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天使の思いと想い

あと少しで終わります。むりくり終わらせますが最後までよろしくお願いします。

「さっきは笑ってごめんね?あんな答え方されたの初めてでさ」

「いえ・・・ちゃんと理解できなかった私も悪いのですわ」


この方はナルガ・ラインズオスさんと言って、ロッシュさんやアルフォードさんと同じく1つ歳上の先輩だそうです。自分は伯爵家だから気兼ねなく呼び捨てでいいよと仰いましたがさすがに男性を呼び捨てにはできません。ナルガさんは先程のことをきちんと謝ってくださいました。私も悪いのでお互い様です。



「ところで、何故私に声をかけたのですか?」

「綺麗な金色だなぁって思ってついね。で、よく見たら一度カフェで見たことのある子だって思い出したんだ。そしてその後アルフォードやロッシュと親しげに話していたこともね」


色素の薄い唇をニヤリと上げて私を見るナルガさんは実に楽しそうにお話しを続けます。



「俺達さ、つい最近までアリッサと仲良くしてたの知ってる?アリッサは特にアルフォードと君の弟にご執心でさぁ・・・まあ、君の弟には毎回逃げられてたんだけど。どうもアリッサは色々と秀でた人を好きみたいでね。俺とロッシュもそのうちの一人だったってこと」


アリッサさんはアルフォードさんやリュートを好きなのでしょうか。本当に好きなら私はなにも言わないのですが・・・リュートは特に弟ですので幸せになってもらいたいのです。


「まあ俺はもともと快楽主義で楽しければそれでいいって感じだったけどね。アリッサと一緒にいるのは新鮮で刺激があるから。アルフォードやロッシュも同じだったと思うんだよね。自分の周りにはいないタイプだったから。だから不思議だったんだぁ・・・なんで彼等が急にアリッサから離れたのか。んでロッシュに探りを入れたら出てきたのが君だよ」

「わたくし、ですか?」


どうしてアリッサさんと皆さんのお話しに私が出てくるのでしょうか。首を傾げているとくすりと笑う声がします。


「君といると癒されるんだって。確かにアリッサといると楽しいけど、ロッシュとは合わなかった。彼は本を愛しているけど彼女とはそういった話はしたことがないそうだ。きっと話をしたいはずなのにね・・・アルフォードは・・・分からないけれど、アリッサにはないなにかを君に見たんじゃないかな?」



アリッサさんがまったく彼等のことを考えてないわけではないと思うのですが、本人達にはまったく違うように感じるのでしょうか。しかしナルガさんはアルフォードさんとロッシュさんについてお話しされますがナルガさん自身はどうなのでしょうか。一緒にいたのなら少なからず彼女を想っていたのは分かりますが・・・


「俺はアリッサが誰を選んでも構わないと思ってたよ。もし俺を選んだらちゃんと幸せにするつもりだったしね。ま、アリッサは未来の公爵様と侯爵様を選んだわけだけど」


傷ついた様子を見せない彼は本当にそう思っているのでしょう。しかしよく分からないのですが・・・



「どうして私にそのことを話すのでしょうか。私はそれを知ってもなにかをしてあげることはできません」

「そうだね。でも少なくとも覚えていてくれるでしょ?優しい君は彼等を無下にできないはずだ」


私は別段優しいわけではないです。今まで友人がいなかったからどこが境界線なのかが分からないだけです。それに優しいと言うのはナルガさんの方ですよ。


「そうやってアルフォードさんとロッシュさんを心配して私に託そうとしているナルガさんの方が、ずっと優しいですよ」

「・・・・ほんと、君って変な子だね。まあ、あの2人がなついちゃうのも少しは理解できたよ」


そこで漸く馬車が到着して、「長々と話しちゃってごめんね。じゃあね」と彼は背を向けて歩き出します。しかし数歩進むと足を止めて此方に振り向きました。


「俺は君には惚れないから安心して?君のような天使よりもずっと我儘でも人間らしく生きている子の方が魅力的だからね」


そう言って最後にウインクをすると、今度こそ彼は去ってしまいました。


「あれは・・・結局ナルガさんはアリッサさんを好きだと言うことでしょうか」



優しいのか捻くれているのかよく分からないまま、ナルガさんとの邂合は終わりました。



最後の攻略者はなんだかんだ言ってもアリッサを気にかけていました。それを彼女が気付くかどうかは本人次第です。彼女を救わない方がいいという意見もあるのでこのまま進むかもしれません。

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