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164.冬彩氷祭~居場所~

秋唐国しゅうとうこくを出発して2週間。

ようやっと夏陽国かようこくにたどり着いた。

今回はシャチーも一緒に移動した為かそんなに苦痛でもなかった。

好奇心旺盛な彼女と話をしていると時間はあっという間に経ってしまう。


雷覇らいは達のいるお城について早々、いつも通り雷覇らいはが出迎えてくれた。

待ってました!と言わんばかりに思いっきり抱きしめられる。

うーん…シャチーがいる前でどうなのかしら…これって。教育的に…。

シャチーは全く気にする様子もなくむしろ大喜び。

小説のワンシーンを見たようだと息巻いていた。


雷覇らいは国王様!お久しぶりです」


「久しぶりだなシャチー王女。元気にしていたか?」


「はい!あ…あの…」


「ん?どうした?」


「虎の大きな…ぬいぐるみありがとうございます」


「気に入ったか?」


「はい!雷虎らいこと名前を付けました」


「ハハハ!そうか。良い名だな」


雷覇らいはがシャチーを抱き上げながら楽しそうに会話している様子を

わたしは後ろから微笑んで、見守っていた。

雷覇らいはとシャチーが一緒にいると親子みたいね~。

何だかほのぼのしちゃうわ~。


そのまま、わたし達は別邸へ向かった。

怜秋れいしゅう珀樹はくじゅ殿はお城の客間に案内されている。


今夜は雷覇らいは達のお城で休ませてもらって

明日、冬條とうじょう殿達が待つ冬羽国とううこくへ行く予定だ。

今回はあくまで冬彩氷とうさいひ祭の参加がメインの為

夏陽国かようこくには一時的な滞在となっていた。


「シャチー王女は随分と明るくなったな」


「ええ。毎日わたしのお庭をお世話してくれたりして楽しく過ごしていたわ」


「毎日とっても楽しいです!皆さんとっても優しいですし」


「そうか。なら良かった」


「へへへ」


雷覇らいはに頭を撫でられてとても嬉しそうに笑うシャチー。

今は彼の膝の上で抱っこしてもらっている。

雷覇らいはもよっぽどシャチーの事が可愛いらしい。

さっきからずっと離そうとしないのだ。

この展開は意外だった。きっとシャチーが素直でかわいいからね。


「さぁ…シャチ王女そろそろ寝る準備をしよう。明日も朝が早いからな」


「はい!分かりました」


「じゃあ、リンリン。シャチーの事お願いね」


「かしこまりました」


リンリンに連れられてシャチーはリビングを出て行った。

シャチーを見送っていたら、後ろから雷覇らいはに抱きしめられた。


「ふふふ。急にどうしたの?」


「急じゃない…ずっとこうしたかった…」


「会うの久しぶりだものね…」


「ああ。本当に今日が待ち遠しかったよ」


背中に雷覇らいはの体温を感じる。

さっきまではあんなにしっかりした口調だったのに

今はもう甘えん坊の声に変わってしまっている。

それもまた可愛いとおもってしまう…。


彼の腕にすっぽり収まりながらわたしは雷覇らいはの温もりを思う存分味わった。


「会いたかったのはわたしも同じよ…」


「そうか…よかった。俺だけではないかと思っていた」


「もう!いつになったら雷覇らいははわたしの気持ちを信じてくれるの?」


「う…それは…すまない」


「クス…。こんな姿の雷覇らいははシャチーに見せれないわね」


「まったくだ…。なんせ俺は獅子の化身らしいからな」


ふっとため息交じりに雷覇らいはが言った。

耳元に彼の息がかかってくすぐったい。


「シャチーも言っていたわ…あの小説ってラブロマンスじゃなかった?」


「だとは思うが…ラブロマンスに獅子の化身が出てきたら変なのか?」


「うん…もはやそれってファンタジーじゃないかしら…」


「そうなのか!それは知らなかったな」


雷覇らいはが作らせてるんじゃなかったの?」


「俺と怜彬れいりんが仲睦まじい姿を描けていれば問題ないとだけ伝えている」


「あー…そう…だからか」


小説自体が一人歩きしているような状態だろうな。

まぁあの小説のおかげで誘拐事件では助かったわけだし‥‥。

人気があったから良かったもんね…。

もうあまり深く突っ込むのはやめておこう。


怜彬れいりんも疲れていないか?そろそろ休もう」


「そうね。そうさせてもらうわ」


「よし!じゃあベットまで運ぼう!」


「きゃっ!!」


急に雷覇らいはに抱き上げられて思わず、上ずった声が出てしまった。

雷覇らいはは何事もなかったかのように涼しい顔をしている。


雷覇らいは‥‥まぁいっか」


「ああ。大人しく俺に抱かれてくれ」


「はーい」


雷覇らいはにベットまで運んでもらいそのまま横になって眠った。

久しぶりに雷覇らいはと一緒に眠る。

布団の中がとても温かく感じた。

それに…雷覇らいはのいい香りがする…。


一番はじめに雷覇らいはと一緒に寝た時もそう感じた。


あの時から雷覇らいはの隣で眠るのは心地良い。

誰かの傍にいるって安心する。

だから雷覇らいはは一緒に寝たがるのかしら?

