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67.焦燥

雷覇らいは殿大ピンチです!!( ;∀;)

どうなるのでしょうか?


怜彬れいりん!本当に昨日は済まない…。頼むから出てきてくれ…」


「来ないで!!あっちへ行って!!」


わたしは大きな声で怒鳴った。

外で雷覇らいはが声を掛けてきたけど、わたしは雷覇らいはの顔を

見る気になんてなれなかった。

昨日、皆のいる前で口づけされた…。


あんなにしないでって言ったのに…。

わたしは昨日から子供が癇癪を起したみたいに泣き続けている。

悔しかった。悲しかった。あれほど伝えていたのに

雷覇らいはには全くわたしの気持ちが伝わっていなかった。

どうしていつもこうなるの…?


「れいちゃん…。大丈夫?わたしよ、マーリンよ」


しばらく経ってから外からマーリンの声がした。

わたしはベットから飛びだしてドアに駆け寄って開けた。


「ううう。マーリン…」


「もう…。なんて顔で泣いてるの」


そう言ってマーリンが優しく抱きしめてくれた。

わたしはマーリンに抱きついた。


「だって…。あんな…」


「そうね~。あれはやりすぎね…」


ため息交じりにマーリンが言う。


「ひどいよ…。あんなの公開処刑だわ…」


「ほんとよね~。ライライって本当に血の気が多いのね~」


そう言いながらマーリンはわたしの背中を優しくさすってくれる。

抱きかかえられて、一緒に椅子に座った。

こういう時、マーリンって男だったんだと思う。忘れがちだけど…。


「あーあ。思いっきり瞼が腫れてるじゃない!こすったわね!」


不意に顎をくいっともたれてマーリンがわたしの顔を覗き込んだ。

優しい手つきで涙を拭いてくれる。

リンリンが持ってきてくれた、冷たいタオルで顔を冷やす。

冷たくて気持ちよかった。


「うう…。ぐす…。もう…しばらくは雷覇らいはの顔みたくない…」


「そうね。しばらくは会わなくていいと思うわ!お仕置きしてやりましょ!」


「うん…。ごめんね…マーリン」


「何言ってんのよ~。私の事は気にしなくていいのよ!」


ポンポンとマーリンが優しく頭を撫でてくれる。

本当にお姉さんみたいだわ…。ぐす…。


「れいちゃん…。もしよかったら私と観光しない?」


「…かんこう?」


「そう!ちょうど夏陽国かようこくを見て回りたかったのよね~♡私!あとマダムベリーのお店も視察したかったのよ~」


ニコニコ楽しそうにマーリンが話す。

雷覇らいはとは顔を合わせたくなかったしちょうどいいかも。


「うん…。行く」


「んじゃあ!決まりね♡さっそく出かけましょう?」


「わかった…」


マーリンに促されるまま、わたしは城の外へ出た。

黒綾こくりょう殿も一緒について来てくれることになった。

リンリンにはしばらくマーリンと出掛けることを雷覇らいはに伝えるように言った。

手紙を書く気にもなれなかった。

ほんとうに…。秋唐国しゅうとうこくへ帰ってやろうかしら…。


今回ばかりは、どうしても雷覇らいはを許す気になれなかった。

今彼に会ったら絶対に感情的になって、酷い事言うわ…。

しばらく距離を置いて、わたしが落ち着いたら話をしよう…。


もう絶対、雷覇らいはって呼んでやらない!!

ずっと、雷覇らいは殿って言ってやるんだから。

わたしは、馬車に揺られながらそう思っていた。


「さぁ!気分変えて楽しみましょ~!!」


「僕はちゃんと観光した事ないので、楽しみです!」


マーリンがわたしの手を引いて歩き出す。

黒綾こくりょう殿も、いつもの天使の笑顔で傍にいてくれた。

2人とも…。ありがとう!!

