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転生魔導王は、底辺職の黒魔術士が、実は最強職だと知っている  作者: 銀翼のぞみ
二章

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51話 積極的な魔王

 その日の夜――


「お昼のステーキもよかったけど、夜のシーフード料理も美味しかったですね」


「そうですね、特にナツイロロブスターの姿焼きは最高でした」


 街中のレストランでディナーを終えたティオとアイリスたちが、そんなやり取りを交わしながら宿屋に向かって歩いていく。


 遊び疲れ、そして満腹になったためかフェリスはティオにおんぶされ眠っている。

 リリスもベルゼビュートに抱っこされてスヤスヤモードだ。


 宿屋に着いたティオたち。

 そんなタイミングで、宿屋のエントランスの壁に大きな羊皮紙を貼り出している受付嬢の姿が目に入った。


 何だろう? と、興味本位で羊皮紙を覗き込むティオたち。

 羊皮紙には大きく、〝武闘大会開催――!〟と書かれていた。


 受付嬢に話を聞いてみると、ナツイロ公国では毎年この時期になると、各地から強者が集まりその力をぶつけ合うトーナメント方式の武闘大会が開催されるとのことだ。


 優勝者にはなかなかに大盤振る舞いな賞金が贈られるようだ。


(武闘大会――面白そうだな……)


 平和を望んでいるとはいえ、やはりティオも戦士として本能が疼いてしまう。


 そんな時だった。


「ふふっ、ティオ様ったら」


「闘いたくてしょうがないって顔ね」


 アイリスとベルゼビュートが、微笑みを浮かべながらティオに言ってくる。

 どうやらティオの気持ちを見透かしたらしい。


「せっかくですし、参加されてはいかがですか?」


「一日くらいそういう日があってもいいと思うわよ」


「そうだね、せっかくだしそうしようかな……」


 二人の勧めに、ティオは素直に甘えることにする。


 予選は三日後、殺傷力のある魔法は禁止というルールが設けられた、武器や格闘術が主体の大会のようだが、ベヒーモスを装着して戦えばいいだろう。


 それに、ティオのクラスはもともと騎士だ。

 それも勇者パーティにも所属していた時期もあり、騎士の中では凄腕である。

 その経験と技術、そしてベヒーモスから得られる戦闘力を駆使すれば、武術が主体の大会であってもいい結果を残せる可能性はあるだろう。



 ◆


「ふぅ……」


 部屋に戻り、シャワーを浴び終わった。

 あとは寝るまでゆっくり過ごそうとティオはベッドに腰掛ける。


 ちなみにアイリスはシャワーを浴びており、リリスとフェリスは子ども用ベッドでスヤスヤ眠っている。

 二人の寝顔を見て、ティオは穏やかな気持ちになる。


「マスター、少し飲まない?」


 そう言って、先にシャワーを済ませていたベルゼビュートが、部屋に置かれていた果実酒の瓶を持って、ティオの隣に座ってくる。


 今、ベルゼビュートはバスローブ姿だ。

 少し大きく開いた胸元からは彼女の豊満な胸の谷間が覗いている。


 シャワー後ということもあり、体からはボディソープのいい香りが……それと同時に、彼女特有の――フェロモンなのだろうか、男の本能を刺激する危険な香りも同時に漂ってくる。


 だが、ティオは断れない。


 ティオと一緒に軽く飲みたいというのもあるのだろうが、ベルゼビュートは定期的にティオと密着して彼の魔力を吸収しないと、この世界に現界し続けることができなくなってしまう。


 今夜はちょうどそれを必要とする時期なのだろう。

 その証拠に、いつもよりもさらに体を密着させるようにしなだれかかってくる。


 柔らかな感触、フェロモンだけでもクラっときそうなのに、ベルゼビュートはさらに頬をピンクに染めながら、挑発的な上目遣いでティオを見つめてくる。


「じ、じゃあ、せっかくだし一杯もらおうかな……」


 いつも以上に魅力的に見えるベルゼビュートにドギマギしながら、ティオはグラスに果実酒を注いでもらう。


 リリスとフェリスを起こさぬように、静かに乾杯し、酒を喉に流す。

 やはりこの島の果実酒は美味しい……のだが、ベルゼビュートが魅力的過ぎて、味に集中することができない。


 あまりに美しく、そして妖艶だ。


 ベルゼビュートのこういう姿を見ると、やはり彼女が七大魔王の一柱だったという話は本当なのではないかと思えてくる。


 彼女の醸し出す魅力は、人のそれを軽く超えているからだ。

 これこそがまさしく〝魔性〟というものなのかもしれない――


「ねぇ、マスターぁ……せっかくのバカンスなんだから、少し〝火遊び〟しない?」


 甘えるような……それでいて挑発するような声色で、ベルゼビュートが囁いてくる。


 ティオは思わず「ひぇ……っ」と、情けない声を漏らす。


 ベルゼビュートの声色にゾクゾクっときてしまったのもあるが、それと同時に彼女が妖艶な手つきでティオの太ももを撫でたからだ。


「うふふっ……可愛い声ね……♡」


 ペロリと舌舐めずりしながら、ベルゼビュートが優しく抱きしめてくる。


 そしてティオの唇に、自分の唇を近づけていく――


(あわわわわわわわ――!)


 パニックに陥るティオ。


 まさかここまでベルゼビュートが攻めてくると想定していなかったのだ。

 これがバカンスで解放的になった効果だというのだろうか、バカンス恐るべしである……。


 しかしその時であった――


「ちょ――! 何やってるんですかぁぁぁぁぁ!」


 ――絶叫が響き渡る。


 声のした方を振り返るベルゼビュート。

 そこには顔を真っ赤にしたアイリスがバスタオル姿で立っていた。


「く……っ!? アイリス、あなたいつもシャワーの時間が長いのに、どうして今日に限って……!」


「嫌な予感がしたんですよ! エルフの勘の良さを舐めないでください!」


 アイリスのシャワーの長さを計算して事を起こしたベルゼビュートだったが、それは失敗に終わった。


 アイリスの言うとおり、エルフは勘の鋭い種族だ。

 特に、アイリスは剣聖のクラスに目覚めるほどの強者。

 その勘の強さを見誤ったのが、ベルゼビュートの敗因である。


「う〜ん、なんの騒ぎ〜?」


「まだ眠いのです〜」


 アイリスとベルゼビュートの声で、リリスとフェリスが起きてしまったようだ。

 ティオは、ホっと息を吐きながらも、ベルゼビュートと二人のいるベッドの側に移動すると、寝かしつけてやる。


 ちなみに、放っておいたらまたベルゼビュートがお手つきする危険があると言う理由で、アイリスと同じベッドに寝ることになり、結局ティオを真ん中に三人で寝ることになった。


(休暇、とは……)


 バカンスを楽しむことはできても、寝る時に限っては平穏は訪れない……。


 それを悟ったティオは、二人の柔らかな感触とフェロモンに包まれながら、心臓に悪い夜を過ごすのであった……。


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― 新着の感想 ―
[一言] こういう時、もっとクタクタに疲れていれば、スッと安眠できたのに…贅沢な悩みだね、ケッ(嫉妬)
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