50話 海を満喫
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「やっぱ綺麗だなぁ……」
買い物を終え、水着に着替えて宿屋に面したビーチへとやってきたティオが声を漏らす。
宿屋の部屋から見た海も綺麗だったが、こうして目の前で透明度の高い海を見るのも壮観である。
海だけではない。キメの細かい真っ白な砂も太陽に照らされ綺麗に輝いており、こちらも美しい。
この辺りは宿屋のプライベートビーチらしく、シーズン中だというのに遊泳している人の数は少なめだ。
ティオが景色に心奪われているその時だった――
「ティオ様!」
「待たせたわね、マスター」
「わ〜い!」
「やっと泳げるのです〜!」
――そんな声が聞こえてくる。
振り返るティオ。
宿屋で水着に着替えてきたアイリスたちが手を振っている。
「どうでしょう、ティオ様?」
「似合うかしら?」
そんな風に聞いてくるアイリスとベルゼビュート。
アイリスは黒のビキニ、ベルゼビュートは白のビキニを着ている。
二人の白い肌がこれでもかと露出されており眩しい、ティオは少し頬を染めながら……
「う、うん……二人ともとても綺麗です」
……と、恥ずかしそうな様子を見せながらも、しっかりと二人を褒めてみせる。
ティオの反応を見て、アイリスもベルゼビュートも嬉しそうに表情を崩す。
「ねー、ティオ〜!」
「私たちは似合ってますか〜?」
そんな風に聞いてくるリリスとフェリス。
リリスはパステルピンクのワンピースタイプの水着、フェリスはライトグリーンの同じくワンピースタイプの水着姿だ。
リリスサイズの水着があるか心配だったが、さすがは観光地。
妖精を連れている観光客も極たまにいるらしく、いくつか用意があった。
「二人とも似合っている、とっても可愛いよ」
にっこりと笑顔を浮かべ、リリスとフェリスを褒めてやるティオ。
すると二人は「「わ〜い!」」と満面の笑みを浮かべて大喜びだ。
本当に嬉しかったのだろう。
フェリスはティオの体をよじ登り、そのまま肩車してもらう。
リリスはティオの頭の上まで飛んでいき、そのままちょこんと座ってしまう。
「ふふっ、ティオ様♡」
「私たちもエスコートしてくれる?」
そう言って、ティオを左右から挟みそれぞれ腕を組んでくるアイリスとベルゼビュート。
二人の柔らかな感触がティオの腕に、むにゅん……! と直接伝わってきて気が気ではない。
恥ずかしげに頬を染めながら海へと歩くティオ。
そんな彼の姿を、他の観光客(主に男性)が「いいなぁ……」「もげればいいのに……」などと、羨ましげに見つめている。
「さぁ、二人とも、海だよ」
そう言って、一旦アイリスとベルゼビュートの腕組みから解放してもらいながら、まずはフェリスを抱いてゆっくりと海へと入れてあげるティオ。
「ふぁ〜、冷たくて気持ちいいです〜!」
海に足を入れたところで、フェリスが気持ちよさげに目を細める。
それに続き、リリスが「私も〜!」と言って羽をパタパタさせながら、足を海にちょこんとつける。
リリスは小さいので波にさらわれないように少し慎重だ。
それでも海の冷たさが心地いいのか、フェリスと一緒に、キャッキャッ! とはしゃいでいる。
浅瀬で楽しむリリスとフェリスを眺めながら、自分も浅瀬に腰掛けるティオ。
そんなティオの左右に、またもアイリスとベルゼビュートが陣取ってくる。
優しい波が何とも心地いい……はずなのだが、こうして水着姿の美少女と美女に挟み込まれてしまうとそれどころではない。
「ティオ様と、こんな風に穏やかな時を過ごせるなんて、本当に嬉しいです」
そう言いながら、アイリスがティオの肩に頭を預けてくる。
「ほんと、こんな日がずっと続けばいいのにね……」
ベルゼビュートも、リリスとフェリスを見つめながら、ティオの指に自分の指を絡ませてくる。
「そうだね……」
穏やかな表情を浮かべながら、小さく頷くティオ。
モンスターとの戦い、魔族との戦い、そんなものとは無縁な、平和な世界になればいいのに……。
戦いを生業とするティオだって、そんな風に願うこともある。
だが、現実は非情だ。
このバカンスが終われば、また戦いの日々が始まる。
だからこそ、せめてこの時だけは心の底から楽しもうと、ティオは思うのだ。
「ティオ〜、見て見て〜!」
「綺麗な石を拾ったのです〜!」
何かを見つけたらしいリリスとフェリが、水しぶきを立てながら駆けてくる。
「これは……たしかサンゴだったかな?」
「あら、よく知ってるわね、マスター」
フェリスの手に握られていた物の名をティオが口にすると、ベルゼビュートが感心した様子を見せる。
「サンゴ!」
「面白い名前です〜!」
陽の光に照らされ、白く輝くサンゴを手にしながら、またもや、キャッキャ! とはしゃぎだすリリスとフェリス。
その後も遊泳や浜辺の散歩、そしてサンゴ集めなど、海をたっぷり満喫しているうちに、すっかり夕方になってしまうのであった。




