保健体育が好きだった話
私は小学校の授業では保健体育が一番好きだった。良くあるタイプだよね?
受験には必要ないしテストもなかったかもしれない。でも、ノートに大量の書き込みをして、教科書の胎内図を克明に書き写していた。
中学校では柔道の授業も好きだった。授業では絶対に扱わない投げ技のページは何度も読んで勝手にできるようになっていた。
音楽の授業も好きだった。音楽のことはあまり分からないけれど、資料集の音楽家の秘話みたいなページを隅から隅まで読んでいた。
こんなの役に立たないよなぁって思ってた。でも、中学生くらいまでは、こういう役に立たないことも一生懸命にやっていた。
だんだん変わっていったのは高校2年生の秋くらいだと思う。
高校では部活をやっていなかった私は少し早めに受験勉強を始めた。とりあえず兄が持っていた薄い英語の参考書を2週間くらいで終わらせたときに、大きな達成感を感じた。
「勉強って自分でできるんだ」ってそう思った。
そんな日々を過ごしていたら、友達が参考書を解説する参考書を紹介してくれた。そこには、どの大学に受かるためには、この参考書をやれっていうことが大量に書いてあった。
「なんだ。やればいいこと全部書いてあるじゃん」って思った。
私は人生の攻略本を手に入れた。だから、それからは簡単だった。私は高校2年生の冬に、国立大学というラスボスを倒すために必要な全ての参考書を書き出して、勉強プランを組み上げた。その日から受験までの1年間、私はただ自分の作った計画を実行する日々を送った。
計画は順調に進んだ。1日10時間以上自習する代わりに学校は全て寝て過ごしていた。朝のHRが始まる前に寝て、起きたら帰りのHRが終わっていたことも4回あった。
不安は不思議となかった。国語だけは予備校で勉強させてもらったけれど、その他の教科は自習でどんどん進めて行った。授業を全然聞いていないから、期末テストの結果はあまり良くはなかったけれど、気が付いたら3年生の学力テストで10位になって、成績優秀者として貼り出されていた。
親はずいぶん心配していたらしいけれど、私はただ黙々と一人で勉強を進めていた。
だから、私が国立大学に受かった時には地理の先生が驚いていた。「えぇ!?あいつが!?」って。
ふふふふ。先生、掃除の時間に丸聞こえだよ……?驚いたでしょ。私は寝てるか、漫画読んでるかだけだったもんね……
でも世界史の先生は「いや~、あいつ優秀なんですよ。やるときはやる感じで」って言ってて嬉しかった。一体どこでそう感じ取ったのかは分からなかったけれど。授業中は全部寝ていたから。
そういえば2年生の時、学校の空き教室で麻雀をしてたら取り上げられたこともあった。私はそんな不良学生だった。根暗は根暗なりに学校生活をエンジョイしていた。雑草のようにしぶとく咲く徒花だったのだ(笑)
私のこの経験は、無駄なことは一切やらないという方向に傾いた時もあったんだけど、気が付いたときには無駄なことも一生懸命やるように戻っていた。
たぶん大学生の時に、1年のうちに休みは52回しかない!全部遊びつくすんだ!と躍起になっていたからだろうと思う。無駄なことも自分で調べて計画して進めて行くマインドが身についた。
これは社会人になってからも役立っていると思う。私は何故か業務で必要ないことを勝手にコツコツやって、社内で誰も知らない知識やスキルを身に着けていたりする。そうこうしているうちに転属を繰り返して、今のような変なポジションに落ち着いてしまった。
たぶん営業を続けていたら私は腐っていただろう。あのとき参考書の参考書を紹介してくれた友達には感謝している。
私は1年生の学力テストでは360位中300位くらいだったから、しばらく後輩たちの間では伝説の人になっていたらしい。
学校の授業も無駄って思うかもしれないけれど、その無駄の積み重ねが私を作っていると思う。(いや、授業は受けてなかったんだけれど……笑)




