表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

190/350

176.結果は

 辺りにはバチ、バチッと雷が走る音が聞こえる。……どうなったんだっけな? 体中に痛みが走るのを我慢しながら辺りを確認する。


 確か、レビンさんの攻撃と俺の攻撃がぶつかり爆発したんだった。そして、その爆発で辺りが吹き飛び俺もその爆風に巻き込まれて吹き飛ばされた。


 周りは爆風のせいで砂煙が立ち込め、周りが見えない。魔力探知を使っても爆発が起きた場所に莫大な魔力が渦巻いているためわからない。気配察知で辛うじてレビンさんがいるのがわかるくらいだ。


「ぐぅっ! ……痛いな。雷のせいか麻痺して動かし辛いし」


 俺は自分の右側を見る。レビンさんの咆哮は何とか防いだが、全部は防ぎきれなかったみたいだ。熱波で身体中火傷しているが、右腕が特に酷い。攻撃が掠ったのか黒焦げになっている。全く動かず痛みだけが走る。


 まあ、直撃していたら黒焦げじゃあ済まなかっただろう。腕があるだけマシと考えるべきか……いや、防ぎきれなかった事を考えるべきだな。右側の顔もヒリヒリ痛むし。目も開けられない。


 俺は左手で体を支えて何とか体を起こす。右足は無事だが火傷はしている。それに雷に痺れて動かし辛い。

 何とか踏ん張って立つが体中が軽く痺れている。


 立って辺りを見回すと、俺が魔法を放っていたところから大分遠くに飛ばされているのがわかる。300メートルぐらいは吹き飛ばされたか?


 そして俺がいた森は消し飛んでしまった。煙でわかりづらいがそれはわかる。そして煙を見ていると、煙の中からレビンさんが飛んでくる。


 ところどころ血に濡れているのを見ると、俺の攻撃も通ったのだろう。怪我の重さで言えば俺に分配があがるが。


『グルルゥ。やるじゃねえか。まさかあれを突破して俺に傷をつけるなんてな』


 レビンさんが珍しく褒めてくれる。だけど、レビンさんが放つ殺気が衰えていないところを見ると


『だが、まだ認められねえな。竜王の咆哮は属性王が全員使える技だ。それを防ぎ切らねえときついぜ?』


 身をもって体験しているところですよ。だけど、レビンさんも疲労をしているのはわかる。あれだけの魔力量だ。あれ1発放つのにも、かなりの体力がいるのだろう。


 レビンさんは再び周りに雷の球体を出現させ俺に放ってくる。俺も周りに雷光ノ天装による球体を10ほど出現させる。そして


「シールド!」


 俺が左腕をパッと前に出すと、俺の周りに浮いていた球体が前へ移動し、俺の思う通りに形を変える。それは円形の盾に変わり、迫るレビンさんの攻撃を防ぐ。


 俺の目の前で眩い光が放たれるが、雷は盾を超えてこない。この技は攻防一体の技だ。そのため光天ノ外套の魔力探知による自動防御も使える。


 元々防御力は高かったが、複合魔法でかなりの魔力を込めているので、前以上の防御力……のはずだ。ただこのまま受けてばかりでは勝てない。


 今は10ほどの球体を盾に回しているが、もう10ほど発動させ攻撃に回す。それぞれが球体から鋭い槍のように形を変える。そして


「ランス!」


 レビンさん目掛けて放つ。雷の閃光ほどの威力はないが、レビンさんでも傷付かずにはいられないだろう。ランスは青白い軌跡を残しながらレビンさんへと降り注ぐ。レビンさんも鋭い爪の刃を放ってぶつけてくる。よし、ランス一本で爪の刃を一本消し飛ばした。


 そこからは撃ち合いになった。レビンさんが雷の球体を放ってくるのを俺が盾で防ぎ、俺が槍を放つとレビンさんも爪の刃を放って相殺させてくる。


 だけど、このままだと押し切られるのは当然俺だ。麻痺は少しずつ解けてきたが、右腕は全く動かない。右目も開くが微か……というよりかほとんどぼやけていて見えない。


 それに魔力の量はレビンさんの方が上だろう。このままではまずい。何か打開策を。そう思った時、この戦いは突然終わる事になる。それは


『お主らドンバンやかましいのじゃ! もう少し静かに出来んのかっ!』


 という、怒りの声とともに、風の塊が空から降ってくる。その風の塊は俺とレビンさんの間に落ちて爆発。巨大な竜巻へと姿を変えてしまった。す、すげぇ。


『なんでアニマの婆さんが来るんだよ』


 そう言いながら空を見るレビンさん。そして空からは若葉色の鱗をした竜が降りて来る。レビンさんの様にゴツゴツした感じではなくて、ヒルデさんやエクラの様にすらっとした感じだ。婆さんとレビンさんは言っていたから女性なのだろう。竜も男と女で違うんだな。


