139.酒は飲んでも呑まれるな
注: 途中、。が全く無い箇所がありますがミスではありませんのでよろしくお願いします。
「ふぅ〜、ただいま〜、って何してんのよ?」
「おっ! エアリスお帰り!」
「キュイキュイ! キュルルン!」
エアリスとアレクシアが帰ってきた時、俺はエクラを目一杯うりうりしていた。王宮から帰ってきた時は物凄くイライラとしていたが、キャロたちに順番に抱き締めて、フェリスをもふもふして、エクラを撫でていたら大分マシになった。
エクラも嬉しそうにひっついて来るし、甘噛みもして来る。このこの! 愛やつ愛やつ!
「もうっ! 心配したから早く帰ってきたのに!」
エアリスは何故かぷりぷりと怒っている。どうしたんだろうか?
「そう言えば何があったの? レイが突然帰ってきたと思ったら、私たちを順番に抱き締めてからフェリスをもふもふして、エクラちゃんを撫で回し始めて聞きそびれちゃったけど」
エクラを撫で回し続ける俺と、ぷりぷり怒るエアリスと苦笑いするアレクシアを交互に見て首を傾げるキャロ。フェリスはソファで悶えている。気持ちよかったのだろう。
俺は思い出したく無いので口には出さない。エアリスもそれがわかったのか、はぁ、と溜息を出し王宮での事を話し始める。
初めの方は、婚約が無くなって良かったじゃ無いと喜んでいたキャロたちだが、後半の俺がキレた部分の話になれば、次第に表情が変わって行く。最後の方になれば見たこともないような表情を浮かべていた。……こ、怖すぎる。
初めは机の上でごろごろしていたエクラもあまりの怖さに俺の腕の中にやって来て頭を隠してしまった。
「ふざけているのその王子は? いくら自分の命が危ないからって女の子の夢の結婚をそんな理由に使うなんて。政略結婚とかもあるけど、それでも酷すぎるわ!」
あのキャロがこんなに怒るなんて。まあ、キャロ自身婚約の話で酷い目にあってきたからな。色々と思う事があるのだろう。
「こうなったらお酒を飲みましょ!」
そんな事を考えていたら、フェリスが意味のわからない事を言い出す。なんでいきなりお酒?
「こういうイライラした時はパァーと飲んで嫌な事は忘れた方が良いのよ! プリシア! アレを出して!」
そしてプリシアは仕方ないですね〜と行った風に台所に行きビンとグラスを持ってくる。……いつの間に用意したんだこれ?
中身はシャンパンのようだ。なぜシャンパンなのかは聞かないでおこう。多分フェリスが飲みたかったからだろうな。この世界はあまり飲酒年齢とかは決まっていない。飲めるようになったら飲んで良いといった感じだ。
机の上には大量の食事が置かれプリシアがグラスにシャンパンを注いで行く。さすがにメイちゃんたちは果汁水だ。ぷぅーと膨れていたが我慢してほしい。
「さあ、嫌な事忘れて明日からまた楽しみましょう! かんぱーい!」
「「「かんぱーい!」」」
フェリスの適当な音頭で食事が始まったが、偶にはこういう日も良いだろう。俺も嫌な事は忘れて楽しむか。
◇◇◇
「……どうしてこうなった」
シャンパンを飲み始めて2時間が経過した。メイちゃんたちは1時間ほど前に眠たくなったらしいので寝てしまったのだが、俺たちは飲み続けた。
どういうわけか俺とエアリスは酔わない体質らしく、キャロも女神の加護のせいで酔わないらしい。『障壁』は毒も弾くと聞いたけどアルコールも弾くみたいだ。しかし
「あははは! あははは! おもしろい〜!」
何が面白いか全くわからないけどずっと笑い続けているアレクシア。
「ぐすっ、私なんて、いくら鍛えたってレイの役になんて、ぐすっ」
ずっと泣いているフェリス。
「それでお店にまた変な男が来たんですその男はフォナさんの手を掴んで乱暴をしようとするのでみんなでその男を掴んで無理矢理外に追い出してヒルデさんに来てもらってからボコボコにしてもらいましたあれぐらいしないと変な男が後を絶ちませんね」
止まる事なく喋り続けるプリシア。
「……」
いつもの可愛らしい笑顔は見せずに、無表情で黙ってしまったヘレン。みんな酒に弱すぎだろ。
「あははは! レイ! あははは! 面白いよ〜!」
俺の顔を指差しながら大笑いするアレクシア。何が面白いのかがわからない。
「レイだって、ぐすんっ、どうせ、私がいてもいなくても同じだって思ってるんでしょ! うぇぇぇぇん!」
「そんな事思っていないから。フェリスがいてくれないと寂しいよ」
俺がそういっても泣き続けるフェリス。
「レイさんがお店に来てからみんなにレイさんを紹介してって物凄く言われるんですみんな玉の輿を狙っているみたいで特にフォナさんとかもうあれは恋する乙女でした友達なので紹介したいとも思うのですが好きなレイさんを他の人に取られたくないっていうか独り占めしたいと思うんですけどどう思います」
止まる事無く喋り続けているプリシア。俺が言った事が原因で修羅場になるのは嫌だから黙っておこう。
「……」
「大丈夫か、ヘレン?」
「…………」
逆にヘレンは一言も発さずに黙々とシャンパンを飲んでいる。そして飲み終えると黙ったままグラスを出してくる。ちょっ、キャロ注いじゃダメだって
「……だってヘレンの目が怖いんだもん」
確かにヘレンの目が据わっているがこれ以上飲ませちゃ駄目だ。
「あはははっ!」
「ぐすっ!」
「それでみんなに言うのは良いのですが……」
「……」
俺に抱きつきながら泣くフェリスの耳を引っ張りながら大笑いするアレクシア。無言のヘレン相手に延々と喋り続けるプリシア。
「……どうするのこれ?」
「……レイ?」
「……どうしようか」
結局みんなが疲れ眠るまでこのパーティー? は続いたのだった。
えらくシュールになってしまいました(笑)
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