それから3人で街の中を見て回った。

お菓子を食べたり美味しいお酒を飲んだりして色々なお店を見た。

とっても楽しかった。しばらくは雷覇らいはの事は考えなくて済みそうだ。


「それにしても…。ライライは本当に野生児って感じね~」


「本当にね!わたしの気持ちお構いなしなのよ!!」


「凄いですね!雷覇らいは殿って!男らしいです!!」


わたし達3人は、休憩がてら喫茶店でお菓子をたべながら話をしていた。


「りょうたん!あれは男らしいとは言わないわ~。女の子の気持ちを考えてないもの!」


うん。うん。とわたしはマーリンの横で頷く。


「なるほど…。それは良くないですね…」


「男らしいって言うのは女の子が困っている時に優しく肩を貸してあげることができる人よ~♡」


「分かりました!!怜彬れいりん殿、肩が必要ならいつでも言ってくださいね!!」


黒綾こくりょう殿…」


ほんとうに…。いい子だわ!!

黒綾こくりょう殿の傍にいると、怜秋れいしゅうといるみたいで

ほっこりするのよね…。


「でも…ライライががっつりと怒られている所は見ものだったわよ~」


マーリンが本当に可笑しいと言わんばかりに

肩を揺らしてケラケラ笑い出した。


「あれは凄かったですね…。僕怖かったです…」


「ムツリ、サイガ、ラカンのイケメン従者に怒られる国王…。ふふ…。」


わたしはその姿を想像して思わず吹き出してしまった。

きっと正座させられて、ネチネチムツリに怒られて

思いっきりサイガに怒鳴られて、淡々とラカンに責められたに違ない。


「よかった~。やっと笑ったわね!れいちゃん♡」


「ふふふ。そうね…。やっと元気が出てきたわ」


「良かったです!」


2人がいてくれて本当に良かった…。

1人で部屋に籠っていたら、きっと良くない方向へ考えが向いてしまっただろう。

外に出ることで、気持ちも落ち着いてきた。

でも、雷覇らいはの事はまだ許せないけどね!!


「今日はこの近くに泊まるところを予約しているの♡」


「えっ…?そうなのマーリン」


「もう少し、ライライを反省させてやりましょう!」


「マーリン…。ありがとう!!」


わたしは思わずマーリンに抱き着いた!

本当にわたしの事を考えてくれているのね!!

今日は帰りたくないって思ってたのよね~。


「マーリンさんは、本当に気配りができる素晴らしい人ですね!!僕も見習います」


ニコニコしながら、黒綾こくりょう殿が言った。


「いや~ん♡りょうたん♡♡本当に素直でいい子ね~」


「本当にね!黒綾こくりょう殿って、本当に弟にしたいよね!」


「ううう…。僕は男らしくなりたいんですが…」


顔を真っ赤にして黒綾こくりょう殿が照れる。

本当に愛らしかった。

そう思うと、久しぶりに怜秋れいしゅうの顔が見たくなってきた。

また旅館へ行ったら、手紙を書こう!


その後、わたし達3人は夕食をどこで食べるか相談しながら

もう一度街を散策した。初めて電車にも乗った。すごく早いのね!!びっくりだわ。

夜遅くにマーリンが手配してくれた、旅館に戻りその日はそのまま眠った。


*-------------------------------------*


終わった…。

今度こそもうだめだ…。

俺は打ちひしがれて、その場からしばらく動けなかった。


雷覇らいはの馬鹿!!大っ嫌い!!」


そう叫んで、怜彬れいりんは部屋を出て行ってしまった。

彼女に叩かれた頬がジンジンする。

こんなに強烈に拒絶反応をされたのは初めてだった。

それも当たり前だ…。あんなに嫌がっていたことを

彼女にしてしまった。


そばでムツリたちが思いっきり何か言っている。

でも、俺には何も聞こえなかった。

さっきからずっと、怜彬れいりんの言葉がこだまして頭から離れない。


雷覇らいはの馬鹿!!大っ嫌い!!」


しかもまた…。泣かせた。

泣きながら怜彬れいりんは俺を叩いてた。

彼女の心は俺の頬より痛いだろう。

あんなに、自制しようと決めていたのに…。くそっ!!


