!」


「ええ、よろしくねフィーリア。レイも久しぶり。まだ赤ん坊だったから覚えてないと思うけど。私の事はエリザお母様で良いわよ」


 そう言って微笑んでくれる夫人。何だか昔の印象と違うな。


「やっぱりあの2人の子供ね。フィーリアはまだ普通だけど、レイは中々凄いわね。内蔵されている魔力の量が子供の中では桁違い。ウォントが私の水魔法の才能を引き継いでいたけど、あの子以上だわ」


 夫人がボソッと呟いたが何を言ったかわからなかった。


「さあ、ここで立ち話も何でしょうから、中に入りましょう、ジーク」


「そうだな。行こうかみんな」


 そして屋敷に入っていくジーク。マルコはクロナをガン見している。それを見て呆れるウォント。やっぱりウォントはマルコに対して厳しいな……


 しかし領地から2週間ようやく屋敷についた!

よろしくお願いします!

http://book1.adouzi.eu.org/n5600dj/

「召喚された勇者に婚約者を取られた男は、魔王として彼らを見返す!」

こちらも!

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