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転生魔導王は、底辺職の黒魔術士が、実は最強職だと知っている  作者: 銀翼のぞみ
二章

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63話 ダリアの秘密

カクヨムでも投稿開始しました!

 ティオはナツイロ公爵からの本気か冗談かわらない提案を丁重にお断りしたところで、ちょうど最後のメニューが運ばれてきた。


 メイディッシュはこれでもかと上質な肉のステーキと、この島国特産の海老のグリルが添えられた逸品だったが……あまりに色々なことが起こりすぎたので、疲れ切ったティオに味を楽しむ余裕はなかった。


 最後は当たり障りのない談笑を交え、晩餐会はお開きとなるのであった。


 しかし――


(どうしてこうなったのだろうか……)


 ――上質なソファーに座ったティオが、そんな疑問を抱く。

 彼の向かいの席にはナツイロ公爵が座っており、この部屋には他に誰もいない。


 そしてこの部屋はナツイロ公爵の私室である。

 晩餐会が終わったあと、なぜかティオは一人だけナツイロ公爵の私室に招かれたのだ。


「さて……ティオよ、貴殿に折り入って相談があるのだが」


「相談、ですか?」


「ああ、英雄たる力を有していながら謙虚、そして妖精族にすら好かれる純粋な心の持ち主の貴殿にだからこそ依頼……いや、お願いさせていただきたい」


 そう言って、ナツイロ公爵はティオに向かって頭を下げてしまった。


「こ、公爵様!? どうか頭をお上げください!」


 国の統治者たる高貴な立場の者に頭を下げられ、ティオは慌ててそれを制する。

 公爵ほどの人物が一介の冒険者に向かって頭を下げる……いったいどのような相談があるというのだろうか。


 ティオが失礼のないように、質問すると――


「ティオよ、もし……我が娘ダリアの中に七魔族の一柱の魂が眠っていると言ったら、貴殿は信じるか?」


「……ッッ!?」


 ナツイロ公爵の言葉に、ティオは思わず息を漏らす。


(ダリア様の中に七魔族の魂が眠っている? そんなことが――いや、待てよ……?)


 ナツイロ公爵の言葉に思考を巡らせている途中、ティオはとある伝承を思い出す。

 七魔族の中には討伐された際に、魂を人間の赤子の中に宿し、その赤子が成長する過程で体を乗っ取る……そんな伝承だ。


「公爵様、もしかしてですが、ダリア様の体のどこかに生まれつき紫色の紋章のようなものがあったりしますか……?」


「貴殿の言うとおりだ、ティオ。ダリアの下腹部には、生まれつき紋章のような痣がある。何なのか気になり、お抱えの鑑定師に解析させた結果、七魔族の一柱が眠っていることがわかったのだ」


 ティオの質問を肯定するナツイロ公爵。


 七魔族の魂を宿す者には、前述の紋章のような痣が体のどこかに浮かび上がると、ティオは伝承で聞いたことがあった。

 ナツイロ公爵の言うことが本当であれば、ほぼ間違いなくダリアの中に七魔族の魂が眠っているのだろう。


「それで、ぼくに相談したい内容というのは……」


「ダリアの中に眠る七魔族の魂、それを取り除くための儀式を行うための協力者になってほしいのだ」


 ナツイロ公爵の言葉は続く。

 七魔族の魂を取り除くには、とあるマジックアイテムを使い、一定時間内に大量のモンスターの魂を集める必要がある。

 しかし、並の戦力では短時間に大量のモンスターを倒すなど不可能である。


 ナツイロ公国の誇る騎士団を総動員すれば、あるいは可能かも知れぬが、そんなことをすればダリアの中に七魔族の魂が眠っていることが明るみになってしまう

 騎士団や教会は、ダリアを七魔族の魂から解放するための危険な賭けをするよりも、彼女を殺すことで七魔族の魂を消滅させる方法を選ぶだろう……と――。


「そのこと、ダリア様は……?」


「本人も知っている。だからこそ、ダリアは七魔族の呪縛から解き放たれるために、この国の騎士隊長に登り詰めるための力を手に入れた。しかし、それでも遠く及ばない……」


 なるほど、一国の姫である彼女が騎士隊長をやっているのには、そんな理由があったのか……と、ティオは理解するのであった。


「ダリア様を七魔族の魂から解放する算段はついているのですか?」


「ああ、この国には少し離れたところに迷宮化した離れ小島がある。マジックアイテムにより島を結界で覆い、討伐したモンスターの魂が天に飛んでいかぬようにする。そしてもう一つのマジックアイテムで魂を集め、ダリアに注入することで七魔族の魂から解放させることが出来る計算だ」


 ティオの質問に、ナツイロ公爵が金庫の中から金と銀色の大きな鍵のようなものを取り出しながら作戦を語る。

 どうやら、この鍵のようなものが話に出た二つのマジックアイテムのようだ。


「わかりました。方法があるのであれば、喜んで協力します」


「……!? ま、待て、ティオよ。私は貴殿に報酬の話すらしていないのだぞ!?」


 ティオの答えに、ナツイロ公爵が驚きを露わにする。


「困っている人を見過ごすわけにはいきません。七魔族が関わっているともなれば余計にです。それに……」


「それに……? 何なのだ?」


 ティオに、改めて問いかけるナツイロ公爵。

 すると、ティオはこんな風に答える。


「それに、公爵家の方々は良い人たちばかりですから」


 と――。


 ナツイロ公爵がティオたちを呼び出した理由、それは七魔族の魂を宿した娘のダリアを助け出したい、その一心だったことをティオは理解したのだ。


「ティオ……いや、ティオ殿、感謝する……!」


 感極まった、そんな様子でナツイロ公爵は先ほどよりも頭を深く下げてしまうのであった。

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