もう静かに寝息を立てている雷覇らいはをわたしは見上げた。


キュッと胸が詰まって苦しくなって泣きそうになる。

わたしは雷覇らいはの胸に顔を埋めながら眠りについたのだった。




*-------------------------------------*


珀樹はくじゅ殿。今回は同行して頂いてありがとうございます」


「そんな…。怜秋れいしゅう様にお礼を言われるほどの事ではありませんわ」


冬羽国とううこくには行ったことがないから、心強いよ」


「お力になれるよう精一杯努めさせて頂きます」


「うん。宜しく頼むよ」


姉さんたちと共に秋唐国しゅうとうこく出て2週間。

道のりは遠かったけど、珀樹はくじゅ殿と一緒にする旅路はとても楽しかった。

彼女といると時間が経つのをついつい忘れてしまう。

話がとにかく尽きないのだ。


久しぶりに来た夏陽国かようこくの人々は相変わらず温かい。

僕の事を本当の家族のように接してくれている。

有難い事だった…。

今までは秋唐国しゅうとうこくにこもりがちであまり他国へ行くことがなかった。

仕事を覚えるのに必死だったという事もある。


姉さんが雷覇らいは殿と交流するようになってから

他国の人達と知り合う機会が増えてきた。

それによって僕の価値観もだんだんと変化していった。


「それにしても…冬彩氷とうさいひ祭!楽しみだな~」


「ぜひ!期待していてくださいませ。私の国自慢のお祭りですから」


「そうだね。珀樹はくじゅ殿と一緒に参加できるし嬉しいよ」


「私もです。怜秋れいしゅう様たちをご案内できると思うと…感無量です」


「大袈裟だよ。珀樹はくじゅ殿」


「そんな事はありません!私とっても誇りに思っております」


真面目だな…。珀樹はくじゅ殿は…。

僕の話す言葉一つ一つ丁寧に聞いて受け取り理解してくれている。

穏やかで優しい女性。

姉さんには…好きなんじゃないかとか言われたけど…。

まだ姉さんのことを割り切れたわけじゃない。

今だって大好きなのは変わらなかった。


だから、姉さんがまた誘拐され他と聞いたときは目の前が真っ暗になった。

急に足元がぐらついて地の底を這っているような…感覚に襲われた。

皆に支えられて何とか気持ちを振るい立たせていたけどそれでも心は休まらなかった。


本当に無事に…そして生きて帰ってきてくれてよかった。

自分で抜け出してきたと聞いたときは肝が冷えた。

またあんな無茶をして…。怪我でもしたらどうするんだ…。


「はぁ…」


怜秋れいしゅう様?」


「ああ…ごめん。ちょっと色々考えてしまって」


怜彬れいりん様の事ですか?」


「うん…。今回の誘拐事件では色々考えさせられたよ」


「そうですわね…。怜彬れいりん様が無事で本当に良かったです」


「そうだね…」


薄々感じてはいたけど…。

本当にもう…これ以上引き延ばすことはできない。

手放す時が来た…。姉の手を誰かにゆだねる時が来たのだ。


僕が認めたら話はあっという間に進んでいくだろう。

雷覇らいは殿の事だ着々と準備をしているに違いない。

最初は嫌いだったけど今となってはそうでもない。

好きでもないけど…。


貰った手紙も真摯な想いが伝わってきた。

彼ならきっと姉さんが悲しむような事はしないだろう。

それに結婚してしまった方が姉さんが狙われることも少なくなる。

アシュラ王子が掴まったときに言っていた。


怜彬れいりん王女を手に入れれさえすれば五神国ごしんこくを手に入れられると思った。


ゾッとした。そしてあながち間違っていない。

姉は気が付いていないだろうけど、彼女の与える影響力は相当なものだった。

五神国ごしんこくの主要人物と面識があり、信頼関係を築いている。

そんな人を手に入れたいと思う人が今後増える可能性だってある。

だったら…雷覇らいは殿に任せるのが一番いいと思った。

彼の妻になれば誰も簡単には手出しはできないはずだった。

軍事国家の最大当主の妻になるのだから…。

姉も雷覇らいは殿を想いそれを望んでいる。


「もう…そろそろ潮時だな…」


怜秋れいしゅう様…」


何かを察してくれたのか珀樹はくじゅ殿がそっと手を握ってくれる。

僕はそれを素直に握り返した。


今回の冬彩氷とうさいひ祭が終わったら雷覇らいは殿と話をして伝えよう。

姉をお願いします。と…。

大丈夫。僕は僕の居場所を作っていけばいい…。姉の様に。

僕は静かに覚悟を決めたのだった。



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