『お主らがここで暴れておるからじゃろう! この島には我が眷属たちもいる。その子たちが泣いてやってきたのじゃ。何事かと思って様子を見にくれば本気の勝負をしおって! 島を消し飛ばす気か!?』


 大きさはレビンさんより少し小さいくらいなのだが、レビンさん以上の貫禄。レビンさんも頭が上がらない様だ。


 この竜にレビンさんが怒られているのを見ていると、ジロリと俺も睨まれる。そこから俺に対しても説教が始まった。


 ◇◇◇


「マキシマムヒーリング……これでようやく応急処置程度か。右目はほとんど見えないし。まあ、仕方ないか。後は魔力が戻ってからにしよう」


 今俺とレビンさんは暴れていた島から少し飛んだ別の無人島にやってきた。少し飛んだというのは竜のスピードでだ。人間だった陸路で1ヶ月かかる距離だ。


 その無人島にひっそりと立つ小屋の中に案内された。この小屋の主人、風竜王アニマさんに。アニマさんは人型になると、お婆さんかと思っていたら、メイちゃんたちくらいの年齢になった。何度目を擦った事か。


 アニマさんは若葉色の長い髪の毛をしており、同じ様に緑色した着物みたいな物を着ている。多分勇者が持ち込んだ知識だろう。


 見た目は子供だが、時折妖艶な女性の様な仕草を見せられドキッとしてしまう。だけど、見た目は子供なので、その後少し罪悪感が芽生えてしまう。そこに


「見た目が子供だからって騙されるなよ。この婆さん俺の倍は生きているから」


「ばっ!?」


 俺は驚きのあまり倍っ!? と叫びそうになったが、アニマさんが物凄い形相で俺を睨んで来るので即座に口を手で塞ぐ。どうやらこの人の前で年齢の話は禁句の様だ。


「まあ、そんなところで立っていないで、座るのじゃ」


 俺とレビンさんはアニマさんに促されるまま座る。この小屋なのだが、他の家とは色々と違う。先ずは玄関で靴を脱ぎ、居間は畳が敷かれていて、そこに座布団とちゃぶ台が置いてあった。まるで日本の家に来たみたいだ。この世界には靴を脱ぐ習慣は無いからな。


「それで、お主らがあの島でドンパチと争っていた理由はなんじゃ?」


 アニマさんが俺とレビンさんが戦っていた理由を尋ねて来たので話す。別に隠す事では無いしな。俺が事情を話して行くと、アニマさんの眉間に皺が寄ってレビンさんを睨む。


「レビン、そんな事しなくても、やればいいじゃろ」


「だから言ってんだろ婆さん。実力を確かめるためって」


 アニマさんの言葉にレビンさんはフンッとそっぽを向いてしまう。まるで親に叱られる子供みたいだ。そんな事言ったらぶん殴られるから言わないけど。


 そしてアニマさんは俺の方を向き


「お主、確かレイと言ったかの。レビンはくれなさそうじゃから、わしの牙をお主にやろう」


 と言って来る。物凄く有難い話のだが、やっぱり俺の事を鍛えてくれたレビンさんのを使いたい。なんだかんだ言いながらも俺を鍛えてくれた人だから。今回のもこの人に認められる為の戦いだったし。


 だから、俺がアニマさんに断ろうとした時、アニマさんはレビンさんをチラッと見て、ニヤリと物凄く悪い顔をする。な、なんだ? そう思っていたら


「婆さん、勝手な真似はすんじゃねえよ。そいつには俺の牙をやるんだからな!」


 とレビンさんが怒り出した。それを見たアニマさんはレビンさんに見えない様にお腹を抱えて笑っている。……レビンさん、嵌められているぞ。


 その後、レビンさんの牙を取るために竜化したレビンさんの顔を、竜化したアニマさんがレビンさんの顔を殴って牙をへし折って取るという荒技をしたため、少し口論する事になったがなんとかレビンさんの牙を手に入れる事が出来た。


 その時にレビンさんに及第点だと言われたが、認められた事は素直に嬉しかった。そして俺たちの目的も果たせたので、ナノールに帰ろうと思ったら


「それならわしも行くのじゃ。久し振りにヒルデやシルフィーにも会いたいしの」


 と言ってくる。……王様すみません。属性王がもう1人王都に入ります。

ロリババアってなんか難しいですね(笑)

評価等よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