嬉しかったんだ…。

怜彬れいりん()()簪ではなく、俺があげた髪飾りをしていたから…。

部屋に入ってきた彼女を見た瞬間、時が止まったと感じた。

そこだけ白く浮き上がって見えた。

怜彬れいりんの輪郭だけが、白い光を放って輝いて見えた。


いつも親父から貰った簪を宝物のように、大切に持っている怜彬れいりん

どこに行くにも何をしていても必ずそれを身に着けていた。

それを見るたびに、やり場のない苛立ちを覚えた。

どれだけ彼女との距離が縮まったと感じても、壁があるように感じていた。

それが。昨日は身に着けていなかった。

やっと俺の気持ちを受け入れてもらえた!彼女が俺の事を考えてくれた!

その事で俺は喜びに打ち震えた。


その後の事はほとんどが無意識だった。

気が付いたら彼女を抱きしめて口づけしていた。

最悪だ…。これじゃあ何の為にラカン殿に教えを乞うたか分からない。

今回ばかりは完全に俺が悪い。

すぐに怜彬れいりんの部屋に行ったが、声を掛けても

部屋から出てきてくれなかった。


泣き叫ぶように、来ないでと言われた…。

何を…。しているんだ…俺は…。

情けなくて仕方ない。なぜいつも肝心なところで彼女を大切にできない?

自分で自分を殺してやりたかった。

足を怪我していることも忘れて、彼女に触れた反動で

また足の骨にひびが入っていた。医者にも思いっきり怒られた。

ようやく治りかけている所で、またこのざまだ…。

振り出しに戻ったような気持ちだった。


「振り出しより酷いか…」


俺はベットに横たわりながら呟いた。

怜彬れいりんがやっと、俺の事を良いと思い始めていた時だった。

それなのに…。



雷覇らいはの馬鹿!!大っ嫌い!!」



またあの光景を思い出す。

その日の夜は久しぶりに俺は眠れなかった。


次の日怜彬れいりんはマーリン、黒綾こくりょう殿と一緒に城から出て行ってしまった。

またするりと俺の手のひら抜けて行った…。

いつも…。いつも…。手に入りそうで入らない…。

今回ばかりはどう修復していいか分からなかった。

きっと謝っても許してくれないだろう…。もう名前で呼んではくれないだろう…。


完全に嫌われてしまった…。

もしかしたら、秋唐国しゅうとうこくへ帰ると言い出すかもしれない。

また、怜彬れいりんの傍にれないなんて!!

でも…。俺に止める権利はない。彼女がそうしたいなら、送りだそう。

どんよりとした気持ちで書類に目を通していた。


雷覇らいは様…。ちょっとよろしいですか?」


急にラカンに声を掛けられた。

彼から声を掛けられることは珍しかった。



「どうしたんだ。ラカン…」


怜彬れいりん様の事でちょっと、よろしいでしょうか?」


「わかった…。話してくれ」


俺は思いっきり切られるぐらいの覚悟でラカンに向き合った。


「この度のことは非常に残念です…。今までの努力が水の泡になりました」


「全く…。返す言葉もない」


「ですが…。ありがとうございます」


そう言ってラカンは俺に頭を下げてきた。

えっ!!どういう事だ?

俺は慌てて立ち上がろうとしたが、足が痛んだので

怪我していることを思いだし踏み留まった。


「どういう事だ!!俺は彼女を傷つけた…ラカン頭を上げてくれ」


怜彬れいりん様が、()()簪を手放したのです…」


「ラカン…」


雷覇らいは様もご存じでしょう?怜彬れいりん様があの簪を持つ意味を…」


「ああ…」


ラカンも知っていたのか…。

あの簪が親父から貰ったものだってことを。


「昨晩、リンリンが嬉しそうに報告してきたのです…。お嬢様が別の髪飾りを選ばれたと…」


優しい表情でラカンが微笑む。


「私とリンリンはずっと怜彬れいりん様の事を見守ってきました。この4年間ずっと…」


「そうだろうな…」


怜彬れいりん様が1人になると大抵泣いておられました。簪を見ながら涙を流している所をよく見かけました。それが最近はよく微笑む様になっておりました。雷覇らいは様と再会されてからです」


「そう…なのか?」


俺はラカンが何を言いたいのかさっぱりわからなかった。

それに、怜彬れいりんがどんな風にこの4年間を過ごしたか俺は知らなかった。


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