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天然令嬢、自称ヒロインと対決する

ここからアリッサがいっぱいでます。

「・・・?なにかしら」


授業の準備のために教科書の用意をしていたら本の間に紙切れが挟まっていました。それを開いて確認すると、こう書いてありました。


『放課後、第2資料室までひとりで来てください』


差出人の名前がありませんがその文字を見て誰がこれを書いたのか思い浮かびました。私はこれを無視してしまうこともできます。しかしそれではなにも変わらないと、この誘いに乗ることにしました。




そして迎えた放課後、私は人気のない廊下を歩いています。第2資料室は滅多に使われることがないので余程の用がない限りここを訪れる人はいません。だからこの資料室の中にいるのはただひとり・・・



「お待たせしてしまってすみません・・・アリッサさん・・・」


私を呼び出したアリッサさんだけです。








「ごめんなさいねこんなところに呼び出して」

「いえ、構いませんわ」


資料室は少し埃っぽく、窓から射し込む光に空中に漂う埃がキラキラと光っています。


「私が呼び出したって分かってたんだね」

「アリッサさんの文字は何度か見せていただきましたから」


黒板に文字を書く姿を、私は何度も見ていました。だから差出人の名前のないあの手紙がアリッサさんの書いたものだとすぐにわかったのです。


「それでも来たってことは・・・なんで呼び出されたかも分かってる?」

「それは・・・」


はっきりしない私の態度に苛立ったのか感情を抑えた声をアリッサさんはあげました。


「貴女っていつもそうよね・・・わたしはなにも知りません分かりませんって態度で周りから可愛がられて・・・貴女がそんな風でなければリュート君だって貴女より私を見てくれたはずよ」

「確かに私はなにも分かりません。一般常識はあるつもりですが世間の常識には少々疎いと自分でも認識しています。ですがそれとリュートはなにも関係ないはずです。リュートがアリッサさんに惹かれる惹かれないはリュート自身の気持ちの問題です」


私の言ったことがやはり気に入らないのでしょう。ギラリと目をぎらつかせて私を睨んでいます。


「その清廉潔白のような考えも気に入らないのよ!なんなの貴女!?そう言ってれば正しいって・・・皆が自分を特別視するとでも思ってるわけ!?」

「そんなことは思ったことはありませんが・・・アリッサさんはなにが気に入らないのですか?」

「全部よ!!貴女が来るまではアルフォードもロッシュもナルガも私のものだったのに!!私が話しかければ喜んで笑っていたのよ!!だけど急に熱が引いたように離れたわ・・・貴女が来てから、全部変わってしまった。リュート君だってそう・・・本当なら彼は冷たくあしらいながらも私を気にかけるはずだったのに・・・」


リュートってそんな人だったのですか?実はリュートと知り合いとかだったのでしょうか。


「貴女だって本当は此処にいるはずじゃなかったのよ!リュート君が引き取られる前にどこかに嫁いで接点だってなかったはずだもの!!」


私、いつの間に結婚していたのでしょうか・・・アリッサさんの言っていることの半分も理解できません。


「あの、私はまだ初恋もまだなので結婚なんてまだまだ早いと思います」

「そんなこと知ったこっちゃないのよ!!だいたい貴族の娘が自分の意思通りに結婚なんてほとんどできないって分かってるでしょ!!」


そう言ってしまえばそれまでです。それにそれはアリッサさんにも当てはまるのでは・・・



「ではアリッサさんはリュート達の誰かを好きなんですか?」

「当たり前でしょ!!だって私は皆から愛される運命だもの!それなりにみんな好きよ」


とても誇らしげに胸を張って宣言されていますが、それはあまりにも不義理なのでは・・・





私はアリッサさんに再度確認するために口を開きました。

対決と言っておきながらほぼアリッサの一方通行の攻撃。ある意味違う次元を生きる2人は絶対噛み合うわけないと作者は思います。

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