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102.100ちょいvs3千

 ゴブリンどもを迎え撃つ俺たち。しかし、よく見ると色々なゴブリンがいるものだ。


 先頭は普通のゴブリンに、それが成長した個体のホブゴブリン。ゴブリンが剣術スキルを持つと現れるゴブリンソルジャーに、弓術スキルを持つゴブリンアーチャー。杖を持っているのは何かしらの魔法スキルをもつゴブリンマジシャン、指揮官のゴブリンジェネラル。そして1番後ろには全てをまとめる長ゴブリンキングがいる。


 2千500ほどが普通のゴブリンで、残り400近くがゴブリンの上位種だ。30体ほどのゴブリンジェネラルに3体のゴブリンキング。


 それらの軍勢がここに向かってくる。そして、距離は残り1キロってところでゴブリンたちは動きが止まる。まるで隊列を組んでいるようだ。先頭には弓を構えるゴブリンアーチャーと杖を持つゴブリンマジシャンを並べながら少しずつ進んでくる。


「ヒッ!」


 その光景を見た兵士たちが悲鳴をあげる。それも仕方ないか。これほどの大群そうそう見れるものではない。案外貴重な経験かもな。


 距離が残り300ほどと、目と鼻の先まで移動してきたところでゴブリンジェネラルたちが叫ぶ。その瞬間先頭に立つゴブリンアーチャーやゴブリンマジシャンが攻撃を開始する。100本ほどの矢に、20発ほどの様々な魔法。それらが男爵領目掛けて降り注ぐ。


 だけど、そう簡単にはいかせられないな。


「風魔法ウィンドバースト」


 俺は降り注ぐ矢や魔法の中心を狙って風の塊を発動させる。直径3メートルほどの風の球体だ。その球体が放たれ矢に当たった瞬間、風の球体が破裂する。そして、中から風が吹き荒れ、矢や魔法を吹き飛ばす。


 魔法は掻き消され、矢は折れたり逸れたりと、俺たちのところには届かなかったり、届いたとしても数は少なく、兵士たちは慌てずに対処することが出来た。


 それを見ていたゴブリンキングは忌々しそうに鳴き、腰の剣を抜く。2メートル半ほどの巨体に見合った大剣だ。それを空高く掲げ


「ギィガァァアア!」


 と叫ぶ。その瞬間、先頭に立っていたゴブリンアーチャーやゴブリンマジシャンたちと入れ替わるように、ゴブリンたちが走り出す。ここからが本番のようだな。


 アレクシアも兵士たちに指示を出し、兵士たちも矢を放つ。しかし、もともと数が少ないため、余り意味をなしていない。先頭に立つゴブリンが、少し矢に当たったぐらいだ。倒れたゴブリンは、後ろを走るゴブリンたちに踏み潰されるがそれだけだ。


 効果があるとすればアレクシアやエアリス、俺の魔法だろう。アレクシアはツインベルから水の刃を放ってゴブリンたちを切り裂き、エアリスは村の時と同じ炎の竜巻を発動し、ゴブリンたちを燃やし尽くす。俺は得意のライトニングスピアを何十発と放って怯ませる。


 それぞれ轟音を鳴らし、ゴブリンたちを殺していくが、やはり数の暴力は脅威だ。直ぐに後方にいたゴブリンが死んだゴブリンの隙間を埋め、少しずつ近づいてくる。


 ここからは魔法より近距離戦になる。俺たちはそれぞれ顔を見合わせ頷く。


「ライトニング身体付与、武器付与。ハイヒーリング身体付与」


 やはりあの大群に突っ込んで生きれるとしたら兵士たちより、俺たちの方が可能性は高いだろう。なら、先頭に立つのは俺たちだ。


「エクラ、危なくなったら逃げろよ?」


「キュッン!」


 俺がそう言うと、エクラはふんっと、そっぽを向く。頼むから逃げてくれよ。俺は苦笑いをしながらも走り出す。余り突っ込むと、作戦が進んだ時に戻れなくなるから、前の方のゴブリンを削るとするか。


「おらっ!」


 俺は先頭に立つゴブリンをロウガで薙ぎ払う。周りのゴブリンたちは攻めてきた俺に殺到する。よしよし、もっと集まれ。全部蹴散らしてやる!


 周りはゴブリンしかいないため、周りを気にせずにロウガを振れる。ロウガを横払いしゴブリンの首をへし折り吹き飛ばす。棍棒を振りかざしてくるので、弾き突き刺す。ロウガが間に合わなければ蹴り飛ばす。


 ちらっとみんなの方を見れば、兵士たちは5人一組ぐらいで円を組みながら戦っている。背後を取られないようにしているのだろう。


 アレクシアは二刀一対のツインベルに水魔法を付与し、ゴブリンたちを切り裂く。


 エアリスは、カゲロウに火魔法を付与し、アレクシアと同じようにゴブリンたちを切っていく。少し違うのは、ゴブリンの切り口が燃え出すことだ。カゲロウにある能力の1つだったな。


