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転生魔導王は、底辺職の黒魔術士が、実は最強職だと知っている  作者: 銀翼のぞみ
二章

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43話 二人とランチデート

「ティオ殿、よかったら一緒に食事でもいかがだろうか?」


「せっかくまた会えたから……色々お話ししたい……」


 ティオの手を取りながら、そんな風に言い寄ってくるユリとスズ。


「あ、えっと……」


 いったいどうしたらいいものかと、戸惑った声を漏らすティオ。

 そんなティオに、ユリとスズが寂しげな表情を浮かべて言う。


「ダメだろうか……?」


「ティオさんは……私たちのこと、嫌い……?」


 二人のそんな表情を浮かべられては、断るものも断れない。

 ティオは仕方なく、二人にOKの返事を出すのだった……。


「まったく、ティオ様ったら……」


「本当に優しいんだから……」


 少し呆れたような笑みを浮かべるアイリスとベルゼビュート。

 押しに弱いが、それが彼の優しさ……いいところであることを理解しているのだ。


 ◆


「そういえば、ティオ殿はどうしてまたこの都市に来たのだ?」


「ナツイロ公国に向かうんです。船を確保しないといけないので、この都市に寄りました」


 道を歩きながら、そんな風に尋ねてくるユリに、ティオは少し困ったような表情で答える。

 理由は、彼女がティオの右手で自分の左手を絡めるように繋いでいるからだ。


「なんだ……私たちに会いに来てくれたんじゃないんだ……」


 少し残念そうに声を漏らすスズ。

 こちらもティオの左手を握っている。


 どうしてもティオと三人で過ごしたいと、ユリとスズは、アイリスとベルゼビュートに懇願した。

 この機会を逃せば、次はいつ会えるかわからない……。二人の必死さに負け、アイリスたちは特別に許可を出したのである。


(あれ? ぼくの意志は……?)


 疑問に思うも、ティオにそんなことを言い出す勇気はなかった。

 なので今、ティオとユリ、スズの三人きりで行動をしている。


 距離がかなり離れてしまうので、ベルゼビュートには一度次元の狭間に帰還してもらい、アイリスには宿の手配とリリスたちの世話を頼んである。


「さぁ、着いた。ここで昼食を済ませよう」


 少し歩いたところで、二階建ての飲食店を指差すユリ。


 白塗りで、落ち着いた雰囲気の佇まいをしている。

 店に入ったところで、給仕の娘が近づいてくる。


 スズが「いつもの席……空いてる?」と、尋ねると、給仕の娘が案内してくれる。


「これは……いい眺めですね」


 遠くを見渡し、感嘆の声を漏らすティオ。


 通されたのは二階のテラス席だった。

 綺麗な街並み……その先には青い海がどこまでも広がり、まさに絶景だった。


 丸テーブルの席に腰掛ける三人。

 幅は十分にあるというのに、ユリとスズは椅子を動かし、ティオにこれでもかと寄ってくる。


「ティオ殿、どれが食べたい?」


「ここはどれも美味しい……」


 肩と肩がぶつかりそうな距離で、メニュー表を開くユリとスズ。

 二人の吐息と、ほのかに香る女の子らしいいい匂いに、ティオは少しドキッとしてしまう。


 ドギマギしながら、二人に注文を任せるティオ。


 注文を取りにきた給仕の娘が(うわぁ! おねショタだ!)などと内心で大興奮していたりするのだが、ティオの知るところではない。


「そ、そういえば、こちらの様子はどうなんですか? あれから何か変わったことは?」


 注文を取り終わったところで、話題を振るティオ。

 魔族ガイルの件があったので、その辺りが気になっていたのだ。


「特に変わりはない、と言いたいところだが……」


「実は……少し気になっていることがある……」


 ティオの質問に、真面目な表情になって答えるユリとスズ。


「気になること……? いったいどういうことでしょうか?」


「実は、ガイルのいた遺跡の奥で、隠し通路が見つかったらしい」


「多分……ガイルがいた影響で、遺跡が迷宮化したんだと思う……」


 再びのティオの質問に、ユリとスズはそう答える。


 遺跡の迷宮化……という言葉だが――


 魔族や強力なモンスターが特定の場所に長くいることで、その場所が迷宮へと存在を変えることがある。

 話を聞けば、今まで遺跡の奥に隠し通路などは確認されておらず、つい先日になって現れたとのことだ。


 クラリスのギルドは、遺跡の一部が迷宮化しており、その隠し通路こそが迷宮への入り口になったのではないかと、憶測しているらしい。


「予定では近日中に、部隊を結成して迷宮の中を探索するらしい」


「もちろん……ユリと私も、そのメンバー……」


 そう言って、説明を締めくくるユリとスズ。


 迷宮は危険な場所だ。しかし、まだ誰も手をつけていない迷宮ともなれば、都市としては放っておく手はない。


 誰も手をつけていない迷宮……中には希少なモンスターがいるかもしれないし、財宝の類も存在するかもしれない。


 財宝は言わずもがな、希少なモンスターがいるとすれば、その素材を売り捌くことで、巨額の富が得られるかもしれないのだ。


(手付かずの迷宮か……。興味はあるけど、今回は関わらないでおこう……)


 外部の冒険者である自分が、都市の計画に参加させてもらうのは難しいだろうと、ティオは思ったのだ。


 そんなタイミングで、料理が運ばれてきた。


 冒険者話に花を咲かせながら、三人は優雅な食事の時間を楽しむ。


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