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教頭先生のうんこの話

あるとき中学の全校集会で嫌な思いをしたことがあった。


たしか、生徒会予算を承認するための全校集会だったと思う。当時は予算とか承認とか良く分かってなかったんだけれど、事前に、ホームルームの時間に担任から予算案が配布されていて、質問を出してくださいと言われていた。


私は予算案の中に書いてあったPOSCAというのが何のことか知らなかった。だから担任に聞いたら「それを質問すればいいじゃない」って言われた。(POSCAは太いカラーマーカーのことです)


「あっ、そうなんだ。それでもいいんだ」って思った。「質問って、なんか、もっと立派なものをするべきだと思ってたけど、何でも聞いていいんだ」ってそう思った。


まぁ、そんなはずもなく、全校集会の当日に「ええぇ~」っていう出来事が起きた。


なんと、私は全校生徒が一堂に会しているその前で「POSCAって何ですか?」という間抜けな質問をすることになったのだ。


私が質問をしたあと、一斉に笑い声が響いた。体育館とともに台地が揺れたに違いない。ひとしきり笑いが起きた後に「カラーマーカーのことです」と、さらに一笑い。「あっ、分かりました」と私がすごすごと引き下がったのは想像に難くないだろう。


私の人生で一番大爆笑をさらった思い出深い日であることには間違いないが、同時に、なぜ先生は私にこのような恥をかかせたのだろうと、人への不信感を根付けさせる契機ともなったのは言うまでもない。


幸いにして私は能天気な性格をしていたのか引きづることもなく、ただ恨みを残しただけなので心配しないでほしい。


それで、そんなもやもやした全校集会の閉会の挨拶で、教頭先生が急にうんこの話をし始めた。


たしか今昔物語の話だったと思う。概要はこんな感じ。


とあるところに絶世の美女がいました。身分差の恋は許されない時代でした。ある男は募った恋を忘れるために、女のうんこを見れば恋も冷めるだろうと思って、屋敷に忍び込みました。男は部屋の隅にオマルを見つけました。するとどこからともなく香しい良い匂いが漂ってきました。男は桐でできたオマルの箱を開けました。するとどうだろう、この世のものとは思えない、とてつもなく良い匂いが立ち上ってきました。これはおかしい。本当にうんこなのだろうか。男はうんこを鼻につけて匂いを嗅いでみたが、意識が飛びそうなくらい良い匂いだ。次に男は、味を確かめてみました。そうしたらどうだろう、ほろ苦くも甘く、とても香しかった。これはうんこではない。こんな偽物を用意するなんて、あの美女はやはりこの世のものではないのだ。そして、その男は病気になり死にました。


大爆笑だった。本当に楽しそうに全校生徒が笑った。そして先生はこう締めた。


「どんなに良い匂いで美味しくても、うんこはうんこなのです。皆さんは本質を見失わないようにしましょう」


全然知らない教頭先生だったけれど、先生でも話の面白い人もいるんだなぁって思った。でも私は「良い匂いで美味しいうんこなら価値あるんじゃない?」ってそう思った。本質ってなんだろう……うんこっていう固定観念に囚われているのは先生の方じゃないのかな……


私の本質への問いはここから始まったのかもしれない。


とりあえず、きっと先生のおかげで、私の間抜けな質問を覚えている人も多くはないだろう。このときから私の中ではうんこが本質になった。うんこは世界を平和にする。

以上じゃよ。楽しかった?最後まで読んでくれてありがと♡

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