18.王都
男の社交界について延々と聞かされた後、馬車の用意ができたとの連絡がありみんなで馬車に向かった。
見送りにはエイリーンとエアリス、屋敷の侍女達に動ける兵士のみんなが来てくれる。ちなみに王都に行ってからのまわりの世話は、王都にある屋敷の侍女たちがしてくれるらしい。
「じゃあ、エイリーン。領地のこと頼むよ」
「ああ、任せといて」
そう言ってキスを交わす2人。エアリスはさっきのを思い出したのか顔を真っ赤にし、フィーリアとクロナはキャッキャッと騒いでる。そしてエリスは
「今だけ、今だけだから。王都に行けば私だってあんな事やこんな事だって。でも、王都にはエリザもいるし。じゃあ馬車の中で? いや、それはダメ! 子供達の前でなんて出来ないわ! エリザと2人でジークを? それが良いわ!」
……聞かなかった事にしよう。ラブラブなのは良いが、口に出すのは止めようよ。聞いているこっちが恥ずかしい。
そして戻ってきたジークから馬車に乗る。エリスも乗って順番に馬車に乗る。
「ジーク様。準備ができました」
兵士の1人がジークに伝える。
「よし。出発だ!」
ジークの号令で馬車が動き出す。俺やフィーリアとクロナは遠出をするのは初めてだ。近くの町や村ならあるけど。王都かあ〜楽しみだな!
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二週間後
……暇だ。何もする事がない。フィーリアとクロナも暇そうにしている。初めの頃は、はしゃいでいた2人だが、代わり映えのしない景色と延々と揺られる馬車に飽き飽きしたのだろう。降りれるのは休憩の時か、休むために町や村に寄った時のみだ。特にする事がないのですぐに暇になってしまう。中身が大人になった俺ですらこうなるのだから、2人には厳しいだろう。
「父上。そういえば2人の兄についてなのですが」
そう、今回は2人の兄に会う。出会ったのは生まれた時だから全く覚えていない。
「そういえば、レイが会ったのは生まれた時だけか。それは覚えていないな。俺も最後に会ったのは昨年だからな。一番上の兄がマルコ・ランウォーカー。年はエアリスと同じ11歳でランウォーカー家の長男だな。次男のウォント・ランウォーカーは一つ下の10歳だ。この年頃はすぐ大きくなるからな。楽しみだ」
そう言って笑うジーク。俺も楽しみだが見に来たときに睨まれているからな。少し不安もある。そんな事を考えていたらフィーリアが
「私もお兄様たちに会うの楽しみなのです! レイお兄様みたいに優しい人だったら良いのです!」
と笑顔で言ってくれる。嬉しい事言ってくれるじゃないか! このこの!
「キャッ! くすぐったいです! お兄様!」
「あ〜ずるいです! 私も混ぜてください! レイ様〜!」
そこにクロナも混ざってくる。俺は2人まとめて撫でてやった。その光景を楽しそうに見ている3人。
楽しく過ごしていると、そこに外から馬車をノックされる。
「どうした」
「ジーク様。王都が見えてきました」
「おお! そうか。では先触れを出しておけ」
「かしこまりました」
やっと王都かあ。このお尻の痛いのともおさらばだな。するとフィーリアが
「お兄様! おうと? に着いたら私たちとお買い物の約束ですからね! 絶対ですよ!」
と念を押してくる。この雰囲気、王都ってどんな場所かわかってないな……王都のところで首を傾げてたからな。
「もちろんわかっているよ。でも今日着いてすぐとはいかないから明日以降になるからね」
「そうね。今日は屋敷に行ってエリザたちとの顔合わせもあるし。2人とも疲れたでしょう。今日は屋敷でゆっくり休みなさい」
「「はーい」」
2人揃って手を挙げて返事をする。うん、聞き分けの良い子でお兄ちゃん嬉しいぞ。
「ほら見えてきたぞ」
窓からは大きな城壁が見える。城壁は辺境伯領より少し大きいぐらい。まあ、あの大きさの城壁の方が珍しいんだけど。門のところには馬車がたくさん停まっている。クロエに聞くと通行申請待ちらしい。
俺たちの馬車が門に着くと、兵士たちが寄ってくる。
「ランウォーカー辺境伯様ですね。通行証をお見せください」
なんでも貴族だけが持つ通行証があるらしい。王家だけが持つ魔法で通行証を作成するので偽造は出来ないとか。
「はい。確かにランウォーカー辺境伯様の通行証になります。ようこそ! 王都へ!」
そうして初めての王都へ足を踏み入れた。
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「召喚された勇者に婚約者を取られた男は、魔王として彼らを見返す!」
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