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146.パーティー

 王様たちについて行く事数分。いつもパーティーに使っている部屋へとやって来る。


 王様たちと一緒に入るなんて初めてだから、何だか緊張するな。王女組は慣れているのかのほほーんとしているが、俺やエアリスは緊張している。プリシアに至っては顔を真っ青にして。なんか前もこんな感じだったな。


 子ども組は、この雰囲気に当てられて頑張って大人しくしてようとするのがわかるのだが、滅多に来られない王宮のため、ソワソワとしている。メイちゃんは今にも走り出しそうだ。


 俺はそんなメイちゃんの頭を撫でてあげる。すると、ソワソワとしていたメイちゃんがピタッと止まり俺を見上げてくる。そしてニパァと微笑んでくれた。可愛いのでもう少し撫でてあげよう。すると


「おにぃ……私も……」


 と反対側の手の指先を摘みハクがそう言ってくる。なので反対側の手でハクを撫でてあげる。あまり表情は変わらないけど、喜んでいるのがわかる。


「あらあら、レイ君ったらモテモテなのね」


 すると、ケアリー様が前からこっちを見てそんな事を言う。すると、それを聞いたアルバート王太子が俺の方を見てニヤァとする。ちょっ! なに「仲間か!」みたいな顔しているんだ! 俺は断じてロリコンでは無い! 家族として愛しているだけだ!


「みな、中へ入るぞ」


 王様が威厳たっぷりにそう言うと、みんな一瞬で静かになる。メイちゃんやハクも空気を読んで静かになってくれた。偉いぞ。


 そして会場の扉が開かれると、中には貴族たちにその令息、令嬢たちが、煌びやかな服を着て王様たちが入ってくるのを待っている。


 ……げっ! ミストガルト王子までいるじゃないか。……そういえば年末もいるって言っていたっけ。俺に殴られた腫れは引いたようだ。俺は余りの怒りで治療せずに帰したけど、誰かに治してもらったのかな。


 後ろでクラリエさんが申し訳なさそうに頭を下げる。その横には初めてあった時にいた執事服の老人もいてこっちも頭を下げてくる。


 悪くない2人に頭を下げられるとこっちが困るな。そんな事を気にせずのほほんとしているミストガルト王子。もう一回ぶっ飛ばしてやろうか。


 そんな中王様は進む。周りの貴族たちは王族を見て、そして俺たちを見て驚きの表情を見せる。まあ、驚くわな。王様たちと一緒に来るという事は、俺たちは王家の身内という事になる。


 まあ、アレクシアと婚約しているから間違いでは無いのだが。みんなの表情を人それぞれだ。俺たちを歓迎している者、苦々しい顔をしている者、アレクシアたちに見惚れている者、舌舐めずりしている男の……男?


 ……今のは忘れよう。背筋がゾクゾクとしたが気のせいだろう。無視だ無視。兎に角様々な表情を浮かべている。


 その中を王様は堂々と歩き、1番奥の上座へと向かう。そして王様が上座まで辿り着くと、王妃様たちは右側へ、俺たちは左側へと移動する。


「皆の者、よく集まってくれた」


 そこから王様の話が始まる。初めは今年の振り返りだ。今年は豊作だったとか、死人が少なかったとか、様々な事だ。それから魔族の事や、ゴブリンの大群の事を話して、俺たちの話になった。


 アレクシアの婚約が決まった事や、その相手である俺の事をこれでもか! というぐらい褒めて来る。は、恥ずかしいからやめて欲しい。


 俺の婚約者たちも王様の話が嬉しいのか、みんなに向かってドヤ顔をしている。それも出来ればやめて欲しいのだが……。


 そして、次は来年の抱負を述べ始めた。まず話すのは当然の事でレガリア帝国との戦争だ。これには必ず勝利すると王様は宣言する。それは勝たなきゃ色々と不味いものな。


 そのためにランウォーカー辺境伯へ兵士5万を送ったそうだ。辺境伯までの指揮はメリア・アルスタッドという女将軍らしい。なんでも、騎士爵家の長女らしいのだが、実力で軍団長まで登り上がったらしい。


 そして、辺境伯領に着くと、そこでジークに指揮を渡し副団長として指揮するらしい。ジークの私軍が2万、近辺の領地から兵を集めて1万、王都から派遣される5万の兵を合わせて約8万の兵で、レガリア帝国10万を迎え撃つらしい。


 5万の兵も既に辺境伯領についているらしい。これでいつ戦争が起きてもおかしく無い。でも10万対8万か。2万の差がどうなるかわからないけど、そう簡単には負けないはずだ。頑張って欲しい。


 ◇◇◇


 12月28日

 レガリア帝国国境砦「ディスガリアル」


「……年末には戦争が始まるんだよね」


 私は不安な思いが一杯でそんな事を呟いてしまった。この国境の砦「ディスガリアル」に来て今日で5日目だ。目的の地であるナノール王国の国境の領地、ランウォーカー辺境伯領はもう目と鼻の先にある。


 そして今回軍を率いているグレゴリウス将軍が、年末に攻め始めると言っていた。はぁ、やだな戦争。……大勢の人が死ぬ。私じゃあ助けきれないくらい沢山。


「どうしたの、カナミン?」


 そんな事を考えていたら、後ろから私を呼ぶ声が聞こえる。振り向くとそこにはマリが立っていた。そして私の隣へと座る。


「……やっぱり不安?」


「当たり前でしょ? マリは怖く無いの?」


 私がマリにそう聞くとマリは可笑しそうに笑う。私変な事言ったかなぁ? ちょっとイラっときたのでプクゥとした顔でマリを見る。


「あ、ゴメンゴメン、笑っちゃって。そんなの怖いに決まったんじゃん」


 とマリは笑いながら言う。それに続けて


「でも、怖がって、そのせいでカナミンが死んじゃったりするのはもっと怖い」


「マリ……」


「だから、私頑張るよ。絶対に生き抜いてやるんだから! そうじゃないと、こんな事も出来ないしね!」


「ひゃあっ!」


 マリは真面目な顔をしながら私の胸を鷲掴みしてきた!


「おお! カナミン殿のおっぱい殿はやわらかいですのお〜!」


「ちょっ、ま、マリ! や、やめっ!」


「ほれほれ〜。ここが良いんかの? ここかの〜?」


「あ、あぁんっ、ほ、本当に、や、やめ、ぅんっ!」


「ほれ、ほれ〜!」


「やめてって言ってるでしょっ!」


「ふぎゃあっ!」


 余りにもマリが私の胸を揉みしだくので、マリの頭を思いっきり叩いてしまった。でも私は悪くない。だって、周りは兵士の人がいっぱいいるのに、しかも男の人ばかり。その人たちの目の前で私の胸を揉みしだくなんて!


 私は胸を腕で隠し、息を荒げながら地面に蹲っているマリを見る。全くこの子は……。でも


「もう、バカマリ。次やったら承知しないんだから!」


 私を元気付けるためにやってくれたのはわかった。やり方が最低だけど。マリも涙目だけど、笑いながら立ち上がる。


 私もマリが傷つくのを見たくない。だから、私も頑張ろう。女神様からせっかくそのための力を貰ったんだから。兄さん、私頑張るから。天国から応援してね。

昨日、月の聖杯戦争を買ったので、明日以降投稿が遅れるかもしれませんが許してください(笑)


狐巫女さんと薔薇皇帝が喋っているシーンを見ると、中々濃いキャラだと思ったり(笑)


評価等よろしくお願いします!

「黒髪の王」もよろしくお願いします!

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