 ケイトはスピードを生かして、ゴブリンの喉元を切ったり突いたりする。たまに格闘術も合わせて、ヒットアンドウェイで攻撃をする。


 エレアは巨大な斧、バルバトスを振り回す。エレアも俺と同じで、周りにゴブリンたちしかいないため遠慮なく振れているようだ。バルバトスが当たったゴブリンたちは頭が割られている。中々グロいな。


 俺も周りを気にしながらも、次々とゴブリンを倒していく。そんな中、


「キュ、キュ、キュルルン、キュッ! キュ、キュ、キュッ!」


 ……俺の頭の上で、エクラが陽気に鳴いている。なんでそんなに楽しそうなんだ? 首も音に合わせて揺らしているし。結構上下左右と頭を動かしているのに、全く気にした様子は見られない。凄いな。


「ギィガァァアア!」


 そこにゴブリンたちが殺られるのを見ていられなくなったのか、ゴブリンジェネラルが、1体俺の元へとやってくる。大きさは俺より少し大きいぐらいで、少しボロボロの両手剣を持っている。そして両手剣を振り回してくる。


 ゴブリンジェネラルの剣撃を、俺は苦もなく逸らしていく。その事にイライラしてきたゴブリンジェネラルは、攻撃が大振りになっていく。その隙を見逃さない。


 ゴブリンジェネラルが俺目掛けて突いてきた両手剣を、体を横に逸らすことで避け、そのままゴブリンジェネラルの懐へ入る。そして左手に魔力を溜め、ゴブリンジェネラルの腹目掛けて殴りつける。


 ゴブリンジェネラルの腹へと吸い込まれるように入っていく俺の左手。それをモロに食らったゴブリンジェネラルは吹き飛び、後ろにいたゴブリンたちを巻き込んでいく。かなり拳がめり込んだな。


 呆気なく倒されたゴブリンジェネラルを見て、ゴブリンたちは、俺が一歩踏み出すと一歩一歩と離れていく。そんな時


「レイ! 魔法が上がったわ! 行くわよ!」


 アレクシアの声が聞こえる。これだけの乱戦の中でも、アレクシアの凛々しい声は、耳元で話されているかのように聞こえる。通りやすい声というのはこういうのを言うのだろう。


 兵士たちは既に門のところまで走っている。……数は半分近く減っているが。それに続いて護衛を任されていたケイトとエレアが門を通り抜ける。その側で簡単には通さないと、アレクシアとエアリスがゴブリンたちを切り刻む。あとは俺だけか。


「ギィガァァ!」


 俺がチラッとゴブリンキングの方を見ると、3体のうちの1体が、まるでさっさと殺せ! とでも言うかのように大剣を俺たちの方へ向け叫んでいる。あの感じだと、すぐに追いかけてくるだろう。


 俺もゴブリンを振り払いながら、門の元へと走り抜ける。そして、門の元へと辿り着くと、アレクシアたちと一緒に、領内へ入る。もちろん後ろにゴブリンたちも付いて来る。


 中央まで走り抜けるとそこで、


「2人とも頼むわね!」


 とアレクシアが左へと曲がる。エアリスは頷きながら右へと曲がる。俺は入った門の反対の門の元が目的地だ。そこまで駆け抜ける。あまりゴブリンから離れすぎると、他の2人の元へ行ってしまうため、適度な速さで進む。


 そして門の上へ行き、魔法を発動させる。アレクシアたちも発動させるようだ。


「雷魔法ライトニングテンペスト!」


「水魔法メールシュトローム!」


「火魔法カオスインフェルノ!」


 それぞれがそれぞれの得意の魔法を放つ。アレクシアは巨大な水の渦巻きを発動させ、ゴブリンたちを押し流し、エアリスは獄炎のような真っ黒な炎を発動させ、全てを焼き尽くす。俺は雷の嵐でゴブリンたちを吹き飛ばす。


 聞こえるのはゴブリンたちの断末魔だけ。みんななるべく屋敷には被害が出ないように発動させているが、かなりの威力だ。ところどころ燃えている家もあれば、水で流され崩れる家もある。


 その威力のおかげでもあってか、この魔法に巻き込まれたゴブリンたちの中で動いているものはいないが。


 街中での魔法も含めて、半分近くは倒したと思うが、俺、アレクシア、エアリスの攻撃は3方向からのため、入り口に使った門の方に残っていたゴブリンたちには被害がない。その中にはゴブリンキングも混ざっている。


 さっきの魔法を見て、敵わないと思ったのだろう。入り口から引いていく。思っていたよりも上手くいったが、これは領地を犠牲にしたからだろう。


 領地の中は塀で仕切られているため、逃げ場が無かったからここまで倒せたが、外のままでさっきの魔法を発動しても、あまり効果は無かっただろう。


 しかし、領民を守れたのは確かだ。この領地の事で色々と考えないといけない事は沢山あるが、取り敢えずは喜んでもいいんじゃいかな。


「キュッキュ!」


 エクラも良くやった! と言うように俺の頭をペシペシと叩いてくるし。


 まずは屋敷にいるケイトたちと合流しようか。

題名だけ見るとあり得ないですね(笑)


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