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154.竜化

「や、奴らが動き出したぞ!」


 俺がレビンさんたちにグルタスの裏にいる七魔将、ベンジャルについて聞いている間に、グルタス側にも動きがあったようだ。


 先頭はやはりというかゾンビヒュドラだ。あいつに突撃させて、開いた穴に兵士たちを突撃させるってところかな。力技だが今は一番確実な手だ。普通の兵士相手だったらな。


「さあ、さっさとやるか」


 そしてレビンさんの体に雷が迸り輝き始める。ってちょっと待てぇぇぇぇ!


「レビンさん、ストップストップ!」


 俺がレビンさんに止まるようにいうと、テンションが下がったように光がしぼんでいく。そしてレビンさんは俺の方へ振り向く。うわっ、機嫌悪そうな顔している。


「……何だよ小僧。今テンション上げて行こうと思ったのに」


「いやいや、今レビンさん、何しようとしてました?」


「あぁん? 竜化に決まってんじゃねえか。一発デカイの放とうと思ったら竜化しかねえんだよ」


 いやいやいやいや。そんな事されたら王都周辺が焼け野原になるではないか。それにただでさえ、ヒュドラが出て来てパニックになったのに、そこにもう一体竜が出て来たら、とんでもない事になるぞ。


「それに中途半端な攻撃は、ベンジャルのアンデッドには効かねえぞ。直ぐに回復するから」


 まじか。本当に面倒な相手だな。う〜んどうしたものか。しかし、そう考えているのが悪かった。


「ぶ、ブレスがくるぞっ!」


 俺たちが話している間にゾンビヒュドラはブレスの準備していたみたいだ。しかも全部で8発。くそっ、俺が悩んだせいで!


 そして放たれる8種類のブレス。火、水、風、土、光、闇、雷、氷。様々な属性のブレスが王都目掛けて放たれた。


「戦場じゃ、その一瞬の迷いが死に直結するんだよ。覚えとけ小僧」


 レビンさんはそう言いながら、門上から飛び降りる。そしてさっきみたいに体に雷が迸り


「ガルゥアアアアア!」


 全長20メートル程の竜が現れた。頭には一本の角に、体中鱗に覆われ蒼白く輝く線が走っている。これがレビンさんの本当の姿か。そして


「グルァ!」


 レビンさんが8種類のブレスを体で受ける。しかしその直前に体中の蒼白く光る線の輝きが増しレビンさんの体を雷が覆うのが見えた。レビンさんはブレスをその身に受けながら空中を回転し始める。そしてヒュドラのブレスを弾いてしまったのだ。


 弾かれたブレスは地面に落ち地面を抉る。かなりの威力なのにレビンさんは防ぎきってしまった。回転をやめたレビンさんの体を見ても、どこにも傷が無い。


『これで終わりか?』


 レビンさんがゾンビヒュドラに向けてそう言うと、ゾンビヒュドラは怯んだように数歩下がる。レビンさんに威圧されている。敵味方関係なく兵士たちもだ。


 そりゃあ突然竜が現れたら驚くよな。俺も初めてあった時は驚いた。


「ほら行くよレイ。さっきの事を忘れなきゃ大丈夫さ」


 そう言い俺の背中を叩く師匠。師匠はそのままレビンさんの背中に乗った。ヒルデさんも乗っているようだ。レビンさんに乗って行くのか。


「私も行くわよ」


「もちろん私も」


 俺が行こうとした時、アレクシアとエアリスがそう言ってくる。2人の目は絶対に行く! と言う決意に満ちている。これは何を言っても変わらないな。キャロはここを守るために残るみたいだ。


「みんな、無理はしないでね」


「ああ、それじゃあ行こう」


 俺たちも師匠に続いてレビンさんの背に乗る。おおぅ、なんていう安定感だ。空中に浮いているのに全く揺れない。これは凄いな。魔法か何かか?


『それじゃあ行くぜ』


 そしてレビンさんは飛び立つ。ゾンビヒュドラ目掛けて飛ぶが、風の抵抗も受けないし、寒くも無い。凄いな。


 そんな事を思っていたら、ゾンビヒュドラが先ほどの閃状のブレスではなく、連続して放てるように球状のブレスを吐いてくる。しかし、レビンさんには掠らない。


 逆にお返しとばかりにレビンさんが雷球を放つ。ヒュドラのブレスとぶつかるが、当たったとは思えない程簡単にヒュドラのブレスは消滅し、レビンさんの雷球がヒュドラにぶつかる。


 ヒュドラの一本の首にぶつかると、ヒュドラの首が弾け飛んだ。威力が違い過ぎるだろこれ。これが属性王の本気か。


 そう思っていたが。首が飛んだヒュドラの根元がグジュグジュと蠢きだす。そしてあっという間にヒュドラの首が元に戻ってしまった。


 そして吹き飛ばされて地面に落ちた首は、姿形を変えて、人型のアンデッドになった。まじか。


「ベンジャルの作ったアンデッドは、大元のアンデッドを倒さなければ復活します。今回で言えばゾンビヒュドラですね。奴の中にある核を壊さないとダメです」


 ゾンビヒュドラは俺たちが近づいてきたからか、背中からもアンデッドが出現し始めた。本当に面倒な相手だな。


『俺が一気に吹き飛ばしても良いが、お前たちは困るんだろ? なら小僧。お前が責任持って核を壊せ。そうじゃ無いと、この辺り消滅させるほどのブレスを吐いてやる』


 それは色々と困る。


「私とレイが核を探そうかね。ヒルデとアレクシア、エアリスは、王都に向かうアンデッドを頼むよ」


「わかりました」


 レビンさんと俺と師匠がヒュドラを相手して、ヒルデさん、アレクシア、エアリスがアンデッドをか。


『行くぞ、小僧、シルフィ』


「はい! 雷装天衣!」


「やるかねぇ」


「私たちも行きましょう」


「はい。レイ、気をつけてね」


「蛇炎ノ大太刀!」


 さっさと倒してやる。

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